戦鬼伝

この願いを叶えるためなら、命も、世界も、かけてみせる――。
鈴奈
鈴奈

公開日時: 2020年11月18日(水) 20:00
文字数:364

「一目惚れして十秒で告白って伝説だよね。で、なんて答えるの?」

「えっと……」

 なんとなく照れて、姫は何も言えなくなった。

 真っ赤になって固まる姫を、彩はぎゅっと抱きしめる。

「うふふ、姫ちゃん可愛い。いいよ、明日の楽しみにしておくね! でもさ、あの先輩、姫ちゃんと並ぶには、ちょっと顔が普通過ぎるかな」

「そんな……」

「まあさ。私は姫ちゃんが幸せになればいいんだ。今度こそ、自分の気持ちに素直になりなよね」

 不思議そうに首を傾げる姫に、彩は、ふふふと笑った。

 ぱっと二人の体が離れる。

「そろそろ行った方がいいんじゃない? 私は、あの男子集団が散るまでもうちょっと待って、光先生とお話してから帰る!」

「そう。頑張ってね。じゃあ、また明日」

 姫は、手を振って、教室を出て行った。


 彩も、手を振った。

 廊下を覗き込み、玄関へ急ぐ姫の後姿を、優しく見守った。

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