数か月後。。。。
「来週末行くからね!」と伝えると「分かったよ。お父さんも呼んでおくね」と言い、母と父が離婚して初めて父に会うこととなった。
そして当日。
「久しぶり」と父が言う。
「久しぶり」と僕も返す。
二人は感動の再会と言うよりは、かなり照れくさい再会だった。
これまでの父の生活や、僕の生活を報告しあった。
父は新聞配達とコンビニの仕事をあれから3年続けたらしい。
それに、かなりの変装をして僕の試合を見に来ていた事も分かった。
これにはかなりビックリした。
僕もこれまでの生活を話すと父は申し訳なさそうな顔をしていた。
すると何やら鞄から何かを取り出した。
そして封筒をもらった。
その中にはお金が入っていた。
僕が20歳になったら渡そうと、祖母と父が貯めておいてくれていたらしい。
「大切に使いなさい」
「ありがとう」
そして、その日初めて父と一緒にお酒を飲んだ。
その時、父が涙した。
「お前とお酒を飲む日が来るのを本当に楽しみに頑張ってきたんや。」
父の涙に僕ももらい泣きした。
祖母の手料理に美味しいお酒、父との再会と言うことない日だった。
こうして夜になり父と祖母とお別れした。
「またいつでも連絡して来いよ」と連絡先を交換した。
僕はもらったお金で、海外でバックパッカーをしようと計画を立てた。
そのバックパッカーで経験したことを活かして、起業しようとも考えていた。
そして、その資金を増やすためにバイトを3つ掛け持ちした。
体力に自信があった僕は余裕でこなし、お金を貯めていった。
そんな生活の中、訃報が相次いだ。
大親友のお父さんが亡くなった事。
離婚する前に同じマンションだった、年下の友達のお母さんが亡くなった事。
小学校の時よくお泊りしていた友達のお父さんが亡くなった事。
僕のお父さんもそうだが、50歳にも満たずなくなる人が多かった。
人間50年・・・・という言葉に続きがあるのか知らないが、この時くらいから25歳が人生の半分だと意識するようになり、以前よりも死に対する恐怖が増したり、命について考える時間が増えていった。
そして僕の人生も、これから明るい未来なのかなと思っていたが全く想像していなかった人生を歩むことにるとは、この時思ってもいなかった。
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