前回のあらすじ
『ガチャ神は、クロの注文通りの姿でした』
外注さんの今日のひとこと
『金髪ツインテールっていうと、自動的につり目をイメージしてしまう。
ちなみに俺は、たれ目の方が好きです!(隙あらば自分語り)』
ガチャ神様に告げられた事実、それは局長の希望を叩き潰すには十分なものだった。
この世界の核となるアカウントデータは、どうやらこちらの世界の、俺が持つ端末の中にあるようだ。
そしてそれは、今では魚型の名札形状となっており、中身がどうなっているのか不明であるものの、そんな不思議端末を、アイリがどうこうできるとは到底思えなかった。
何よりも「ゲーム内アイテム内のゲームデータを書き換える」って、もうこれ言葉にするだけで頭がこんがらがりそうだ。
「ちょっ! なんでそんな事になってるんだぜ!?」
「あー、それはじゃな……。クマと一緒にクマのスマホも転移させたからじゃ」
なるほどー、愛用品を一緒に持たせようっていう親切神かな?
なんて思ったが、ふとこちらに来てすぐの事を思い出した。
そういえば、こちらでの端末は持ち主の手元を離れる事はないはずなのに、俺は当時スマホ型だった端末を落としたよな。
アレは端末の異常ではなく、普通のスマホだったから起こった事なのか。
壊れなかったのが奇跡だな。
などと納得しているのは俺一人だけで、その話を聞いた局長は憤慨し「お前! お前!!」と言いながら、神殺しタックルを繰り返していた。
全然ダメージは入ってなさそうだったけどね。
「ともかく、難しいかもしれないが一応調べてもらおう。
アイリ、俺の端末内のデータって、どうなってるか調べてもらえるか?」
「……わかった」
「でもまくま君、もしダメだったら……」
「手詰まり……、だな」
その言葉に局長は、ガチャ神様の言葉よりも深い絶望を味わったのか、普段は鮮やかな黄色い顔を青ざめさせ、黄土色っぽく変化させる。
そして再び怒りがこみ上げたのか、今度は赤らめてオレンジに近くなり、再びタックルを再開するのだった。
「このっ! ポンコツ! 役立たず! 神モドキ!!」
「……黙っておれば、好き勝手言いおって!」
あっ、やばい。さすがにガチャ神様もキレたか!?
「おい! 局長その辺にっ……!」
「頭が高いのじゃっ!!」
「ぜっ……!?」
ガチャ神様の怒声が響いた瞬間、そこにあったはずの局長の姿は、跡形も無く消え失せた。
その様子に、誰もが状況を理解できず、沈黙の中雨音だけがこの場を支配した。
「……局長をどこにやった?」
「いや……、ワシはあの、その……。そんなつもりは無くてじゃな……」
「そんなつもりってのはなんだ?」
「ワシは、ただつっかかってくるのを止めようとして……」
話にならない。局長をどうにかした本人ですら、状況を理解していないのだ。
だが、この世界の管理者に手を出せる者など限られているし、本人も抵抗できなかった様子から、最悪の事態が頭をよぎる。
「アイリ、局長のデータを探してくれ。
どっかに飛ばされただけならいいんだが……」
「……えぇ。そっちを優先するよ」
懸念していた事が、現実となってしまったかもしれない。
この少女の姿をした何者かの正体もはっきりと分からない今、俺の中では疑念ばかりが渦巻いていた。
もし、局長に万一の事が起きていたのならば、この神を自称する者は善良な存在とは考えがたい。
「……ダメ。……仮キャラクターデータが、全て無くなってる」
「仮キャラクターデータ?」
「……えぇ、あなたたちが職員と呼んでいた者達のこと。
……あれは、新キャラ実装前の、テストプレイ用仮キャラクター画像。
……属性に合わせた六色、全てのデータが無くなってるわ」
「局長って、六体居たって事か?」
「……いえ、局長の黄色だけじゃない。
……各職員の赤・青・緑・灰・白。
……全データが消失しているの」
「つまり、運営局の職員全員が一緒に消えたって?」
「……そういう事」
まさか楯突いてきた局長だけでなく、巻き添えで職員全員を亡き者にするなんて……。
悪魔か邪神かなんてどうでもいい。今分かったのは、コイツが俺の想定を超えたヤバい奴だって事だ。
「ワシのせいではないぞっ!?」
「じゃぁ誰がやったって言うんだよ! 職員全員だぞ!?」
「そっ、そんなのワシに言われても困るのじゃ!」
「……最低だなお前」
「……!?」
俺の嫌な予感というのは、よく当たるんだ。だからこそ、事前準備とあらゆる可能性を考えた対策を打つ。
慎重すぎるという言葉も意に介さず、用意したそれらによって、今まではなんとか対処してきた。
けれど、今回ばかりはどうにもならない。相手は人知を超えた存在なのだから……。
「ちょっと、まくま君待って。ちゃんと事情を聞いてみようよ」
「カオリ、そうは言うが、コイツを信用できる要素がどこにある?
