その頃、紅蓮達はというと……。
木に拘束された紅蓮の左右に剣を持った漆黒の兵士がいるのは変わらないものの、その前ではメルディウスとバロンが戦いを繰り広げていた。
「ふざけんじゃねぇーぞ!! その首斬り落としてやる!!」
メルディウスは激昂しながら、愛用のベルセルクではなく。見たことのない剣を手にほぼ肉弾戦で戦っている。
だが、その剣はとても装備と呼べるような代物ではない。何故なら、メルディウスの手に握られている剣は茶色く変色していて、明らかに錆びている。更に刃先は刃こぼれしていて、とても人を斬れる代物ではない。
その為、剣は握りながらも、大剣は使えずメルディウスは手足を使った体術だけで攻撃していた。
バロンはメルディウスの殺意の籠った拳を受け流しながら、不敵な笑みを浮かべている。その反応が更に気に入らないのか、メルディウスは殺意剥き出しで襲い掛かる。
「クソッ!! 相変わらず汚たねぇー野郎だぜ!!」
「そうだ……その力だ! 俺様はお前を叩き潰すために紅蓮が孤立するのを狙っていたんだからな! 今度はこっちから行くぞ!!」
防戦一方に回っていたバロンがそう叫ぶと、一気に攻勢に転じる。
メルディウスはその攻撃を紙一重でかわしていく。だが、時折バロンの大剣の刃先が鎧に擦れ火花を散らしている。
致命的なダメージは受けていないものの、その表情からは余裕は全く感じられない。それもそうだろう。メルディウスの鎧はフリーダムの中で最も重い部類に入る重鎧――。
対してバロンは重鎧の中でも最も軽い、軽重鎧と呼ばれる部類のものを着用している。その鎧の違いは弱点になる胸を覆う分厚い鎧は同じだが、腕や脚に付いている鉄の質が圧倒的に違う。
互いにオーダーメイドの鎧なので個人差が出るのも仕方ないのだが、戦闘スタイルを考慮してかメルディウスの方が堅く良質な鉄を使用している為重く強固にできている。それに比べてバロンの鎧は、全身に纏う鉄の量を削っていて軽量化により、動きやすい作りになっていた。
ウエイトの違いがそのまま、両者の移動速度、攻撃速度に影響するこのゲーム世界でその違いは大きく出てしまう。
それは2人の戦闘スタイルに関係がある。バロンは固有スキル『ナイトメア』が彼の周りを数kmに渡り重鎧の兵士が守り、その兵士の目で見た全てをバロンが共有することができる。
簡単に説明すると、膨大な監視カメラによって周囲の全てを把握しているのだ。
もちろん。その全てが一遍に見れるのではなく、優先順位の高い物が随時バロンの視覚の端にウィンドとして表示される。
その為、本体であるバロンが、外敵から攻撃を加えられるという心配はほぼ皆無なのだ。
危険を未然に察知できれば、もしも。なんて事態は決して起こり得ない。
それもあってか、バロンはその包囲網を突破してきた強者か、不意を狙った弓などの飛び道具しか警戒していない。
飛び道具ならば、重鎧の中でも軽い、軽重鎧で十分に防ぎきれる。
更にもし、数千の兵士を突破されたとしても相手も相当疲労しているはず。ならば、多少防御力を犠牲にしてでも、攻撃速度を取るのは常識といえるだろう――。
それとは対照的に、普段からギルドの皆の先頭に立ち、強力なモンスターと対峙することの多いメルディウスは、重鎧に更に強度を求めざるを得ない。
更に彼は変身前は大剣と斧の両面を使うことができ、変身後は攻撃力に特化した大斧となる『ベルセルク』だ。
その特殊なトレジャーアイテムによって自在に重心を変え、足りない回避速度。更には攻撃速度と圧倒的な破壊力を両立していた。
