異世界の国日本は、もしかしたら私たちの世界よりも多くの魔物が存在するかもしれない。

　私は闇の地の魔操師。そして、いつでも異世界へ行くことができる魔術を習得している。

　私の任務は、異世界征服のための偵察活動。我らの偉大なる魔王様の力と権威を、まずは日本で轟かせるのだ！

　そのためには、日本にどのような魔物がいるのかを調査しなければならない。もちろんこれは極秘任務。日本の家で一緒に暮らしてあげている奴隷の男にも、私の本当の目的は伝えていない。

　この異世界人は、所詮捨て駒に過ぎない。私のために働き、私のために命を落とす。その程度の存在だ。私が魔王軍のスパイだなんて、想像だにしていないはず。

　そんな異世界人が、ここ最近生意気にも夜遅くまで外で遊ぶようになっている。午後9時に帰ってくると約束したのに、9時半を過ぎても家に戻ってこないこともしばしば。一体どこをふらついてるのよ、異世界人！

　私との約束を破るなんて、許さないわよ！

　べ、別に寂しいとかそういうわけじゃないけど……。約束は約束なんだし、私はあなたの主人なのよ？ 主人との約束を破る奴隷なんて、ここが闇の地だったら鉱山送りの刑じゃ済まないわよ。

　明日は私と一緒に旅行するんだから、今夜は早く帰ってきなさい！