ボディ。
ジークハルトは、その一撃が加速していることに気づく。
その「正体」が何かを、まだ追いきれない状況だった。
タイプ1と2の併用。
クラウスはこの日のために準備を重ねてきた。
そしてその一撃がどのように転んでいくかを、ほとんど省みようとはしなかった。
タイプ2に移行した時点で、彼の腹のうちは決まっていた。
相手が動く「先」を捉える。
言葉で言うのは簡単だが、それに至るまでのプロセスは、自らの足取りに懸かっていた。
勝負を急ごうと言うのではない。
決断した以上は、そのスピードがもっとも発揮される“内側”に行こうと思った。
目では追えない距離、——思考が追いつけないほどの「間」へ。
ジークハルトは迎撃の体勢を取る。
避けるつもりだったが、思いの外クラウスのスピードが乗っていた。
最初に想定した感覚とは異なる動き。
その「動き」の本質がなんであれ、下手に避けようとするのは得策ではない。
腹に力を入れる。
クラウスの「焔武装」のヒントになったのは、ジークハルトの“身体操作”だ。
焔武装と同様、エネルギーを体内へと自由に移動しながら、部分的な「肉体強化」を図る。
避けるのではなく受ける。
真正面から受け止めようとした。
癪な話ではあったが、それだけ、クラウスの動きに意外性があった。
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