もし戦闘で苦しくなれば、大斧のモードでの爆発能力を用いて敵を一度吹き飛ばせば、容易に不利な状況からでも体制を整えられる。
つまり、圧倒的な破壊力と爆発能力を持つ『ベルセルク』という相棒を念頭に置いての戦闘スタイルなのだ――。
とは言え。メルディウスは曲がりなりにも、テスターと呼ばれるフリーダムの中では最も古参のプレイヤーだ。多少の武器の変更では、その強さは揺るがない――だが……。
「ははっ! どうした? 俺様の首を斬り落とす前に、お前の首が飛びそうだぞ!」
「ふんっ! お前なんて、こんななまくらで十分だ!」
(紅蓮。必ずお前を助ける……もうしばらく辛抱してくれ……)
メルディウスは紅蓮の姿を横目で見ながら、心の中で決意を新たに呟いた。
その視線の先に居た紅蓮は口は布で塞がれ、両脇には剣を持った黒い鎧の兵士が立っている。
* * *
どうしてこんな状況になったかというと、それは少し前に遡る――。
凄まじい殺気を放ち、紅蓮の首筋に剣を突きつけたバロンとメルディウスが対峙しながら睨み合っていた。
バロンの持っていた剣が、更に紅蓮の首筋に食い込む。
「ほら、早く得物を捨てろよ……」
「……ああ、分かった。その代わり紅蓮は逃がしてくれないか? 頼む!」
メルディウスは内から湧き上がる憤りを抑え、悔しそうに唇を噛み締めると、その場で深々とバロンに向かって頭を下げる。しかし、そんなことをバロンが聞き入れるわけもなく……。
「――バカかお前? お前如きの頼みを俺様が聞くわけないだろバカ!」
「……だろうな。分かった……」
「ダメです。そんなことをしては! 私の事は放っておいてください!」
紅蓮は大きな声で叫ぶ。
たとえ何をされても紅蓮は死ぬということはないはずだ。だが、メルディウスは別だ――バロンの攻撃でHPが尽きることはないが、周りの兵士にやられればどうなるかは分からない。
しかし、それ以前にメルディウスが固有スキルを使えば、辺り一帯が吹き飛んでしまう。それを聞いたバロンは不快そうな顔をすると、紅蓮に向かって怒鳴った。
「お前の役目は終わった。今更叫び声を上げてるんじゃない! お前達!!」
「なっ! なにするんですか?」
紅蓮の脇に立っていた兵士達は、紅蓮の口に無理矢理布を巻き付けて声を出せないようにした。
それを見たメルディウスが、狼狽えながら叫ぶ。
「やめろ! バロン! 紅蓮には手を出すな! 分かった捨てる! 捨てりゃいいんだろ!」
興奮したバロンが次に持っている大剣で紅蓮を傷付けると思ったのか、メルディウスは持っていたベルセルクを地面に突き刺すと、数歩後ろに下がった。
バロンはメルディウスの手からベルセルクが離れると見るやニヤリと笑みを浮かべ、紅蓮の首筋に突き付けていた大剣を今度はメルディウスへと向ける。
「ふふふっ……あははははッ!! 全く面白いなメルディウス。女の為にそこまでするとは、もはや無様を通り越して哀れみすら感じる……そんなお前にチャンスをやろう!」
「……チャンス?」
メルディウスは『こいつがそんな事をするわけがない』と分かっていても、その言葉に微かな希望を持ってしまう。
勝ち誇った様子でにんまりと笑みをこぼしたバロンが、上機嫌に言葉を告げた。
「ああ、俺様と戦ってもし、万が一にでも勝てれば紅蓮を返してやる」
「――その言葉に嘘偽りはないな……?」
「ああ、勝てれば……な」
バロンは古びた剣を取り出すと、それをメルディウスに放り投げた。
それを受け取ったメルディウスは一瞬にして、険しい表情に変わる。
(……こいつはやべぇーな。勝てねぇー事はねぇ……だが、こいつが約束を守るはずもねぇー。最悪の場合は、隙をみて紅蓮を救出して逃した後で俺は自爆するしかねぇーか……)
