爆死まくら

ガチャで爆死したおっさん、ゲーム世界に転生する。運0で乗り切る異世界ライフ
島 一守
島 一守

520連目 事務局お泊り会

公開日時: 2021年1月16日(土) 18:05
文字数:2,528

前回のあらすじ

「扉を抜けると、そこはゴミが降り積もるゴミ国だったのじゃ」


ガチャ神の今日のひとこと

「ゴミ屋敷にそびえる山脈に挑むのじゃ!」

 クロが受付、ベルが掃除、カオリと鬼若が仮眠室など施設整備、そして俺と局長が各職員のタスク整理。

役割を振り分ければ、各々がちゃんと仕事をこなしてくれるのだから、皆の優秀さに舌を巻く。


 まぁ……、クロに関してだけ言えば、事務所内の異臭に耐えられず、一言も発する事無く青い顔をしていたので、受付に逃がしたとも言えるのだが……。

来客もほぼないようだから、任せてしまっても大丈夫だろう。



 さて、そんなこんなで始まった大掃除であるが、なんだか今年に入って二回目な気がするな。

ともかく、職員達をコキつかってベルは着々と山脈を切り崩してゆく。日頃の恨みを晴らさんとするかのような職員達への当たりのキツさをひしひしと感じるが、ここまでの惨状を放置していたのだから自業自得だ。


 そんなこわーいお姉さんの指導を受けているやつらを、一人ずつ俺と局長が面談する。

それぞれが何の仕事を、どれだけ持っているかの聞き取りだ。

それらをまとめ、できる事なら簡略化・効率化をして、作業の再分配をするのが俺の仕事だ。

そんな中、半泣きでベルの恐ろしさを語られたりもしたが「ふーん、そう」とだけ返事をしておこう。


 局長は俺の隣で、報告された仕事の内容を俺にわかりやすく解説する役だ。

俺は仕事内容自体は完全に素人であるため、そのあたりは局長の助言がどうしても必要になる。

流れ作業のように、入れ替わり立ち代わりする、カラフルボールにしか見えない職員達の話をまとめ、それぞれにアイテムボックスの肥やしになっていたスタドリを配り終えると、かなりの量の記録の山ができてしまっていた。



「それで、聞いてみた感じどうなんだぜ?」


「まぁ、何とかなるんじゃないかな。というより、今までこんな状態で、よくやってこれたよな」


「うっ……。色々とあるんだぜ……」


「色々って?」


「それは……、今ここでは言えないんだぜ……。あとで話すんだぜ」


「ふーん、そう。それじゃぁ、問題点をまとめないとな」



 問題点と言っても単純な事だった。学園運営局ココの職員は皆、個人プレーで仕事を行っていたのが大きな原因だ。

それぞれがそれぞれのタスク消化のために動くので、他の職員の仕事の邪魔をしてしまっていたり、同じ作業を複数の職員で、別々に行っている事が頻発していたのだ。


 そもそもなぜこんな事になっているかといえば、それぞれの職員がカウンターに立ち、不具合修正の依頼を受けると、たまたま受付に立っていた職員がその仕事を引き受けるようなシステムで回していたらしい。

つまり、仕事を管理・計画をしている役職がいないのだ。……局長は無能なのか?


