「一目惚れして十秒で告白って伝説だよね。で、なんて答えるの?」
「えっと……」
なんとなく照れて、姫は何も言えなくなった。
真っ赤になって固まる姫を、彩はぎゅっと抱きしめる。
「うふふ、姫ちゃん可愛い。いいよ、明日の楽しみにしておくね! でもさ、あの先輩、姫ちゃんと並ぶには、ちょっと顔が普通過ぎるかな」
「そんな……」
「まあさ。私は姫ちゃんが幸せになればいいんだ。今度こそ、自分の気持ちに素直になりなよね」
不思議そうに首を傾げる姫に、彩は、ふふふと笑った。
ぱっと二人の体が離れる。
「そろそろ行った方がいいんじゃない? 私は、あの男子集団が散るまでもうちょっと待って、光先生とお話してから帰る!」
「そう。頑張ってね。じゃあ、また明日」
姫は、手を振って、教室を出て行った。
彩も、手を振った。
廊下を覗き込み、玄関へ急ぐ姫の後姿を、優しく見守った。
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