全く嫌な夢を見た。
せっかく今日は12歳の誕生日なのに。
あの出来事があったのは、もう12年も前の話になる。
死んでしまった俺は女神に転生を言い渡された。
それも最強の状態で転生できるというおまけ付きで。
だが女神のミスで能力がこの世界に飛び散ってしまったのだ。
それでも0歳から現代知識チートできるかと思って期待していたのに記憶が追い付いてきたのは8歳の頃。
完全に戻ったのはつい最近だ。
死因については未だ思い出せてはいない。
こんな状態じゃ能力を探す旅をできるはずも無くなあなあで12歳、第一成人の年まで来てしまった。
この世界では12歳が第一成人、20歳が第二成人と分けられているらしくどちらも盛大に祝うらしい。
「シーフ降りてきて」
母親に呼ばれる、そうこれが今の俺の名前。
苗字とかそういう文化は無くて一つの名前だけである。
貴族とかになると苗字みたいなものが付くらしいが俺には関係のないことだ。
そんなことを考えながら木で造られた階段を下りていく。
降りて行くとテーブルに両親がご馳走を用意して待っていた。
二人は共にこの小さな村で猟師をしておりご馳走には色々な肉があふれんばかりに並べられていた。
「第一成人おめでとう シーフ」
「おめでとう シーフ」
満面の笑みで2人は両手を叩く。
「ありがとう父さん、母さん」
「あんなに小さかったのに感慨深いなぁ」
「子供の成長なんてそんなものよ」
2人は何やら感慨深くなっているが今日は今日こそは前々から言っていた事を再び切り出す。
「ねぇ、二人ともあの話覚えてる?」
「ん、あぁ 第一成人したら旅がしたいと言っていたな…まぁ旅をするのは母さんとも賛成なんだが」
「でしょ?ならいいよね」
「でもお前魔法も何も使えないじゃないか大丈夫なのか?」
父さんの言う通り俺は魔法も何も使えない。
記憶がはっきりしてからは散らばった天啓を探知する事は出来るが勿論能力は使えず、それなら自力で天啓を発現させようと頑張ってみたが才能は無かった。
「二人とも風の魔法が使えるから俺も使えると思ったのになぁ」
「こればかりは神様の気の向くままだからなぁ」
本当にあの女神は。
ミスをしたなら少しぐらい優遇してくれればよかったのに。
だが散らばっている能力さえ手に入れれば無双できる。
だからどうしても旅に出たい。
「上手くいかなかったら帰ってくるから…だめ?」
「第一成人したのに親が縛るのもおかしいしな。良いだろう」
「ええ でも気を付けるのよ?」
「うん ありがとう!」
総勢3人の小さくて豪華な宴は夜が更けるまで続いた。
ちなみにシーフのステータスが見えたとしたら
名前:Thief
職業:無し
天啓:強奪・探知 (螂ウ逾槭?蜻ェ縺)
魔法:無し
剣技:無し
力:32
速度:78
魔力:7
知力:180
成人平均
名前:Unknown
職業:Unknown
天啓:Unknown
魔法:Unknown
剣技:Unknown
力:100
速度:100
魔力:100
知力:100
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