【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1352話 夢幻流転の術

公開日時: 2024年4月13日(土) 12:20
文字数:1,328

 俺は『霧隠れの里』でカゲロウという女性に迫っている。


「なぁ、いいだろ? もっと俺について知りたくはないか?」


「た、助けて! 誰か、私を助けて!!」


 カゲロウは泣き叫ぶ。

 こんな反応をされると、まるで俺が悪者みたいだ。


「カゲロウ、俺は本当にお前と親しくなりたいと思っているんだ。だから……」


「い、いや! 私に触らないで!!」


 カゲロウは俺を押しのけようとする。

 しかし、今の俺は『闘気』と『魔力』を全開にした状態だ。

 そんな俺の力に対抗できるはずもなく、カゲロウはジリジリと後退するだけだった。


「なぜだ? 俺のことが嫌いなのか?」


「き、貴様のような変態を好きになる者などいるわけがないだろう! それに、里長としての責任もある。得体の知れない異国人を受け入れるわけにはいかない!!」


「むっ……」


 俺が異国人だと、どこでバレたんだ……?

 俺は黒髪黒目である。

 ここの住民と大きな差はないはずだが……。


 それに、失言もしていないと思う。

 していないよな?

 まさか、『俺はサザリアナ王国から来たタカシ=ハイブリッジ男爵だ。よろしく頼む』なんて自己紹介もしていないし……。

 俺がやったことは、異国の下着であるフンドシを試着したことぐらいだ。


「誰かー!! 助けてーー!!!」


 カゲロウが大声で助けを求めている。

 ここでようやく、騒ぎを聞きつけた住民たちが集まってきた。

 この状況下ではカゲロウへのアプローチを続けるわけにもいかない。

 俺は仕方なく彼女から離れる。


「カゲロウ様!? お怪我はありませんか?」


「また侵入者ですか……! 呪符の再備蓄はまだまだ進んでませんよ!?」


「異国人の変態め……! 下半身をさらけ出しながらカゲロウ様に迫るとは!! 許すまじ!!!」


 住民たちが口々に叫ぶ。

 また侵入者……?

 呪符……?

 気になるワードがいくつかあった。

 しかし、俺が質問するよりも早くカゲロウが動く。


「今が好機っ! はあああぁっ!!」


「むっ? この波長は……」


 俺の足元に魔法陣が浮かび上がった。

 おそらく、転移魔法系の術だろう。

 だが、俺が普段使っている転移魔法とは少しばかり仕様が違った。

 上手くレジストできない。


 俺は驚いた。

 だが、それ以上に住民たちが驚いていた。


「カゲロウ様!? その術は……まさか!?」


「あの禁呪を使われるのですか!? いけません! このような変態に、それを使うべきでは――」


 住民たちが止めようとする。

 よく分からないが、危険な術らしい。

 あるいは、危険ではないが発動回数が限られている特殊な術か何かだろうか?

 俺としても、得体の知れない術を使うのはやめてほしいところだが……。

 カゲロウは止まらなかった。


「彼は変態だ! しかし、その実力は本物! こうでもしないと対処できない!!」


「で、ですが!!」


「『霧隠れの里』を守護せし巫女よ……。どうか、里に仇成す侵入者を封印してくださいませ……」


 カゲロウが詠唱を続ける。

 やはり、上手くレジストできない。

 マズイな……。


「カゲロウ様っ! おやめください! その術は……!!」


「危険です! 万が一、適合でもされたら……!!」


「その時はその時だっ!! 【忍法・夢幻流転の術】!!!」


 住民たちが叫ぶ中、カゲロウが詠唱を完成させた。

 それと同時に、俺は魔法陣の中に吸い込まれていく。

 そして、俺の視界は暗転したのだった。

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