目の前で不敵な笑みを浮かべているバロンを見て心の中でそう呟くと、メルディウスは自分の手に握られている錆びついた剣を見つめた。
「俺んとこの大事なサブギルドマスターを無事に連れ帰らねぇーと、千代に残してきた奴らにも顔向けできねぇーしな……返してくれるって言うならやってやる! どこからでも掛かって来いよ、バロン!!」
「ふっ……身の程を教えてやるぞ? メルディウス!!」
メルディウスは剣を構えると、バロンが斬り込んでくる。
大剣を振りかぶり、メルディウスの近くに勢い良く地面に叩きつけると、彼に聞こえる様にわざとらしく小声で呟く。
「――お前を殺した後で、紅蓮も俺様の玩具にしてやる。知ってたか? こいつは痛くても叫び声を上げない――だが、それがまたいい。全身から汗を吹き出しながら苦痛に歪める女の表情ってのは、実に俺好みだぜ……」
「そうかよ……相変わらず腐ってやがるな! お前のそのサディスティックな考えが俺は大嫌いだぜ!!」
「奇遇だな。俺もお前が嫌いだよ!!」
バロンは素早く持っていた大剣を、メルディウスの首筋に目掛け振り抜く。
メルディウスは身を低くしてその攻撃をかわすと、バロンの振り抜いた大剣を蹴り上げ、虚を突かれたバロンの腹部を素早く蹴り飛ばした。
だが、鎧という防具がある以上。生身の蹴り程度が致命的なダメージになることはない。
憎悪に満ちた瞳を向け、蹴られた腹部を押さえながら距離を取って大剣を構え直すバロンに、メルディウスも怒りに満ちた表情で剣を構えた。
2人は物凄い殺気を放ちながら睨み合う。
その様子を、紅蓮も固唾を呑んで見守っていた。
* * *
そして話は戻る……。
自慢の大剣を振りかざし圧倒的な気迫で猛攻を続けるバロンに対して、メルディウスは見ている限りでは明らかに劣勢に見える。しかし、メルディウスは最小限の動きで攻撃をかわしながら、付け入る隙を窺っていた。
対人戦で最も重要なのは、間合いと攻撃と防御のバランスだ。
ことわざで『攻撃は最大の防御なり』という言葉があるが、あれはあくまで多人数戦の場合だけであって、個人同士の戦闘には当てはまらない。
何故なら、一対一の戦いでは周りに気を張る必要はなく、目の前の敵のみに集中せざるを得ない。その為、熟練した者同士の戦いほど、一瞬の隙で勝負が決するものだからだ――。
更に付け加えるのならば、相手の隙は攻撃の時に最も生まれやすく防御側はそれを窺いやすいというのが、一騎打ちの鉄則でもある。
一撃で決する戦いならば良いが、実力がきっこうしている者同士の戦いはそうはいかない。
いや、実際の力関係から言えば、メルディウスの方がバロンよりも遥かに強い。だが、武器を思うように振れず、結果的に実力が拮抗してしまっているのだ。
今のバロンは大物の大剣で攻撃に特化してる。これはメルディウスの錆びた大剣を打ち砕くのと、素手で戦わざるを得ないメルディウスとの間合いを確保する為なのだろう、つまり追撃が来ないと高を括っている隙だらけなのだ。
本来の力を遺憾なく発揮できれば、この戦闘はすでに終わっているはずだった。そう。紅蓮が敵に捕らわれず『ベルセルク』さえ手にあれば……。
メルディウスは攻撃の一瞬の隙を突いて、剣を振り上げ振り下ろすと見せかけ、左手でバロンの頬を殴った。
虚を突かれたバロンは防御できず、その体は軽々と飛ばされる。だが、バロンは飛ばされながらも地面に大剣を刺し踏ん張って止まる。
「良くも俺様の顔を!! …………ッ!?」
