【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1268話 リカバリー

公開日時: 2024年1月18日(木) 12:03
文字数:1,265

 俺は『エリアヒール』を発動し、戦士たちの傷を治療した。

 これでほとんどの者が一命をとりとめただろう。

 しかし、中には治療がまだ不十分な者もいる。

 リリアンたちに手伝ってもらい、俺は残りの怪我人を発見した。


「うっ……ぐっ……!」


 戦士の人魚族はうめき声をもらす。

 かなり苦しそうだ。


「左足の出血が激しいな……」


 見た感じ、半分近くの肉が削げ落ちている。

 骨も露出してしまっているようで、痛々しく見える。


(これでは確かに、『エリアヒール』では治療できんな)


 いくらチート持ちの俺でも、限界はある。

 ここまでの怪我は、『エリアヒール』では対処しきれないだろう。

 もちろん全くの効果なしというわけではないので、これでも当初よりはマシになっているのだろうが……。

 元々はどれほどの重傷だったのか、想像するだけで痛い。


「うっ……! ぐぅっ……!!」


 人魚族の戦士は苦悶の表情を浮かべ、体をよじらせている。

 この傷を放置していたら、命にかかわる。

 さっさと処置しなければ……。


「――慈悲深き治療の神よ。彼の者の命の灯を繋ぎ止め、その体を癒やしたまえ――【リカバリー】」


 俺はすぐさま詠唱を開始した。

 この魔法は『キュア』『ヒール』などよりも効果の高い上級の治療魔法である。

 中級の『エリアヒール』と違って単体を対象とする魔法だが、その効果は折り紙付き。

 簡単な治療魔法で完治しない場合、この魔法を使うことが多い。


「うぐっ……!? あ、あれ……? 痛く……ない?」


 人魚族の戦士は呆然とした表情を浮かべる。

 もう苦痛は感じていないようだ。

 正確に言えば、まだ完治していないので若干の痛みはあるはずだが……。

 直前までの激痛に比べれば遥かにマシだろう。


「なっ!? ま、まさか『リカバリー』まで……! こ、これほどの治療魔法を使えるとは……!?」


 リリアンが驚愕の声を上げる。

 彼女だけでなく、周囲の者たちも目を大きく見開いている。


「どうだ? 見直してくれたか?」


「は、はい。まさか、人族の中でも屈指の治療魔法使いでしたとは……。感服いたしました」


 リリアンはそう言って、丁寧に頭を下げる。

 どうやら、俺のことを認めてくれたようだ。

 俺は治療魔法専門ではないので、『治療魔法使い』と呼ばれることに若干の違和感を覚えなくもないのだが……。

 別に訂正するほどでもないか。


「よし……。それでは次の重傷者の治療に向かおう。どこにいる?」


 俺はそう言って周囲を見渡す。

 これだけ怪我人が多いと、『エリアヒール』で対処できなかった者が他にいてもおかしくない。


「ナイトメア・ナイト様! リリアン様! こちらに様子のおかしな者がいます!!」


「分かった! すぐに行く!」


 人魚族の女性職員が俺とリリアンを呼んだ。

 その様子はどこか焦っているように見える。

 やはり、まだ負傷者がいたようだ。

 俺はリリアンと共に急いで向かうことにした。


(しかし、妙な表現だったな? 『重傷者』ではなく『様子のおかしな者』か……)


 俺は妙に思う。

 しかし、考えていても仕方ない。

 実際に見た方が早いだろう。


(一体、どんな症状が……?)


 俺は首をひねりながら、呼ばれた場所へ急ぐのだった。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート