総司「伸一って名前で三男坊って、コレは家族ぐるみの詐欺だと思うんだよね」
琴音「何を唐突に。しかもその伸一を目の前にしてよくそんな口火を切れたな」
総司「いや、だって、伸一というからには長男でしょうよ。まさか三男なんて思いませんよ!」
琴音「いつもの決めつけじゃん。まっすぐ一本、伸びてほしいからつけたんでしょ?伸三って、おかしいでしょ?三番手で伸びてくれとでも言うの?」
総司「伸三ってひとに失礼だろうよ。だけど、だったら名前を伸の一文字にすべきですよ。僕が言いたいのはわざわざ紛らわしい数字を付けるな、そういうことですよ」
琴音「いや、名前は通し番号じゃないから」
総司「だって、長男に二郎って名前つける?」
琴音「付ける人だっているでしょうよ。逆に五十六って名前だったら56番目の子になるの?」
総司「いや、、、それは、、、お父さんとお母さん、頑張りましたね。いや、頑張りすぎたのかも知れません」
琴音「違うよ、56歳のときの子だからだよ」
総司「わお、それでも頑張り屋さん!」
琴音「でも名前に必ず深い意味があることが前提というのが思い込みだよ」
総司「そんなこと無いでしょ、特にキラキラネームなんて意味を込めすぎて、名前の枠組みから外れてしまった類でしょうよ」
琴音「キラキラネームとか久々に聞いたわ」
総司「意味のない名前なんてある?」
琴音「もしもし、深い意味が必ずあるわけではないと言っているんだよ、私は」
総司「計り知れんな!」
琴音「お前がな!」
総司「とはいえ、三男の伸一は詐欺でしょうよ。紛らわしいわ。景品表示法違反だよ」
琴音「聞きかじった程度の言葉でドヤ顔すんなよ。伸一のどこが景品なんだよ」
総司「論点をすり替えちゃあいかんね。ラベルと中身が違うんだよ?例えば自販機でコーヒー微糖買ったら、ブラックが出てきたら?」
琴音「そんなん八洋に電話しろよ」
総司「じゃあ、コーンスープを押してオニオンスープが出てきたら?」
琴音「八洋に電話しろよ!自販機好きだな」
総司「じゃあ、一帯と謳いながら借金漬けにしてしまう国とか」
琴音「振り幅!一体話題をどこへ連れてく気だよ?」
総司「一帯だけにぃ?」
琴音「、、、刺すぞ?」
総司「じゃあ、強盛大国と言いながら内実はスカッドさわやかな打ち上げをしてる国とか」
琴音「お前、ペルソナ・ノン・グラータな」
総司「だろ?そうなんだよ、ラベルと中身が違うとそういうことになるんだよ。国家レベルの八洋は存在しないけど」
琴音「そもそも親御さんが三男というのを意識して名前をつけたのなら総司の言う通り。しかし、そうでないなら、、、」
総司「ラベルと中身が一致しないとは言い切れない!」
琴音「そう、だから最初から私が言っての通り、、、」
総司「ぼ、僕はなんてことを!」
琴音「人の発言に被せんな!あと自省をいちいち口に出すな!ここは帝劇か!」
総司「いやいや、飛んで何かをしちゃいないよ?フライングで喋ることはあるけどね」
琴音「発言が地に足ついてはいないでしょ」
総司「その返し、レ・ミゼラブル!」
琴音「強引に知ってる歌劇の名前をねじ込まなくてよろしい。そして伸一君はこの話題のくだらなさにいち早く気づいて早々に退散したよ」
総司「なんだよ、伸一!でもやっぱり琴音は僕の良き理解者だね!愛してるよ、琴音!」
琴音「、、、もぅ、総司ぃ!//」
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