【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

842話 ラフィーナへの加護(小)付与

公開日時: 2022年11月15日(火) 12:12
文字数:2,202

 俺はラフィーナと共に、とある中規模の街を初めて訪れた。

 そこの冒険者ギルドに入ったところ、俺の知り合いっぽい女性に話し掛けられた。


(というか、”犬狩り”だって?)


 確かに、俺は一時期そう呼ばれていた。

 冒険者ギルドに登録したばかりの頃だな。

 俺はラーグの街を拠点に、ファイティングドッグばかりを狩っていた。

 しかしその後、ゾルフ砦やハガ王国を訪れた際には、ファイティングドッグ狩りはぼちぼち程度にとどめていた。


 そして、ガロル村の一件が終わった頃には、”紅剣”の二つ名が与えられる。

 それからはすっかり”紅剣”の方が有名になり、”犬狩り”と呼ばれることはなくなった。

 さらに貴族になってからは、騎士爵様や男爵様と呼ばれることも増えた。


 それらの呼び名よりも”犬狩り”が先に来るということは、相当に古い知人だ。

 なおかつ、最初期で知り合った後は再会していない者である。

 つまり――


(だ、誰だ……? 分からん……)


 俺は必死になって頭をフル回転させ続ける。

 すると、彼女の後方からさらに2人の少女が現れた。


「ふふふー。ひょっとしてだけど、忘れられてるんじゃないかな?」


「確かにその可能性が高いっす。”犬狩り”さんとは、一度護衛依頼で共にしただけっすから」


 護衛依頼……?

 ええと、あー、あれだあれ。

 思い出してきた。


「いやいや、もちろん覚えているとも。エレノだろう?」


「エレナよ。ぶっ飛ばすぞコラ」


 凄い目で睨まれた。

 怖い……。

 しかし惜しかったな。

 一文字違いか。


「改めて自己紹介しておこうかしら。私はエレナ。Cランクパーティ“三日月の舞”のリーダーにして、一流の火魔法使いよ!」


「ふふふー。わたしはルリイ。雷魔法使いだよー」


「オレっちはテナっす! 土魔法を使うっす!」


 3人が口々に名乗りを上げた。

 なるほど。

 徐々に思い出してきた。


 ラーグの街からゾルフ砦に向かう際に、共に隊商の護衛依頼を受けたメンバーだ。

 他にはミティ、ギルバートたち”漢の拳”、ラゴラスたち”竜の片翼”がいたっけな。

 懐かしい。

 それにしても、あれから2年以上経つのか。

 月日が流れるのは早いものだ。


 だが、彼女たちは相変わらずCランクにとどまっていると。

 まぁ、チートを持つ俺の成長速度が異常なだけだが。


「俺も改めて自己紹介しておこうか」


 ふふふ。

 ”紅剣”の二つ名を持つBランク冒険者で、しかも男爵位まで授かっている。

 さずかし驚いてくれることだろう。


「俺の名はタカシ=ハイブ――」


「おおい! “三日月の舞”さんよぉ! そろそろ出発するぞ!」


「はーい! 今行くわ!!」


 いいところで邪魔が入った。


「悪いわね。依頼主を待たせるわけにはいかないから、私たちはこれで失礼するわ。タケシも元気でね」


「ふふふー。また今度会ったら、近況を報告し合おうねー」


「オレっちたちはラーグの街に向かうつもりっす! 割の良い仕事があるらしいっすから!」


 エレナ、ルリイ、テナが俺に手を振りながら去っていく。


「……行ってしまった」


 せっかく、ドヤ顔で名乗ろうとしたのに。

 現状の彼女たちの認識では、俺はDランク冒険者のままっぽいな。

 まぁ、ラーグの街に行くと言っていたし、ひょっとしたら再会することもあるかもしれない。

 その時こそ、俺のドヤ顔の出番だ。


「……あの。先ほどの方々はお知り合いですか?」


「ああ、駆け出し冒険者だった頃に少し世話になったんだ」


「へえぇ……」


 ラフィーナが興味深そうにしている。

 俺の過去がそんなに気になるか?


「冒険者ギルドの見学はこれぐらいでいいだろう。次はどうしようか?」


「ええと、少しお腹が空いたので何か食べたいのですが……」


「いいだろう。お金はあるから、好きなだけ食べるといい。この街で最高級のレストランにでも行ってみようか?」


「えっ!? いえ、さすがにそこまでは……」


 遠慮しようとするラフィーナだったが、俺は強引に彼女を連れてレストランに向かった。

 そして、食事をしながら雑談をする。


「なかなか悪くない味だ。ラフィーナの口には合ったか?」


「はい。とても美味しいです!」


「それは良かった」


 彼女は笑顔を浮かべて料理を食べていた。

 その様子は小動物みたいに愛くるしく、つい見惚れてしまうほどだった。


(……おっ! いつの間にか、加護の条件を満たしているじゃないか!)


 俺は心の中でガッツポーズをした。

 ラフィーナが加護(小)の条件を満たしたからである。

 実質的に交流した日数は4日以下。

 これまででぶっちぎりの最短記録だな。



レベル?、ラフィーナ=カーチェ

種族:ヒューマン

身分:村長の孫娘

役割:ーー

職業:ーー

ランク:ーー


HP:???

MP:???

腕力:低め

脚力:???

体力:???

器用:高め

魔力:???


残りスキルポイント:???

スキル:

礼儀術レベル2(1+1)



 まだ幼女なので、ステータスに特筆すべきことはない。

 しかし強いて言えば、スキルが珍しいか。

 幼女にしては礼儀正しいと思っていたが……。

 いずれにせよ、総合的には今後に期待といったところだ。


「……? どうされましたか? 私の顔に何か付いていますか?」


「いや、何でもないよ。可愛いなと思って見ていただけだ」


「なっ!?」


 俺の言葉を聞いたラフィーナは、顔を真っ赤に染める。

 その表情の変化は実に分かりやすいものだった。


「あ、ありがとうございます。……えへへ」


 ラフィーナが嬉しそうに微笑む。

 こうして、彼女とのデート(?)は成功に終わった。

 その後は村に戻り、翌朝にはラーグの街に向けて出発したのだった。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート