爆死まくら

ガチャで爆死したおっさん、ゲーム世界に転生する。運0で乗り切る異世界ライフ
島 一守
島 一守

ガチャ神の異世界★観光 報告書 「空から異世界を見てみよう」

公開日時: 2021年1月10日(日) 18:05
文字数:3,020

 ガチャ神の「空から異世界を見てみよう!」のコーナーじゃ!!


 …………。


 ツッコミがおらんと寂しいもんじゃのう……。

これなら、一月中ずっとこっちに居るなどと言わねばよかったのじゃ。


 さて、この世界も一通りみて回ったが、あまり特筆するようなことはなかったのう。

これでは報告書が書けんではないか。

……! こういう時はまくらの様子を見に行くとするかの。

あやつなら、何かしでかしているはずじゃ!



 と思って来てみれば、授業中ではないか。

まぁ良い、ちゃんと授業を受けておるか、抜き打ちちぇっくじゃ!

ええと、今は獅子獣人の教える社会科の授業じゃな。まずはノートをちぇっくじゃ!



  ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



[学園都市と外の世界]

・学園都市の成立は1945年。来訪者と人間との戦争の終結を目的に設立される。

  (→戦争と住み分けに関しては3ページ前を参照)

学園運営局うんえいによって、外の世界とは結界と防壁で区切られている。

・1964年来訪者の増加に対応するため学園都市の拡張が議論される。

 →外の世界の反対派により断念。(→外の世界の制度は下記参照)

・1970年に亜空間管理システムが確立。これにより用地不足は解消。

 (結界の外も亜空間内であれば行けるため、実質学園都市の方が大きくなる)

・1989年来訪者を管理する者として、契約主制度を開始する。

 外の世界で素質のある者を招くようになる(→来訪者の増大に対する処置)


[外の世界]

・学園内とは違い、魔力が存在しない。

学園運営局うんえい単体での統治である、学園都市とは異なる。

 (司法、立法、行政の三権分立による統治).日本と同じ?



  ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 ……普通じゃ。しかもちゃんと、自身の気付いた事などをカッコ書きでメモまでしておる。

普通に優秀な高校生のノートじゃ! つまらん!!


 まったく、期待して来たというのに、少しヌケてるくらいが可愛げがあるというもんじゃ。

しかしそれも、ワシが優秀なステータスにしてしまったせいか。

ふむ、次は少しアホの子にするのじゃ。



 ワシはこんなつまらぬ所に居てられんのじゃ! 次じゃ次!



 ◆ ◇ ◆ 



 と言ってものう、誰の所に行こうかのう。

おや、あそこに見えるはサンタの爺さんこと、三田ミタ セイヤではないか。

何か面白い事してないかちぇっくじゃ~!

そういえば、名前が出るのは今回が初めてじゃった気がするが……。まぁよいか。


 失礼するぞ! ガチャ神じゃ!


 っと、どうやら学園運営局うんえいに用事があるようじゃな。

ふむふむ、何か職員の者達と話ておるようじゃ。気になるのう、気になるのう。

立ち聞きしてみるかの。もちろん「うっかり聞こえた」という建前でじゃ。



「なぁー、そう言わずによぉ、俺とお前らの仲じゃないか」


「ゆ~! ダメなものはダメなんだよっ! こっちはとっても忙しいのっ!」


「そこを何とかっ! なっ!」


「ダメダメダメダメなの~!!」



 なにやら言い争ってるようじゃのう。

サンタの爺さんが頼みごとをしているようじゃ。



「クリスマスの時だって、無理きいてあげたでしょっ!

 その上新機能のお願いだなんて、図々しいよっ!!」


「それは感謝してるって。

 でもよー、この新機能があれば、無駄ないさかいも減って、お前らも楽になるんじゃねぇのか?」


「う~……。こっちの都合もあって、今新機能なんて……」


「何か問題でもあったのかよ?」


「む~、ミタ爺だから言うけど最近バグが頻発してて、みんな不眠不休で対応してるの~。

 全然ゆっくりできてないんだよぉ……」


「だからお前らやつれてたのかよ。で、その対応はいつ終わりそうなんだ?」


「直したところから壊れていくんだよっ! もうやだー! おうちかえるー!!」


「そりゃタイミング悪い時に来ちまったな……。悪かったよ」



 ……これは、もしかしなくてもワシのせいなのじゃろうか?

世界の構築は初めての事じゃったし、不具合が出ていても不思議ではないが……。

むぅ、学園運営局うんえいの奴らが、バグに対処するのは仕事じゃから放っておくとして、ミタ爺に非はないのう。少し奇跡とやらを起こしてやるかの。



「ゆっ……!?」


「ん? どうした? また不具合でも見つかったのか?」


「……。上部組織から、その“新機能”の実装命令が来たんだよぉ……」


「は? なんでだ? さすがに俺も、上部組織にコネはねえぞ?」


「わたしにだってわかんないよっ!! う~!! 今日も徹夜確定だよぉ……。うぇぇぇ……」


「ちょっ、泣くなって。そうだ! 何か甘いものでも買ってきてやるから! なっ!?」


「うぇぇぇ……、もうやだぁ……。おうちかえしてぇ……」



 よしよし、これで一件落着じゃ!

