父親――相田実とのテレビ電話に、都が参加することは滅多にない。今回も、美和に説得されてからの参加だった。
「体調はどうだ?」
「最近は落ち着いています」
「美和と和江とは、うまくいっているのか?」
「二人ともよくやってくれています」
「そろそろ、敬語はやめないか?」
家族なのだし、堅苦しいのは嫌いだという。
「長年の癖ですし、難しいです」
もう、いいですか?
都と入れ替わりに、和江が入ってきた。
「都は生きることが、厳しいかもしれない」
「都がどうした?」
「あの子――都は色々なことを抱えているのね」
「知っているさ。原田氏は海外でも有名だからな」
隆のことは実がいる海外でも代替的に報道されていた。知っていて引き取ったのだと実は答えた。
都を家族として迎え入れたことについて、実は後悔をしていないという。
「だから、あなたは落ち着いていたのね」
実の落ち着いた様子に、美和と和江は納得した。
「父さんが帰ってくる頃には、都はいない」
心の準備はできているかと、美和は聞いた。
「受け入れる覚悟はある」
美和の言葉に実は真剣に答えた。
相田さん。
遠くで同僚の呼ぶ声がする。
「ごめん。時間だ」
「身体に気をつけてね」
「お前たちも」
美和と和江は実との通信を切った。
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