【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1271話 ホーリーシャイン

公開日時: 2024年1月21日(日) 12:12
文字数:1,265

 治療岩で、闇の瘴気に侵された狂戦士が暴れた。

 俺は彼から武器を取り上げ、周囲の戦士たちと協力して無力化する。

 次にするべきことは――。


「闇の瘴気を祓えば、彼も元通りになる。それは俺が保証しよう」


「ナイトメア・ナイト様がそうおっしゃるなら……。どうか、よろしくお願いいたします!」


 リリアンは深々と頭を下げる。

 治療師としての責任感からの行動だろう。

 闇の瘴気は治療魔法では対応できないので、彼の処置はそもそもリリアンの管轄外なのだが……。

 責任感が強い彼女は、自分の力の至らなさを痛感したようだ。


「ああ……。任せておけ」


 俺はそう言って、狂戦士の方へと向き直る。

 彼はまだ抵抗を続けていた。


「グウゥッ!!」


 口からは涎を垂らし、目つきも普段の数倍悪い。

 手足もプルプルと震えており、明らかに正常な状態ではないことが分かる。


「――神聖なる光の力よ。彼の者に宿りし闇を祓いたまえ――【ホーリーシャイン】」


 俺は聖魔法を使用した。

 俺の中にある聖魔力が活性化し、体から溢れ出す。

 そして、その光は狂戦士の体を優しく包み込んだ。


「ナ……ナンダ、コレハ……?」


 狂戦士は自分の体の変化に戸惑う。

 先程までの凶暴な様子が嘘のように、大人しくなった。


「あ……あぁ……。俺は何を……?」


 正気を取り戻したらしく、彼は呆然としている。

 どうやら、自分が何をしていたのかあやふやなようだ。


「どうだ? 俺が分かるか?」


 俺は彼の前にしゃがみ込み、優しい口調で話しかける。

 彼は呆然としたまま俺の方を見た。

 そして、ハッとした。


「誰だ? お前は……?」


「…………ふむ。俺が分からないのか」


 俺は天を仰いだ。

 瘴気の影響とはいえ、まさか俺のことを忘れているとは……。

 これはなかなか衝撃的な展開である。


「参ったな。記憶障害が残っているらしいぞ、リリアン」


「へ? あ、あの……」


 困惑した表情を浮かべるリリアン。

 やはり困るよな。

 記憶というのは、人格にも関わってくる重要事項だ。

 それをきれいさっぱり失っているというのは、問題だと思うのだ。


「ナイトメア・ナイト様は、以前から彼と面識があったのですか?」


「いや。初対面だ」


「え……?」


 俺の答えにリリアンは困惑の色を深める。

 何か変なことでも言っただろうか?

 俺が疑問に思っていると、彼女は言葉を続けた。


「そ、それでは彼があなたのことを知らなくて当然では……?」


「……! そ、そう言えばそうか」


「ええ。そもそも、ナイトメア・ナイト様のお顔はまだまだ人魚族に認知されていません。『ジャイアントクラーケンと戦った強力な人族がいる』という噂程度は、広まりつつありますが……」


「…………」


 それを聞いて、俺は押し黙った。

 言われてみればその通りである。


「俺はバカだ。やはり、俺はバカだったんだ……」


「い、いえ! ナイトメア・ナイト様が頭が悪いなどと、そんなことはありません! ただ、ちょっと抜けてらっしゃるだけです!!」


 リリアンは必死に俺をフォローしようとする。

 彼女の優しさが身に沁みた。

 その後、戦士に記憶障害が残っていないことを無事に確認する。

 こうして俺は、無事に狂戦士を浄化したのだった。

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