【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1673話 神器顕現:蒼月神楽

公開日時: 2025年3月1日(土) 12:10
文字数:968

 ……君は?

 そう尋ねる間もなく、少女は剣を抜いた。


『神器顕現:蒼月神楽(そうげつかぐら)』


「なっ……!?」


 刹那、蒼白い光が迸る。

 凍てつくような輝きが夜闇を裂き、視界を奪った。

 風が渦巻き、大気すら震えている。

 次の瞬間、嵐のような剣撃が襲いかかった。


 一撃。

 二撃。

 否――刹那にして無数の斬撃。


 目で追うことすら叶わない速さ。

 否応なく迫る刃の奔流に、俺は本能的に闘気を全開にして防御を固める。

 しかし――


「くっ……!」


 刃が触れた瞬間、ただの剣ではないことを悟った。

 重さがない。

 それなのに、精密かつ残酷なまでに鋭い軌跡を描き、俺の守りを容易く裂こうとする。

 刀身が肌をかすめた瞬間、体の内側を抉られるような錯覚に陥る。

 単なる切れ味の鋭さではない。

 まるで、魂そのものを削ぎ落とされるような感覚。


「この……!」


 圧倒的な力の前に、地面が抉れ、土砂が舞う。

 俺は後退を試みる。

 しかし――


「……っ!?」


 足が動かない。

 足元に広がる蒼の陣。

 絡みつく光の糸が俺の全身を蝕み、じわじわと締めつけるような感覚が広がっていく。


 重い。

 沈み込むような圧迫。

 全身が粘つくような力に絡め取られ、思うように動かせない。

 まるで蜘蛛の巣に囚われた虫のように、じわじわと自由を奪われていく。


「高志様っ!!」


 紅葉の悲鳴が耳を打つ。

 彼女の声に意識を向けた、その瞬間――

 鋭い閃光が、俺の視界を焼いた。


「がっ……!」


 少女の剣が、俺の胸を貫いていた。

 熱い。

 焼け付くような激痛が、全身を駆け巡る。

 だが、それだけではない。


 これは――魂ごと、斬られている……?


 剣が触れた瞬間、内側から崩れていくような感覚に襲われた。

 四肢の力が抜け落ち、地に足がついているはずなのに、現実から切り離されていくような錯覚。

 意識の深奥が裂けるような感触に、立っているのか、倒れているのかすら分からない。

 世界が揺れ、視界が歪む。


『揺るがぬ運命への反逆……。万象を清め、混沌を断ち切り、真なる道を指し示す――この神剣ならば、あるいは……』


 冷たく、淡々とした声。

 だが、その言葉に込められた意味は、計り知れぬほどの覚悟と、揺るぎない決意に満ちていた。


 抗えない。

 声すら出せない。

 俺の中で、何かが確かに断ち切られていく。


 魂が軋む。

 全身が軋む。

 ただ、それに耐えることしかできない。


 少女の攻撃は、まるで俺の魂を斬り裂くかのような痛みをもたらした――

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