 その上、職員それぞれの適性というものも把握していないらしく、俺が聴き取り調査を行っただけでなんとなく見えてきた職員の特徴も、局長は把握していなかった。

それは簡単な法則になっていて、赤い職員は事務業務向き、緑は技術業務向き、黄色は対人業務向きといった具合に分かれていた。

こうやって一目で相手の特徴が分かるのは、ゲームを元に作られた世界っぽいなと思う。



「そういうことだから、カウンターは黄色にさせて、そいつらが仕事を管理して他の職員に割り振っていけば、スムーズに進むんじゃないかな」


「へぇー。こんな事に気付くとは、さすが私が見込んだだけの事はあるんだぜ!」



 つい「普通気付くだろ」と言いそうになったが、ふと前にガチャ神様に言われた「人は自身のできる事は他の人にもできると思いがち」なんてのを思い出し、言葉を飲み込んだ。

少なくとも、こいつらにはそういった能力はなかったのだ。その代わり、俺には到底できないような事をやってのけるのかもしれないな。



「まくら様、お取り込み中の所失礼いたします。

 夕食の準備が整いましたので、お迎えに上がりました」


「あぁ、ベルありがとな。こっちもひと段落ついた所だ」


「やったぜ! 久々の温かいごはんが食べられるんだぜ!」



 局長は俺を置き去りに、ぴょんぴょんと食堂へと駆けて行った。

あのゴミの山を見ればなんとなく察しは付くが、いつも弁当しか食べれていなかったのだろう。


 そんなゴミ山を片付けていたベルだが、職員に指示を行った後鬼若を連れて、夕食の買出しへと出かけていた。

俺はまくらなだけあって、空腹というものが無くうっかりしていたのだが、もう夜の8時だ。みんな腹を空かせているだろう。



「メニューは何にしたんだ?」


「カレーライスにいたしました。

 非常食として、缶詰やレトルトのご飯、カレールーなどの備蓄がありましたので」


「人数も多いし、手早く作るならちょうどいいもんな」



 しかし気になるのは、職員達はボール状でスライム的生物なのだが、手が無くてどうやって食べるのだろう。

そんな事を考えながら、のんびりと食堂まで行けば、そこにはカレーを飲み干す職員達の姿があった。

うん、カレーは飲み物っていう迷言はあるけどさ……。



 そんな夕食の後、数人ずつのグループに別れシャワーを浴びた後、今日の作業はここまでにして寝かせようという話になったのだ。

なにせ最近ずっと不眠不休で作業していたらしく、作業効率が異常なまでに悪かった。

なので、今日は終わりにして、明日朝早くから作業を再開し、運営局の受付開始に間に合うよう体制を整えようという事になったわけだ。

こういう所にも「やり続ければ終わる」なんていう、効率を考えない職員達の思考が見え隠れしているな。




 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 




 そうして俺は、職員達が寝息を立てる静かな部屋で一人、物思いに耽っていたわけだ。

そこに寝る準備を整えたカオリがやって来て、冒頭の話をしていたのが今日のあらましだ。



「結局、鬼若の話はできなかったな」


「うん。でも、ちょうど良かったのかもしれないね」


「そうだな、一週間待つって言ったのに、鬼若は即断しようとしてたしな」


「悩む時間すら、辛かったのかもしれないね……」



 噂をすれば影、なんて言うが、そんな話をしていると鬼若が顔を見せる。

話を聞かれてはいないと思うが、タイミングがタイミングだけに勘ぐってしまう。



「主様……。少しよろしいでしょうか……」


「あぁ。それじゃカオリ、おやすみ」


「うん、おやすみ」



 そうして俺は鬼若と共に、男子用の仮眠室へと向かう。

男子用と言っても、男は俺と鬼若しかいないんだけどな。

カレーは飲み物!


「ラーメンも飲み物じゃ」


餅も飲み物!


「よい子はマネしちゃダメなのじゃ」


むしろ“よい爺婆”が、一番マネしちゃダメなやつ。


「そやつらは、よく噛んでも詰らせるのじゃ……」


ガチャ神ちゃん、ネタが黒いですよ!


「闇ガチャ神なのじゃ!」


爆死確定ガチャかな??


「さて、同じ部屋で二人が一晩、何も起きないはずがなく……」


今度は、腐ガチャ神ちゃんかな????


「その辺の妄想は二次創作にお任せするのじゃ」


本文でやったらガチのBAN対象だしね。


「爆死まくらの二次創作勢なんておらんがの」


なら安心だね!!

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