本作においては、日常と非日常の境目が溶解した状態になっている。鬼とは、いわば境目を腐蝕させる劇薬のごとき存在であろう。主人公達は差し詰め同族元素といったところか。
一刻も早く平穏無事な日常を取り戻したい一同は、非日常を締め出し遮断せねばならぬ。しかし皮肉にも、それは自らもある種の違和感を禁じ得ない鬼神の力を大なり小なり振るう必要がある。
鬼人にせよ鬼にせよ、それは非日常……即ちハレにまとわりつく陰のごとき存在だ。逆方向から光を当てて消さねばなるまい。
必読本作。