「あ、じゃあ僕が送りますね。」
「はい。あ、来ました。」
こうして千秋ちゃんと連絡先を交換できた。
そして僕にはどうしても聞いておかなければならないことがあった。
彼氏がいるのかどうかだ。
彼氏がいた時には僕のキャンパスライフは終わったも同然。
だから、僕は一番最初に彼女にこう聞いた「彼氏はいる?」と
「ううん。最近別れたばかり。」
「よしっ」そう心でガッツポーズをした。
どうやら前の彼氏とは3年付き合っていたらしい。
それからの僕の生活ルーティーンの一部に
【千秋ちゃんと毎日連絡を取る】が追加された。
―朝起きて千秋ちゃんに連絡。
―大学へ行く。
―帰宅する。
―バイトへ行く。
―帰宅して、飯食べて、風呂入る。
―そして千秋ちゃんと電話。
ある一日の生活はこんな感じだ。
とにかく電話の時間が楽しみで、22時から6時まで電話する日が何日も続いた。
彼女は何を話しても笑ってくれる。
その笑い声を聴きながら朝方を迎えるとウトウトしてきて、無言になる。
【無言】の時間も、お互いに全く苦じゃなかった。
「んじゃ、このあと学校で会おうね!」と
いつも寝不足で学校へ行き、授業中に寝る。
そんな日々が続いた。
ここまでの話は大学へ入学して1か月の出来事だ。
―5月
僕は千秋ちゃんを大学の近くにある景気の良い高台へ呼び出した。
自分の思いを伝えるためだ。
短い言葉で端的に伝えようと決めていたので、余計な話は一切せずに告白をした。
「千秋ちゃん、俺と付き合ってください。」
勝算はあった。
わずか1か月足らずとは言え、かなりの時間を費やした。
答えは・・・
「こちらこそよろしくお願いします。」だった。
こうして千秋ちゃんと付き合うことの出来た僕は、大学での目標を果たした。
付き合ってからも、1日に何時間も電話をするのが日課で、話題も尽きない。
あのとき何をそんなに喋ることがあったのか、今では全く思い出せない。
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