バロンが怒りを露わにして前を向くと、そこには拳を握り締めるメルディウス姿があった。
握り締めたその拳を勢い良く振り抜く。
「――もう一発喰らいやがれ!!」
雄叫びと共に放たれたその拳を見て、バロンが目を見開き叫ぶ。
「この……あまり調子に乗るなー!!」
バロンは地面に刺さったままの大剣を強引に振り上げる。
メルディウスは一瞬驚きはしたものの、咄嗟に地面を蹴って後ろに勢いを流しながら、その刃を鎧で受け流し素早くバロンから距離を取る。
バロンは殴られた場所を手の甲で拭うと、不機嫌そうに右手を掲げる。その直後、紅蓮の隣に待機していた兵士の1人が剣を紅蓮に突きつけた。
それを見て、メルディウスが慌ててバロンに向かって叫んだ。
「――お、おい! どういう事だ。話が違うだろうがッ!!」
「……俺様は剣を渡したな。なら、その剣で戦うのが当然じゃないのか?」
「……くっ! そ、そうだな……そうかもしれねぇーな……」
メルディウスは横目で剣を首筋に突き付けられている紅蓮を見ると、険しい表情で頷く。だが、こんな錆び付いた刃で戦えるわけもない。
この剣でまともに戦おうとすれば数回打ち合うか、最悪は1回で折れるのは容易に想像できた。
バロンの剣で戦えというその言葉は『この場で大人しく敗北しろ』という勝利宣告に近いものがあった。
「この剣でお前を倒す! だが、ここじゃない場所でだ。ここでは本気でやれないからな」
「ふんっ。なるほどな……」
バロンは口元に微かな笑みを浮かべながら、言葉を続けた。
「俺様をこの場所から遠ざけ、木の上に潜んでいるお前の仲間の女が紅蓮を救出する。そういう魂胆か……」
「……くっ!」
(こいつ。白雪に気が付いてやがったのか……)
悔しいが、バロンの言う通りだった。
実はメルディウス達は紅蓮を救出に出る直前、前もって白雪と話をしていた。
メルディウスもしものことがあれば、隙を見て白雪が紅蓮を救出し戦線を離脱。その後、メルディウスの固有スキルを使い。バロン諸共兵士達も消滅させる――それが白雪とメルディウスの立てていた作戦の内容だ――。
バロンは辺りの木を見渡して叫んだ。
「固有スキルで姿を消そうが、俺様を騙すことはできないぞ! さっさと出てこい!!」
バロンのその言葉から察するに、彼は白雪の存在には気が付いているみたいだが、その姿は見えていないらしい。
白雪の固有スキルは『インビジブル』己の姿を消す効果のものだ。あまりレアなスキルでもないが、白雪ほどの手練れになると気配を完全に消し去り。周りと同化することができる為、厄介なスキルであることには変わりない。
だが見えていないのであれば、まだチャンスはある。目視できていないのならば、隙を見てまだ奇襲を掛けられるということを意味していた――。
メルディウスは不敵な笑みを浮かべながら声を上げる。
「白雪! 俺が隙を作ってやる! お前はお前のタイミングで攻撃しろ!!」
「……くっ! メルディウス! そんな事をすれば紅蓮の身がどうなるか分かってるんだろうな!!」
バロンはそう叫んで左手を掲げると、紅蓮の右脇の兵士が剣を突き付けた。
だが、その直後。その兵士の腕が一瞬で斬り落とされた。
どうやら白雪は最初からそのつもりだったようで、姿は見えないものの旋風の如く。黒い兵士の腕を即座に切り落とし、また気配を完全に消す。
一瞬の間に起きたその光景を見ていたバロンの表情には、明らかに動揺の色が見て取れる。
それもそうだろう。人は誰しも認識できない化物の類には、恐怖を抱くものだ――それは人の本質的なもので、生きている人間なら抗うことはできないものだろう。
