【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

989話 それをしまってほしいですにゃ!

公開日時: 2023年4月12日(水) 12:03
文字数:2,140

 あさイチで濡れタオルを持ってきてくれたサーニャちゃん。

 俺はうっかり、全裸のまま彼女と応対してしまった。

 さらにはあろうことか、全裸のまま空中回転をしてポーズまで決めてしまった。


(ああもうっ!! 何やってんだよ俺!?)


 自分で自分の行動が理解できないぞ!

 何故あんなことをしてしまったんだ!?

 しかも、それを思いっきり見られてしまっていたわけで……。

 ああぁぁぁぁぁっ!!!

 誰か穴を掘ってくれぇぇぇ!!!


 ……なんて現実逃避していても仕方がないか。

 とりあえず今は状況の整理をしよう。

 まず、サーニャちゃんには俺の大事なところを見られてしまったわけだが……彼女は驚きのあまり固まってしまっていた。


(無理もないか……)


 俺だって逆の立場だったら驚いていたと思うしな。

 しかし、いつまでも固まっているわけにはいかないだろう。

 ということで、俺から声を掛けた。


「さっちゃんさん、大丈夫ですか?」


「……ハッ!? お、おはようございますにゃ! 今日もいい天気ですにゃ!!」


 我に返った様子のサーニャちゃんだったが、やはり様子がおかしい。

 目は泳いでいるし、顔が真っ赤だし、何より言っている内容が変だった。


(そりゃこんな姿を見たら恥ずかしいよなぁ……)


 そんなことを思いつつ、とりあえず突っ込むことにする。

 ――念のため言っておくが、突っ込むといっても性的な意味ではないからな?


「さっちゃんさん、今日は曇りのようですよ。天気はあまり良くありません」


「はっ!? そ、そうでしたにゃ! 勘違いしていましたにゃ!」


 そう言って慌てて取り繕う彼女を見て、思わず苦笑してしまう俺。

 なんだか可愛らしく思えてしまうな。

 しかし、このままでは話が進まないので話を進めることにしよう。


「ところで、朝食の件なのですが……」


 俺はそう言って話題を変えることにした。

 このまま立ち話を続けていても時間の無駄だからな。

 それに、あまり大声で騒いでいると、他の人たちも起き出してくるかもしれない。

 それは避けたいところだ。

 何しろ俺たちは今、絶賛お取込み中なのだから……。


「そ、その前にひとついいですかにゃ!?」


 ところが、ここで思わぬところからストップがかかった。

 サーニャちゃんである。

 一体どうしたのだろうか?

 俺は首を傾げる。


「何でしょうか?」


 聞き返す俺に、彼女は真剣な眼差しを向けてくる。

 どうやら真面目な話があるようだ。

 俺は黙って続きを促すことにした。


「そ、それをしまってほしいですにゃ!」


「えっと、それってどれのことです?」


「だから、その……アレを……ですにゃ!」


 彼女は顔を赤らめながら言う。

 ……ふむ、この様子だと間違いないようだな。

 俺は彼女の言わんとしていることを理解した。


「ああ、なるほどそういうことでしたか! いや~すみませんね~」


 俺は机の上に出しっぱなしだったナイフを鞘に納めた。


「俺たち冒険者は刃物に慣れていますが、やはり普通の人にとっては恐ろしいものですよね! 配慮が足りませんでした!」


「……へっ?」


 間の抜けた声を出すサーニャちゃん。

 そんな彼女を置き去りにして、俺は続ける。


「安心してください! こうしてちゃんと収納しましたから!」


 そう言いながら、床に置いてあったカバンの中にナイフをしまう俺。

 普段はアイテムルームに入れているが、カモフラージュのためにカバンを出しておいて良かったぜ。


「……あっ! いや、そうじゃなくて……!」


 そこでサーニャちゃんから待ったがかかる。

 何か間違っていただろうか?


「そっちじゃなくて、下の方を収めてほしいんですにゃ!」


 ああ、そっちだったのか。

 話題そらしに必死で、大元の原因を忘れていたぜ。

 俺はまだ全裸のままだったか。


「失礼しました。では、パンツを穿いて――むっ!?」


 そこで俺は問題に気付いた。

 普段の俺は、水魔法で身をきれいにしている。

 しかし今日は、濡れタオルで体を拭こうと思っていた。

 濡れタオルをもらったのは、つい先ほど。

 つまり、俺の体はまだ少しばかり汚れている状態なのである。

 特に、昨晩に大活躍した部位がいろんな液体にまみれていて……。


「しまったな……。これでは穿けない……」


 これはマズイことになった。

 さすがにこれをそのままにしてパンツを穿けば、気持ち悪いことになりそうだ。

 かといって、全裸のままではサーニャちゃんに悪いし……。


(うーん、どうしたものか……)


 そんなことを考えていたとき、ふと閃いた!


「そうです! せっかくですし、さっちゃんさんがこれを拭いてくれませんか?」


 我ながらナイスアイデアだな!!

 そんな自画自賛する俺をよそに、サーニャちゃんは目を白黒させている。


「ええっ!? にゃぁがですかにゃ!? そんなことできませんにゃ!」


「いえいえ、遠慮なさらずに」


「いえいえいえ、そういうわけにはいきませんにゃ!」


 必死に固辞するサーニャちゃんだったが、俺としては引き下がるつもりはない。

 こうしている間にも時間は過ぎていくからな。


「お願いしますよ~! ほら、ここをその濡れタオルで拭いてください」


「わわっ!? ダメですにゃ! そんなに押し付けないでくださいにゃ~!」


 ――こうして、朝のドタバタ劇が進んでいく。

 何とかしてサーニャちゃんを言いくるめ(?)、俺は朝の身支度を整えた。

 そしてモニカやニムと共に朝食を食べ、オルフェスの街中へと繰り出したのだった。

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