【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

115話 モニカの足のケガの治療

公開日時: 2020年11月8日(日) 22:07
文字数:2,845

 モニカと別れた後。

ラビット亭を後にし、冒険者ギルドに戻る。

受付嬢のネリーに話しかける。


「ネリーさん。少しよろしいですか」


「はい。なんでしょう」


「魔石を売りたいと思っているのですが。冒険者ギルドで買取可能でしょうか」


「はい、可能ですよ。現物を見せていただけますか」


 アイテムルームから魔石を取り出し、カウンターに乗せる。

ネリーが魔石を見る。


「こ、これは! かなり上質な魔石ですね。どのような大物だったのですか?」


 ネリーが驚いた顔でそう言う。


「いえ、この魔石はもらいものでして」


「そうですか。この魔石だと、金貨200枚以上の価値はあると思います」


「そ、そんなにですか」


 思っていたより高価だ。


 魔石は、魔物の体内で生成される石だ。

魔素が結晶化したものらしい。

極まれに魔物からはぎ取れる。

残念ながら俺たちが討伐した魔物から入手できたことはない。

入手できたらラッキーぐらいのものと聞いている。


「それぐらいはします。詳細の値段は、鑑定担当の職員に算出させます。明日の午後以降にまた来ていただけますか?」


「わかりました」


 ネリーが何かの書類に書き込んでいる。


「……では、こちらが魔石の預り証です」


 預り証を受け取る。


「確かに。では、よろしくお願いします」


 これで魔石の現金化の段取りはよし。

明日の朝、まずはモニカのラビット亭を改めて訪れてみよう。



●●●



 翌日の朝。

俺、ミティ、アイリスの3人でラビット亭に向かう。


 モニカがいた。

半壊した店の片付けを行っているようだ。

少し様子を伺おう。


「ふう。まだまだ片付けの先は長いなあ」


 モニカがそうこぼす。


「が、がんばりましょう。モニカさん」


 そう言ったのは、ニムだ。

犬獣人の少女である。


「手伝ってくれてありがとうね。ニムちゃん」


 モニカとニム。

彼女たち2人で、協力してガレキの片付けをしている。

彼女たちは面識があったのか。


「い、いえ。私でよければいくらでも手伝います」


「ありがとう。ちょっと休憩にしよっか」


 俺たちが来るよりもかなり前から作業していたのだろう。

ここらでひと休憩するようだ。


「こ、これ、私の畑で取れたリンゴです。いっしょに食べましょう」


 ニムがかごからリンゴを取り出す。

俺も以前、彼女からリンゴを売ってもらったことがある。

良い味だった。

モニカに渡してアップルパイにしてもらったこともある。


 ああ。

そう言えば、そのアップルパイの一部をニムにあげたこともあったな。

懐かしい思い出だ。


「ニムちゃんの畑にも被害が出たんでしょう? 無理しなくてもいいんだよ?」


 俺はニムと少し話したことがある。

彼女の家は、率直に言えば経済的に困窮している。

モニカに手を差し伸べる余裕などないはずだ。


「い、いえ。モニカさんには、ご飯を分けてもらった恩がありますから」


 俺がいない間に、モニカがニムにご飯を分けてあげたりしていたのか。

その恩を忘れず、今度はニムがモニカに手を差し伸べているわけか。

自分にも余裕はないはずなのに。

ええ子や。


「ありがとう。ニムちゃん」


 彼女たちは作業を中断し、リンゴを食べ始める。

しばらくして、彼女たちがリンゴを食べ終える。

話しかけるなら今かな。


「モニカさん。こんにちは」


「やあ、タカシ。どうしたの?」


 モニカがこちらに目を向ける。


「昨日ミティたちとも相談したのですが、店の復旧作業で何か手伝えることはないかと思いまして」


「いいの?」


「ええ。またモニカさんのおいしい料理を食べたいですし」


 これは本音だ。

メインは忠義度を稼いでからの加護付与だが。

彼女のおいしい料理を食べたいのも嘘ではない。


「じゃあ遠慮なく頼もうかな。申し訳ないけど、店が再開して軌道に乗るまではあまりお礼もできないよ。無理のない範囲で手伝ってね」


「わかりました。紹介しておきます。新しいパーティメンバーのアイリスです」


「アイリスだよ。よろしくね、モニカさん」


 アイリスがフランクに挨拶する。

俺やミティと初めて出会ったときもこんな感じだったな。

彼女の性格だ。


「よろしく、アイリスさん」


 モニカがアイリスに挨拶を返す。


「ミティもアイリスも、力は強い。力仕事は任せてください。俺もがんばります」


 腕力の強さは、ミティ>>俺>アイリスだ。

ミティがぶっちぎりで強い。

俺はミティには大きく劣るものの、腕力強化レベル1のスキルを持っているし、一般的には間違いなく強いほうだ。

アイリスは腕力強化のスキルは持っていないが、もともと鍛えているし、加護付与により基礎ステータスが3割向上している。

いざとなれば闘気による出力アップもあるし、一般人と比べると段違いに力が強いと言っても過言ではない。


「あと、俺とアイリスは治療魔法を使えます。ケガをしたときは遠慮なく言ってください。まずは、その足の治療をしましょう」


「えっ。治療魔法も使えるんだ。……タカシって、もしかして将来有望な冒険者なの?」


 モニカが驚いた顔でそう言う。

そう言えば、治療魔法を使えるようになるには、専門の学校や教会で数年間学ぶのが一般的なんだったか。

激レアというほどではないが、すごいと言えばすごい方なのだろう。


「自分で言うのもなんですが、今回訪れていた街でもいろいろと活躍しました。今はCランク冒険者です」


 このあたりの伝え方は難しい。

どう伝えれば忠義度が稼ぎやすそうか。


 あんまり謙遜し過ぎるのも良くないだろう。

かと言って、ドヤ顔であれこれ武勇伝を語るのもな。

やり過ぎると、逆に忠義度が下がりそうだ。

バランスが難しい。


「へ、へぇ。すごいんだね」


 モニカがそう言う。

ちょっとは見直してくれたかな。


「では、足を出してください。包帯もほどきますね」


「ん……」


 モニカが足を差し出してくる。

包帯をほどいていく。


 彼女は兎獣人だ。

兎獣人だけあって、なかなかに強靭な足をしている。

おそらく、特別に鍛えたりはしていないだろう。

種族の特性といったところか。


 ふむ。

なるほど。

思わず、モニカの足をあれこれ触ってしまう。


「……タカシ様?」


「……ちょっと、タカシ?」


 ミティとアイリスから声をかけられる。


「はっ!?」


 我に返る。

いけないいけない。

自分を見失っていた。


「あ、ああ。ごめん。今から治療魔法をかけますね」


 ミティとアイリスが静かに怒っているような気がする。

なんとなくヤバそうな気配を感じる。

心を無にして、治療に専念しないと。


「……神の御業にてかの者を癒やし給え。ヒール」


 治療魔法レベル2のヒールを発動する。

モニカの足の傷が治っていく。


「すごい……。こんなにすぐに治るものなんだ」


 モニカが感心している。


「傷は塞がったようです。中まできちんと治っているかまではわかりません。痛みはありませんか? 動きは問題ないですか?」


「痛みはなくなったみたい。動きも……問題なさそうかな」


 モニカが足を動かしつつ、感覚を確かめている。


「それはよかったです。念のため、激しい動きは控えてくださいね」


「わかった。ありがとうね、タカシ」


 モニカからお礼を言われる。

喜んでもらえたようだ。

俺もうれしい。

……ミティとアイリスからの視線は少し怖いが。

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