爆死まくら

ガチャで爆死したおっさん、ゲーム世界に転生する。運0で乗り切る異世界ライフ
島 一守
島 一守

330連目 神々の忘年会

公開日時: 2021年1月6日(水) 18:05
文字数:1,049

前回のあらすじ

 「今年最後の爆死も、見事だったのじゃ」


ガチャ神の今日の一言

 「ここだけの話じゃが、今回は本編がおまけなのじゃ」



「ごめんなさいごめんなさい……僕なんかが契約してしまってごめんなさい……」


「…………」


「あのっ……、まくま君……」



 爺さんの特製契約課金石は、キャラ配布イベントなんかじゃなかった。

この爆死の結果は、それを痛いほどに物語っていた。


 新規契約キャラは、魔方陣より出てきた少年一人。あとは既に契約したキャラばかりだった。

それにしてもこの少年、出てきていきなり謝り倒している。自己紹介もナシかよ。

まぁ、俺も完全無気力ぐでぐでまくら状態なので、人の事は言えないか……。



「あぁ……、俺はまくら。これからよろしくな……」


「ごめんなさい、僕はイナバです。嫌だったら、すぐにでも出ていきますので」


「いや、うん。いいから。ちょっと落ち着いて。あと落ち込ませて……」


「まさか俺の魔力を込めた契約石で、俺を引かないとは……。

 しかも、何のためらいも無く10連契約。さすが鬼若の契約主だ」



 なんだその意味の分からない感心の仕方は……。10連ガチャで爆死しただけじゃねーか。

というか、確定イベントじゃなく、確率アップイベントだったのだろうか。

外れる確率が1%でもあれば、それを引き当てる俺にそんなん無理ゲーだわ。



「えっと、とりあえず私も、契約式やったほうがいいよね?

 貰ったのは10回分だけど、1回ずつやってみるね」



 カオリ……、俺の敵を討ってくれ……。と言い残し俺は部屋を出て行った。

(せいやじゃっ! ぺったん!)

……のなら、どれだけ良かっただろうか。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 



「おう! カオリ、これからよろしく頼むぜ!

 っと、悪い。これからは契約主様なんだからな、カオリ様って呼ばねえとな!

 しかし、1回目で引き当てるとはさすがだな!」


「はい。よろしくお願いしますね。呼び方は、今までどおりで大丈夫ですよ」



 これが……、運の差……。世界の理不尽さを目前で見せ付けられ、俺はガチャ神を恨んだ。

(はいさっ! こねこね)

……なんだ? さっきから聞こえるこれは。

まぁいいか、もうガチャなんて信用しない。

俺はまくらになりたい……。いやもうなってるけど。

ガチャは悪い文明……、よく言ったものだ。




「主様っ!? 一体何があったのです!? 敵襲ですかっ!?」

「……あぁ、鬼若か。俺はもう疲れたよ……」

「主様! しっかりしてください!!」



 ガクガクと揺さぶられる俺は、今まで以上に“まくららしいまくら”だっただろう。

(そいやじゃっ! ぺったん!)

(よいさっ! こねこね)



「なぁ、鬼若。パーティーで餅でもついてるのか?」


「え? そんな催しは見かけませんでしたが」


「じゃぁ、何だこの音は……。幻聴かな……」


「つきたての餅はおいしいのじゃ」


きな粉も良いけど、あんこもいいね~。


「砂糖醤油も外せないのじゃ」


固くなった餅を、小さく切って揚げたのも好き。


「熱々でやけどするヤツじゃな」


『てゆーか、本編に聞こえる音で餅ついてるんじゃねーよ』


あっ、中の人からのお怒りメールだ!


「ツッコミ不在の恐怖を思い知ったのじゃ」


『常々深刻なツッコミ不足やろがいっ!』


ってことで、次回からしばらくガチャ神ちゃんはお休みなので

後書きの相方は中の人とやりましょうかね?


「やっと、やっとワシも本編に……」


辛く長い研修の末掴んだ本編出演、頑張ってね~!


『本編で暴れたら、俺も収拾付けられないからな?』


「元より収拾ついてないのじゃ」


『餅はつくけど収拾はつかないってか?』


「『はっはっは!!』」


仲良しだなぁ……。

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