前回のあらすじ
『クラス全員ドン引き』
外注さんの今日のひとこと
『ホントに次回予告どおりのタイトルで3本書くのかよ』
波乱の始業式の後、午前中は今後の予定の確認や、クラス委員の選出などなどの雑務をこなし、授業なら三時間分程度を過ごした、後解散となった。
ちなみに、あの暴走特急鬼若号だが……。
鬼若のクラスの担任、レオン先生によって首根っこを掴まれ、引きずられながら自身の教室へと戻っていった。
年齢の割に身長も高く、無駄に鍛え上げられた身体をしている鬼若を引きずるのもすごいのだが、体格差を見ると鬼若が小さく見えるのだから、レオン先生ってかなりデカいな。
鬼若が170センチあるらしいから、2.5メートルくらいはありそうだ。
彼なら鬼若を制止する事もきっとできるだろう。
さすが来訪者対応に慣れた学校だけあって、こういう時のクラス分けや担任決めに不備はなさそうだ。
その時の鬼若の、「嫌味ババア覚えてやがれ~~!!」という、噛ませキャラ感の溢れる発言は忘れられない。
そんな鬼若の面倒を見なければいけないレオン先生に申し訳なさしかないのだが、「鬼若をよろしくお願いします」という俺の言葉に、振り返らず手を振る後姿は、これが頼れる男の背中か、とうっかり惚れそうになる格好良さであった。
そして放課後。いつもならすぐに下校して、クロやイナバの特訓という流れなのだが、鬼若があの一件で生徒指導室送りになったので、それが終わるのを食堂で待っていた。
今頃ベル先生と、レオン先生に、みっちりと叱られているんだろうな。
普段なら昼時は生徒でごったがえし、危険なくらいの食堂であるが、今日は授業も無く午前中で終わるので閑散としている。
けれど、部活動のある生徒や、俺たちのような生徒のために食堂を開けてくれているのだ。
俺は危険地帯と認識しているので、来る事はほとんどなかったのだが、俺のイメージしていた食堂と違い、こじゃれたカフェテラスのような造りとなっていた。
メニューまで軽食やオシャレなドリンクまで揃えているのだから、かなりの予算が付いていると推察できる。
まぁ、この世界の全権を握っているのが学園都市運営局であり、その直属である学校はかなり重要な施設と認識されているようだ。
なので、予算どうこうの問題ではないのかもしれない。
俺たちは鬼若とベルを待つ間、ケーキセットを食べながら談笑していたのだ。
というか、学校の食堂でケーキセットがあるのもびっくりだよ。
ちなみに、メンバーは俺とカオリ、そしてヨウコだ。
春休みになんだかんだあったとはいえ、別にヨウコ自身が自らの意思で俺たちに手を出してきたわけじゃない。だから今も変わらず一緒に居る事が多い。
もちろん、ヨウコが最初気まずそうにしていたのは言うまでもないが。
「しかし、まさかベルと鬼若が学校に乗り込んで来るとは、夢にも思わなかったな」
「私も、鬼若君が飛び級試験のために勉強してたのは知ってたけど、まさかベルさんもなんてね」
「って、カオリは知ってたのかよ!」
「うん。前に行ってた勉強会も飛び級のための勉強会だったしね。
何より、クリスマスプレゼントに鬼若君は参考書を貰ってたからね」
「うわーん! 仲間はずれにされてるよぉー!」
嘘泣きでヨウコにしがみついてみたが、ヨウコはヨウコで苦虫を噛み潰したような顔をしている。
えー、愛らしいくままくらに抱き着かれて、その顔はやめてほしいな……。
「その……、言いにくいのですが……、妾はお二人の動きを知っておりましたので……」
「はっ!? なんだと!?」
「というのも、熊さんがアリサ様と初めて会った日……。つまり……」
「アリサの奇襲攻撃の日か」
「えぇ、その日に教員採用試験と、飛び級認定試験がありまして……」
「マジかよ!? だからあの日、二人とも用事があるって言ってたのか!!」
「さらに言いますと、その日程を変更させて、同じ日にさせたのがアリサ様でして……」
「なんだと!? あの作戦って無駄に手が込んでるじゃねーか! てか日程変えさせるって……」
「結果はどうあれ、アルビレオの作戦を、白鳥家の力で無理やり実行していたのですよ」