むっ……!? なにやらまくらの奴に危機が迫っている予感じゃ!

やつめ、やっと事件を起こしたか! 今行くのじゃっ!!



 ◆ ◇ ◆ 



「おや熊殿、お一人ですかな?」


「ちょうど良いですな。我らと、少し話しをしようではありませんか」


「とってもいいお話があるんですよー? それはとっても!」



 おっと、来てみれば男子生徒三人に囲まれておるではないか。

ふむふむ、奴らの考えを読んでみれば……。その展開はダメなのじゃ!


 仕方ない、助けてやるとしようかの。えーっと、職員室はどっちじゃったかのう?

おっ、見覚えのある獅子獣人がおるではないか、ちょっと手伝ってもらおうかの。



『おぬし、教室に忘れ物しておらんかー?』



 っと囁いてやれば、そんな気がしてくるというもんじゃ。天啓というやつじゃな。

狙い通りまくらの元へとたどり着いたようじゃな。これでまくらの貞操は守られたのじゃ。


 そんなまくらは、遅れてやってきたカオリに連れられて帰りおった。

ワシの大活躍など、気付く事もないじゃろうな。神とは報われないもんじゃな……。




 さて、かの三人は生徒指導室でお灸を据えられているようじゃが、その様子でも見てみるか。

今後も悪さをするようであれば、ワシ直々に神罰を下す事も辞さない構えじゃ。

なにせ、常に見張るわけにもいかんからのう。



「レオン先生には分からないでしょうが、我らにはアニマルセラピーが必要なのです!」


「このストレスの多い世の中を生きているというのに、獣人に対しての配慮から、ペットを飼う事もままならないのですよ!?」


「僕らは獣人側の立場だから、規制自体に文句はないんだけどねー」


「だからとって、イやがる奴ニ、毛皮をせるリゆう理由ニはならんだろ?」



 それっぽい反論なんてしおって、反省の色が無いようじゃの。

ワシからのお灸を用意する必要があるようじゃ。


 と思い用意しておれば、獅子獣人は突然上着を脱ぎだし、上半身裸の状態となったのじゃ。

こやつ、変態であったのかのう!?



「そんなニ、毛皮をモフモフしたイとうのなら、俺が代わりニさせてやろう」



 ……いや、少し頭の悪いだけの奴かもしれん。

見方によっては、生徒の代わりに自身が身代わりになるという、涙無しには語れぬ自己犠牲の精神かもしれんが……。


 しかも、三人はと言えば何の遠慮もなく、その胸へと飛び込んでるではないか。

互いが了承の上なのだから、ワシが関わる事でもないか……?


 いやしかし、獅子獣人をけしかけたのはワシじゃ。

何より、これ以上は報告書に書けない内容になりそうじゃ。

よって神罰を下す!! いでよ! ヒノキの棒!


 ゴス! ゴス! ゴスッ! と心地よい音と共に三人は気を失った! フルコンボだドン!



「ん? なんだ、寝てシまったのか。

 高校せイっても、まだまだ子供なのだな」


 …………。

神は報われないものじゃから感謝などいらぬが、この獅子獣人はもう少し危機感を持ったほうが良いのじゃ……。

なんだか疲れてしもうたわ、帰るとしようかのう……。

ガチャ神ちゃんをツッコミに回すボケ力、レオンはなかなかやり手だな。


『タイトルも報告書内容も酷いなぁ……。てか、このタイトルアウトでは??』


小説のバックアップ機能があるじゃろ?


『BAN前提の話はやめよ?』


それなら“異世界ふしg『ホントやめよ??』


危ない橋を全力で叩き付けるのは、今さらじゃないか。


『確かにそうやけど! てか内容! これでええんか!?』


今回は、ガチャ神ちゃんの日記みたいなもんだしね~。


『日記を報告書として提出すんのかよ』


ちゃんとこの世界を見守っているなら、それでいいかなと。


『ユルい神たちやなぁ……』


仕事は、マジメにやればいいってわけじゃないんだよ?


『まくらのノートの方が真面目な件』


まくら氏、運さえあれば完璧超人だった説。


『てか、あの年表は何?』


運営会社からパクってきた、裏設定と色々混ぜた結果だよ?

ちなみに、何年に起きたかってのは世界構築時に決めたんだけど

終戦、東京五輪、大阪万博、改元が元ネタだよ。


『まさか、本文で近代史を勉強できるとは……』


あと運営会社の裏設定集には

「学園都市で教育を受けた来訪者を人間社会で受け入れる、という名目で建設された学園都市であったが、実際には隔離施設として運用されたため、軋轢が生じている」

なんてのもあったけどね~。


『それって、ゲームの最終回に使うための設定のような……』


でもスマホゲーってさ、最後は突然のサービス終了だから、エンディングなんてないよね。


『現実は非情である』


さて! 1月章は今回でホントのホントに終わり!


『あ、今回で俺は退場しま~す』


ファンの皆様お待たせしました!

ついにガチャ神ちゃんの復帰ですよ!


『ファンって居るんか?』


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