デザインズ・ベイビー

遺伝子操作を受けデザインズ・ベイビーとして誕生した少年の物語。
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「決意」2

公開日時: 2020年10月11日(日) 17:00
文字数:510

父親――相田実とのテレビ電話に、都が参加することは滅多にない。今回も、美和に説得されてからの参加だった。


「体調はどうだ?」

「最近は落ち着いています」

「美和と和江とは、うまくいっているのか?」

「二人ともよくやってくれています」

「そろそろ、敬語はやめないか?」


家族なのだし、堅苦しいのは嫌いだという。


「長年の癖ですし、難しいです」


もう、いいですか?


都と入れ替わりに、和江が入ってきた。


「都は生きることが、厳しいかもしれない」

「都がどうした?」

「あの子――都は色々なことを抱えているのね」

「知っているさ。原田氏は海外でも有名だからな」


隆のことは実がいる海外でも代替的に報道されていた。知っていて引き取ったのだと実は答えた。


都を家族として迎え入れたことについて、実は後悔をしていないという。


「だから、あなたは落ち着いていたのね」


実の落ち着いた様子に、美和と和江は納得した。


「父さんが帰ってくる頃には、都はいない」


心の準備はできているかと、美和は聞いた。


「受け入れる覚悟はある」


美和の言葉に実は真剣に答えた。


相田さん。


遠くで同僚の呼ぶ声がする。


「ごめん。時間だ」

「身体に気をつけてね」

「お前たちも」


美和と和江は実との通信を切った。





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