【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1511話 死屍累々

公開日時: 2024年9月19日(木) 12:18
文字数:1,288

「ぬうううううううう!!」


 金剛が棍を振り下ろす。

 俺はそれを刀で受け止めた。


「ぐ……!」


 重い一撃だ。

 だが、今度は吹き飛ばされない。


「……!?」


 金剛は驚いた顔をする。

 彼は大男であり、鋼の肉体や剛力を活かした戦い方が得意なようだ。

 だが、チートによって強化された俺ならば、それに真っ向から対抗することができる。


「馬鹿な……! こんなことはありえん……!!」


 金剛が動揺している。

 このまま一気に勝負を決めたい。

 しかし、そう上手くはいかないようだ。

 彼はまだ勝負を諦めていなかった。


「この手は使いたくなかったが……」


 金剛は呟く。

 そして、懐から布切れを取り出した。


「それは……?」


「これは例の娘っ子のふんどしだ。雷轟殿の刀で切り裂かれた、な……」


「……!」


 俺は動揺する。

 娘っ子――つまりは桔梗のふんどし……!?


「さらわれた武神流の跡取り……。まさか、無事だとでも思っていたのか?」


「な、何だと……?」


「雷鳴流師範の雷轟殿が武神流の跡取りを孕ませれば、二派は完全に融合する。融合せざるを得ない。雷鳴流は武神流の技術を取り込み、勢力を拡大する。雷轟殿は、桜花七侍としてより一層の貢献をしていくことができる」


「……」


「雷轟殿は、武神流を潰すことによる利益を景春様に説明した。それを受け、景春様は我に命じられた。武神流を潰せとな……!」


「くっ……! どこまでも腐った真似を!!」


 俺は怒りに震える。

 桜花藩の政治事情について、まだ理解しきれていないことも多い。

 だが、多少の事情は把握している。


 桜花七侍だった武神流師範は、代替わりした藩主に疎まれてしまったのだろう。

 武神流師範は桜花七侍の任を解かれ、代わりに雷鳴流師範が桜花七侍に任じられた。

 雷鳴流師範の方は、武神流師範とは違って新藩主である景春に気に入られている。

 そのような事情があり、結託して武神流を潰そうとしているのだと思われる。


「理解したか? 貴様が我を打ち倒したところで、手遅れなのだ。娘っ子を孕ませてしまえば、それで終わりだからな。既成事実というやつだ」


「……っ!」


 俺は歯ぎしりする。

 桔梗は責任感のある頑張り屋さんだ。

 そんな彼女の心を、この卑怯者たちは気にもとめていない。


「……そうか。お前は、ここで死ね」


「なんだと?」


 俺は刀を構える。

 心の底から、何か黒い感情が溢れてくる。

 この気持ちはなんだろう?

 視界に映らないドス黒いオーラの流れが、マグマのように煮えたぎっている。


 ひどく危うい感情だが……今はそれに身を任せよう。

 俺は大きく深呼吸し、刀に闇のオーラをまとわせる。

 そして、居合の構えを取った。


「一刀流居合――」


「さっきも見せた居合術か? 無駄だ。同じ技は我に……」


「――死屍累々!!」


 俺は刀を振り抜く。

 すると、黒い斬撃が金剛に向かって放たれた。


「……っ! ぐはっ……!!」


 俺の放った斬撃は金剛に命中する。

 そして、その肉体に深い傷を刻んだ。


「お、おのれ……!」


 金剛は出血する傷口を押さえる。

 かなりの深手だが、致命傷ではない。

 俺は追い打ちをかけるべく、再び居合の構えを取るが――


「そこまでにしておけ、金剛よ」


 突如として、その場に第三者の声が響き渡ったのだった。

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