爆死まくら

ガチャで爆死したおっさん、ゲーム世界に転生する。運0で乗り切る異世界ライフ
島 一守
島 一守

190連目 †漆黒の堕天使†

公開日時: 2020年12月29日(火) 12:05
文字数:2,238

前回のあらすじ

「クリスマスイベントが始まったのじゃ」


ガチャ神の異世界情報①

「学園都市には初等部から高等部、そして学園本部があるのじゃ」

 翌朝、俺は寮の自室で端末スマホを見つめていた。

机の上に乗っかり、まくらが端末に覆いかぶさるようにしている様子は、散らかった部屋の一部に見えそうだが、部屋自体は非常に綺麗なものだ。


 ベッドと学習机、教科書や参考書だけが入った本棚、そしてクローゼット。

テレビやパソコンがないが、転生前に住んでいた部屋とそう変わらない。

あ、食堂や共用の風呂場があるから、水周りの設備もないな。使わないから忘れていた。


 そんな最低限の物しかない部屋を、ベルの羽衣はうねうねと這い回り掃除している。

出かける前に綺麗にしておくと言って始めた掃除だが、物が少ないだけでなく、まくらの俺には食事も睡眠も必要がないし、動き回る事さえも一人では思うようにいかない。

つまり部屋が汚れる要素がないのだ。


 それでもベルは、侍女メイドとして掃除くらいはしたいと思っているのか、俺が学校に行っている間もやってくれているようだ。本当に助かるな。

あとは、まくらカバーの洗濯くらいか、家事として必要な仕事は。


 それ以外は、基本的にカオリ達と別れた後の俺の移動の補助や、課題をする時などは教材の準備などもやってくれる。メイドというより介護だよなぁ……。

学校でも完全にカオリに頼りきりだし、何か礼をできればいいのだが。

などという事を考えながら、例のトナイカイの、バウムから来たメッセージを読んでいた。



 昨日やって来たアルダには、バウムに連絡を取ってみて返事を待とうと提案した。

といっても、アルダも個人的に連絡を取ろうとしていたそうだが、返事は無かったそうだ。

けれど俺の場合はアルダと違い、バウムとは契約を行っている。つまり俺は、バウムの契約主なのだ。

ちなみに、バウムは去年のクリスマスイベントの配布キャラなので、契約式ガチャによって契約したわけではない。運0に優しい配布キャラは大好きだ。


 契約主からの連絡、それは「クエスト行くから出て来い」という、命令に近いものである。

もちろん断る事もできるそうだが、そうなると“強制召喚”という手段があるので、結果は同じだ。


 けれど、それはカオリによって止められていた。強制召喚はやはり、契約者に負担が大きいのだ。

俺も休みの日にいきなり上司から呼び出されて、緊急の用事じゃなければキレると思うし、それには納得だ。

まぁ、俺の場合トリプルワークしてたから、呼び出されても出れないけどな。

ともかく、「どうしても近場の契約者じゃ対処できない場合の最終手段」とすることにした。


 そういう事情があり、メッセージも命令感を無くし、「最近どうよ?」的なものにしておいた。

その程度のメッセージだった事もあり、「繁忙期なのでクエストなら他の人にお願いしたい」という、そっけない返事だった。

こっちには捜索依頼来てるんだ、嘘だってバレてるぞ? なんて言ってやりたいが、去年の事もあるし、事情を聞いておきたい。



「まくら様、そろそろ約束の時間にございます」


「あっ、もうそんな時間か。掃除ありがとな、ベル」


「お褒めに預かり光栄です」



 優雅に一礼するその姿は見事な侍女メイドの佇まいなのだが、いったいどこでそういうの覚えたんだろう? そっちの方が気になる俺だった。

と、いったやり取りをしているとドアがノックされる。



「主様、お迎えに上がりました」



 こっちもこっちで相変わらず頑張っている鬼若だ。いずれ立派な執事になるのだろうか。



「ベル、通してやってくれ」


「かしこまりました」



返答と共にドアを開けるベル。そこに立っていたのは、確かに鬼若だった。

けれど、その姿の違和感に俺は少しの間固まってしまった。



「主様……、やはり変でしょうか……」


「い、いや、いつもと違うから、びっくりしたというか……」



 上着は黒のパーカー、下はカーキのパンツ。ベルト周辺には謎のチェーンと……。

完全に男子中学生の私服だった。いや、合ってるんだけど、合ってるんだけど!



「そういえば鬼若の服って、学ランか作業着しか見たことなかったな」


「えぇ。中等部の制服は学ランですし、バイトがあるので、作業着でいる事が多いですね」



 何を隠そう、鬼若は中等部二年生だ。だから変ではない。というより、変でないのが違和感だ。

まさか鬼若は、服を一緒に買いに行くような友人が居るのだろうか。いや、居てもいいけど。

それならなんで、いつも「主様主様」と、俺に懐いてくるのかが不思議なのだ。



「ふふふ、まくら様を驚かせられて光栄ですわ。こちらの服、我が用意いたしました」



 ベルの一言で、鬼若の学園生活充実説は、瞬時に砕かれてしまった。

それはそれで、鬼若がちゃんと学園生活送れているのか心配になるぞ。



「あぁ、鬼若の世話までしてくれてるのか。ありがとうなベル」


「ありがとうございます。二回もお褒めいただけるとは、今日はよき日にございます。

 中等部男子学生の私服を調査したかいがございますわ」



 もしかして俺が知らないだけで、学校に行っている間こういう事をしてくれているのだろうか。

優秀すぎる。優秀すぎて“怠惰の悪魔”って設定が飛んでるのではないかと疑いたくなる。

まぁ……、ありがたい事だしいっか。



「それじゃぁ、カオリたちを待たせても悪いし、行こうか」



 一瞬ピンと張り詰める空気。そして鬼若が俺を抱き上げ、部屋を後にした。

今回の“どっちが俺を連れるか”対決は、鬼若の勝ちだったようだ。

どういう基準で勝敗を決めているかは知らないし、そんな対決が行われている事自体、俺は知らないフリをしている。

触らぬ悪魔達に祟り無しだ。もしくは“知らぬが仏”という言葉の方が適切か。

まさか、鬼若が中学生だったなんて……。


「いや、おぬし全知全能じゃて、知っておったじゃろう」


ここは驚いておくべきかなーと。


「ちなみに、鬼若の身長は168cmじゃ」


本人は170と言ってるらしいよ。


「大きく見せたい、微妙なお年頃なのじゃ」


大丈夫、まだまだ成長期だし伸びるよ!

では〆。感想・ツッコミなどなどよろしくお願いします~。


「ガチャ神の質問コーナーへの質問も募集中じゃ!」


あのコーナーまだ続けるのかよ……。

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