窓に射す月の光が、少女の寝顔を白く浮かび上がらせる。熱を帯びた風と、蛙の声が入り込む。
「守れなくて、ごめん、姫――」
握りしめた彼女の手を、頬に寄せる。鋭い石の感触に、悔しさが広がる。
守れなかった。守りきれなかった。
だが、次はない。必ず、守り抜いてみせる。
そして。
「この石を咲かせてみせる。必ず――」
心の奥からあふれた言葉が、暗闇の中で、泡のように消えた。
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