局長達だけじゃない、お前の事だって隠してたし、この世界の事も嘘ついてたんだぞ?」
「ちょっと待つんじゃ! ワシは嘘などついとらんぞ!!」
「俺の転生先として世界を創ったとか言っておいて、十年も前に、カオリの転生時に作ってたって話じゃねーか!」
「一体、何の話をしておるんじゃ!?」
「トボけてんじゃねーよ!」
「ちょっと二人とも落ち着いて!!」
互いに食って掛かろうとした俺とガチャ神の頭を、カオリの手がギュムっと掴む。
そして無理やり引き離され、俺達は黙ったのだった。
「いい? ひとつづつ話を整理しようね?
神様は嘘やごまかしはナシ、約束してくれる?」
「ワシは元々嘘などついとらん!」
「カオリ、嘘か本当かなんて確かめようがないし、聞いたって仕方ないだろ」
「だからって、このままじゃ話が進まないじゃない」
「そうだけどさ……」
カオリの言うとおりだ。このままでは局長達だけじゃなく、この世界の事だっていつまでも解決しない。
だからといって、信用できるかも分からないヤツの話を前提にするなんてのは、俺には愚策としか思えなかった。
けれど、話の主導権をカオリに握られた以上、俺にはどうする事もできない。
願わくば、今あちらの世界で色々と調べてくれているであろうアイリが、何らかの解決の糸口をみつけてくれる事に期待するしかない。
「まずは、この世界についてね。
この世界を創ったのは、ガチャ神様でいいんだよね?」
「そうじゃ。ワシが創ったのじゃ」
ドヤ顔で胸を張るが、残念ながらその姿は少女というのもあり、全然貫禄はない。
「それはいつの事?」
「クマの転生と同時じゃから、去年の10月じゃ」
「いきなり嘘ついてるじゃねーか」
「嘘などついとらんわ!」
また言い合いになりそうな俺に、カオリは黙れと言わんばかりに睨む。
いや、俺に余裕がなくなってるせいでそう見えただけだろう。
ここは深呼吸して、落ち着いて見守ろう……。まくらは息しないけど。
「えっとね、私はまくま君と同じ世界から来たんだけど、それが10年くらい前なの」
「えっ!?」
「だから、まくま君はおかしいって言ってるのね。
それに、あなたが私をここへ連れて来てくれたの?」
「そんなハズはないのじゃ。ワシはクマしか転生させとらんし……」
これじゃ話は平行線のままだ。
お互いの言い分が食い違っているのだから、解決の糸口などつかめるはずもない。
「んーと……。それじゃぁ、他にそういう事できる人っていないの?」
「他に天地創造と転生転移ができる者……? あっ!!」
何かに気付いたガチャ神は、どこからともなくスマホを取り出す。
それは、ピンクのうさぎ型スマホカバーが付けられていた。
そして慣れた手つきで、何やら操作を始めたのだ。
「ゆっゆっ! ここは、とってもゆっくりできるところだよ!」
「ふふん! アタイを後書きに呼ぶとは、見る目があるね!!」
「初登場が後書きとは、扱いがひどいじゃないですか」
お前ら、後書き始まってるから、ちょっと静かにしような。
『なんかそっち賑やかやな』
新メンバーが増えたんで……。
「まったく、いきなりこんな所に呼ぶなんて、はた迷惑なんだぜ!」
「ゆ~。局長もゆっくりしていってね!!」
『なんか、後書きも収拾つなかくなってますやん』
ちょっと別室創って、職員達は隔離してくるから、その間局長と頼む。
「まったく、人使いが荒いんだぜ」
『お疲れ様やで……』
「そっちもなんだぜ」
『てか、ガチャ神ちゃんとまくらが険悪になってるんですけど』
「むこうの話は、私にはわからないんだぜ」
まーあれだよね。人間って身勝手だから、勝手に神に期待して、勝手に失望するよね。
『おかえり。あと俺もその身勝手な側なんで、ノーコメントで』
「沈黙は金ってヤツなんだぜ」
さて、あの子はどう対処するのかな?
『結局あれか、コレもガチャ神への試練ってヤツか!?』
さて、どうだろうね。
『それどっかで聞いた事あるセリフだな』
「そろそろ長くなってきたし〆るんだぜ」
『せやな。最後キメ台詞言ってもええで』
「次回もゆっくり読んでいってね!! なんだぜ」
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