高校生活が残り僅かと言うところでお父さんが亡くなった。
僕はそれからしばらく学校を休む様になった。
あれだけ避けていたお父さんが居なくなって自由になれたと思っていた半面、心に大きな穴が空いたような感覚に陥っていた。
それはお父さんに感謝している部分もあったからだ。
まず、お父さんに出会ってなければ人の気持ちを考えられない人になっていたであろう。
あの威厳がなければグレていたことも考えられる。
それに、お箸の持ち方や茶碗の持ち方、食べるときのマナーを教えてくれたのもお父さん。
機嫌の良いときは勉強も教えてくれたこともあった。
ボコボコにされながらも案外いい人なんじゃないかと思っていた矢先のことだったので気持ちが追い付いてなかった。
お父さんの死をきっかけにみんなに「大丈夫?」とか言ってほしそうに振舞うようになっていた。
学校に遅刻していくのもお父さんのせい。
授業中寝てしまうのも、元気がなさそうなのも全てお父さんのせいにしていた。
お父さんの死をきっかけに、僕は人の死について深く考えることになってしまった。
—自分はどのような死を迎えるのだろう。
—あと何年生きられるのだろう。
—痛いのかな?怖いのかな?
—そもそもなんのために生まれてくるのか。
そう不安になる日も多くなった。
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