私が学生の頃、多田野も学生だった。
　つまり多田野が出演しているホモビデオも野獣先輩が出演しているホモビデオも存在していなかった。
　もちろんパンツレスリングも輸入されていなかった。
　じゃあホモビデオがなかったか？
　そんなことはない。
　私が学生の頃『極太親父』というホモビデオが流行った。
　そこそこ有名だったプロレスラーが出演しているホモビデオだった。
　大学の同級生に同性愛の男がいた。
　当時、ムービーメールという物が流行った。
　卑猥なムービーメールの中には裏ビデオの流出動画のような物が多かった。
　そして同性愛モノのムービーメールも少なからず出回っていた。
　私はそんなムービーメールをもらっても困ってしまっていた。
　取り敢えずホモの同級生に内容も見ないで横流ししていた。
　同級生は怒った。
　「何でもかんでも送るな！」と。
　「ホモ向けのムービーメール送っちゃダメなの？」と私は聞いた。
　「ムービーメールの中には無理矢理撮られたような『いじめの臭いがするモノ』も少なくない。そんなモノは見たくないんだ」と。
　同級生は『かわいい感じの男』が好みだと言った。
　私にはどんなタイプを指すのかサッパリわからなかった。
　だが、同級生が送って喜ぶのは正反対の『ガチムチ系』という筋肉隆々のホモ向けのムービーだった。
　「何でだよ？
　お前の好みと真逆だろ？」と私は聞いた。
　「確かに俺の好みとは真逆だ。
　でもこの筋肉隆々のスポーツマンタイプの男達がいじめられて無理矢理行為を強要されているとは考えにくい。
　痛々しくないから安心して見ていられる」との事だった。
　時は流れ、『パンツレスリング』や『淫夢』がネットで流行った。
　私はガチムチのスポーツマンタイプの人らが出演しているホモビデオは『いじめの臭い』が薄いからホモだけじゃなく、普通の人もネタにしやすいのかな？と思った。

ついこないだ、「ネットで『野獣先輩』をネタにしている。これはいじめを助長している」というニュースを見た。
　それは本当に同性愛の人が、そう言ったのか？
　勝手に記者が同性愛者を代弁して書いた記事なんじゃないか？

結局何が言いたいか。
　何で私がホモについて熱く語らなきゃいかんのだ？アホらしい。

極太 親父

極太親父