困惑するバロンに向かって、メルディウスはほくそ笑みながら告げた。
「勝負あったな、バロン。お前の負けだ……降伏しろ! そして俺達の傘下に入るなら、今までの事は全て許してやるよ!」
上から目線でそう告げるメルディウス。
すでに勝利を確信したかの様な彼の言葉を聞いたバロンは、不敵な笑みを浮かべ言葉を返した。
「お前達は、なにか勘違いしてるな……元々紅蓮は囮でしかないんだよ! 最後に勝つのは俺様だああああああああッ!!」
バロンは雄叫びを上げると、森の中に散らばっていた兵士達がバロンの周りに集まってきた。その数は確実に減ってはいるものの、周囲にはまだかなりの数がいる。
彼の言う通り、数の上ではまだバロンに利が残っている。たとえ紅蓮の身を保護したところで、鼠一匹通れないほどに周りを囲む兵士達をなんとかしないことには動きが取れない。
しかも、追い込まれ明らかに平静を欠いているバロンが、握り締めた大剣をメルディウスに向け。
「数こそ力だ! 俺様のこの兵団を駆使すれば、お前達なんて虫ケラ同然なんだよ!!」
「――バロン!!」
狂ったように叫ぶバロン目掛けて、メルディウスは錆びた剣を手に斬り掛かった。
直ぐ様、大剣を振り上げ向かい打つバロン。
「うおおおおおおおおおおッ!!」
「そんななまくらで! この俺様がやられるわけないだろうがッ!!」
2人は雄叫びを上げると、お互いの得物の刃が激突する。
直後。メルディウスの持っていた剣が、バロンの持つ剣とぶつかった衝撃で粉々に砕け散った。
メルディウスは持っていた剣の残った柄を投げ捨てると、右腕でバロンの左腕を掴んだ。
「これでお前も終わりだな! 散々弄んでくれたな。俺の目の前で紅蓮に手を出して……覚悟はできてるんだろうな、この蟻野郎!!」
その殺意に満ちた声色と鋭い眼光に、バロンは狼狽える。
次に彼が何をしようとしているのか、バロンにははっきりと分かっているのだろう。
「くっ! うるさい! 獣の分際で、俺に……俺様に触れるんじゃない! 離れろッ!!」
バロンの大剣がメルディウスの左の脇腹の鎧の隙間を捉えたのと同時に、今度は大剣を握っているバロンの右腕を掴んで動きを封じた。
その直後から脇腹の鎧の隙間に突き刺さった大剣によって、メルディウスのHPバーが大きく減少を始めたが、メルディウスは一向にその手を放そうとしない――。
「正気か!? 俺様の腕を放さなければお前は死ぬんだぞ!? 死ぬのが怖くないのか貴様!!」
取り乱したように、情けない声を上げながら必死に叫ぶバロン。
メルディウスは彼が動く度に脇腹に食い込み、HPを減らす刃の苦痛に表情を歪ませながら、そんな彼に言葉を返す。
「ああ……怖かねぇ……な。俺には信じている仲間がいるんでよ……」
その時、メルディウスの背後から漆黒に輝く物体が飛んできた。
それを見たメルディウスの口元が微かに緩む。
「ふん……遅えんだよ。バカやろぉ……」
メルディウスは力無くそう呟いて項垂れる。
その直後、メルディウスの横を高速で何かが通り過ぎたかと思うと、次の瞬間にはバロンは地面に倒されていて、その上にはマスターが馬乗りの状態で覆い被さっていた。
「……バロン。今すぐにスキルを解除せよ……抵抗するならば、儂はおぬしの頭を吹き飛ばさねばならん……」
マスターはバロンの顔を右手で掴んでそう告げると、その右手から漆黒のオーラが立ち上る。その殺意を含んだ声に諦めたのか、バロンは無言のままスキルとP∨Pを解除した――。
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