なにそれ怖い。俺ってかなりヤバい相手を敵に回していたのか……。
こんな話をされてしまうと、カオリだけじゃなく俺も苦笑いするしかねぇよ。
「あの時は、カオリさんとクロさんにも申し訳ない事を致しました」
「あぁ、そういやクロも喧嘩したとかで……」
「うん。どうも、私の事をバカにされてクロが怒ったとかなんとか」
「それも白鳥家の息のかかった者なのです。
なにより、私生活で契約主を悪く言うなど、普通ではありえない事ですもの」
「でもさ、喧嘩ならバトルになるんじゃないのか?」
「そうは言っても、初等部の子達だからね。
バトルになる条件を満たさなかったみたいなんだよね」
「つまり、バトルの宣言をせず、命の危険が迫るほどの事でもなかったと」
「相手は、クロに噛み付かれて怪我してたけどね……」
さすがクロというか、なんというか。喧嘩のしかたも犬そのものだったようだ。
ただ、クロもちゃんと手加減……? 口加減? はしたようで、大怪我ではなかったそうだ。
「お詫びというほどではないのですが……。
こちら、アリサ様からクロさんへ……」
「ん? なんだこれ?」
「骨孫の引き換えチケットです。
アリサ様、アルビレオ、イナバさん、そして妾の分で4枚あります」
「えっ……、今日まくま君からも貰ったんだけど……」
「あっ、そういえばケモナー三銃士からも同じ物貰ったから、追加で3枚……。
って、なんでこんなに!?」
「ちょっと待って、実は言ってなかったけど、私とクロも同じの当たってて……」
「すでに10枚もあるじゃねーか!!」
その時、俺の端末にメッセージが入った。
見計らったかのようなタイミング、なんとなく察していた。
俺はさっと確認するとカオリに告げる。
「カオリ……。チヅル達家族の分、バウムの分、セルの分で追加6枚確定だ」
「えっ……? ちょっとこれ、どういう事……!?」
「さぁ、なんなんだろうな?」
まぁ、俺には思い当たるフシがあるけど。ここは黙っておこう。
困惑するカオリだが、クロくらいしか喜ぶ相手がいなさそうなので、結局引換券はカオリが全部引き受けたのだった。
しかし、それだけでは終わらなかった……。
「あ、鬼若達が来たな。
っていうか、部活連中も昼飯か? ぞろぞろと来たんだが」
「そうだね、そろそろそんな時間かもね」
邪魔になっては悪いと、俺たちは席を片付け食堂を出ようとしたのだが、彼らに引き止められた。
「主様。その……、相談がありまして……」
「え? どうかしたのか?」
「えぇ。鬼若がどの部活にしようか悩んでるのですよ」
「部活……?」
要領を得ないベルの発言に俺が戸惑っていれば、それを察したベルが説明を補ってくれる。
どうやら生徒指導室に連行された鬼若は、俺に依存し切っている今の状況を正すべく、部活にでも入れてやろうという話になったようだ。
そうとしか語らなかったが、おそらくこれはベルがそういう話に持っていったんだと思う。
そして、体験入部的にざっと運動部を回ったらしいが、なにせ無駄に身体能力の高い鬼若だ。
何をやらせても即戦力になると、各運動部から激しい勧誘を受け、困り果てているという事なのだ。
「しかし、俺は主様を守る役目があるので……」
「別に、部活くらいいいんじゃないか?」
「えっ……」
鬼若は止めて欲しかったのか、それとも俺が釣れない反応だからなのか……。
どことなくションボリとした様子を隠し切れていなかった。
賑やかで四月章最初の空気とは全然違ってるなぁ……。
『こういう方が軽く読めてウケそうやろ?』
そんなに甘くないと思うけどね。
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欲望に忠実でよろしい。
『ゆーちゅーばーごっこのつもりやったんやけどな……』
はいはい。終わりましょうね。
『感想・ツッコミなどもお待ちしてます!』
「ガチャ神へのファンレターも待っておるのじゃ!」
『無理やり差し込んできたぞコイツ』
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