【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1196話 ティーナ繝?ぅ繝シ繝

公開日時: 2023年11月6日(月) 12:42
文字数:1,875

 古代アンドロイドのティーナにエラーが発生している。

 即座に機能停止するようなものではないが、放置するのもマズイだろう。

 なんとかしてやりたいと思った俺は、チートスキル『ステータス操作』を使うことで解決できないかと考え始めた。


「しかし、俺が取得できるスキルの中に有効そうなスキルはない……か」


 俺はステータス画面を操作しつつ、取得候補となるスキルの一覧を確認する。

 数多くの有用そうなスキルがある。

 だが、その中にはティーナを正常に戻せそうなものはない。

 強いて言えば『魔道具作成術』や『魔道具操作術』あたりだが、古代アンドロイドが『魔道具』という括りの中に入るかは微妙だ。

 ないよりはあった方が良さそうなスキルだが、それでエラー解消に繋がるかは不透明である。


「うーむ……。ならば他のメンバーのスキル取得候補欄は……」


 俺と同じく、『ステータス操作』によってスキルを取得できるミリオンズのメンバーたち。

 俺は彼女たちのステータス画面を開き、取得・強化候補のスキルを見ていく。


「当たり前だが、ほとんど俺と同じなんだよな……」


 取得候補のスキル欄に表示されているものの99パーセントは、俺と同じものだ。

 そもそもチートスキル『ステータス操作』は、スキルポイントさえ使用すれば誰でも強くなれる類の能力である。

 人によって差があるのは、『闘気術』や『聖魔法』のように最初だけは自力で習得しなければならないスキルぐらいである。


 俺たちミリオンズは多種多様な趣味嗜好を持つが、基本的にはラーグで共に暮らしてきた。

 お互いがどんなことを得意としているか知っている。

 良くも悪くも、『彼女にこんな得意分野があったのか!』といった驚きは少ない。

 それでも、もしかすると『古代アンドロイド製造術』や『古代知識』といったスキルが取得候補に表示されているかもと、一応確認していく。

 だが――


「やはり、ないか……」


 俺は大きくため息をつく。

 そもそも、そんな技術名は聞いたことがない。

 俺たちが自力習得したことのある『闘気術』や『聖魔法』は、『スキルの取得候補欄にはないが、そういった技術を扱っている者が一般に存在している』という前提条件がある。


「どうしたものか。困ったぞ……」


 俺は悩む。

 アレでもないコレでもないと、ステータス画面をいろいろと操作していく。

 そして、1つの光明を見つけた。


「むっ!? こ、これは……?」


 俺はステータス画面の表示を見たまま固まる。

 加護付与スキルの対象候補者の一覧だ。

 そこには、『ティーナ繝?ぅ繝シ繝』という表示が確かにあった。


「どういうことだ?」


 俺は困惑していた。

 これまで、ティーナがこの欄に表示されたことはない。

 彼女は古代アンドロイドであり非生物だ。

 いや、人工知能を持つ彼女が非生物かどうかは断言できないにせよ、少なくとも人外ではある。

 そこらの魔物や動物、あるいはファイアードラゴンや幽霊と同じく、加護付与スキルの対象外だと思っていた。

 実際、加護付与の候補者として表示されたことはなかったので、その認識で正しかったはずだ。


「どうしてこのタイミングで……? しかも、文字化けしているし……」


 俺が名付けた『ティーナ』の名前はちゃんと表示されている。

 だが、そのすぐ隣には『繝?ぅ繝シ繝』と表示された文字があった。

 これはいったい……?

 ティーナのエラーだけに留まらず、俺の加護付与スキルまでエラーを起こしている?

 いや、加護付与スキル自体は正常であり、エラー中のティーナの状態が文字化けで表示されているだけか?


「ピピッ……。マスター?」


 俺があれこれ考えていると、ティーナが声をかけてきた。

 思考を中断し、彼女の方を見る。


「ああ……。実は……」


 俺はティーナに今の状況を簡単に説明する。

 彼女はこれまでのミリオンズ会議にも出席してきた。

 加護付与スキルの対象外だったので、彼女のスキルを操作したことはない。

 だが、俺にそういった類の能力があることは知っている。

 今さら秘密にすることではないだろう。

 それに、これは彼女自身にも関わってくることだからな。


「ピピッ! と、当機がその能力の対象に……?」


「ああ。もしかすると、ティーナの人工知能が発達して、加護付与スキルから人間として認められたのかもしれない」


 俺はそう考えた。

 人工知能が人間と触れ合うことで、知能を進化させる。

 マンガとか小説ではよくあることだ。

 まぁ、自分が当事者になるとは思ってもいなかったが……。


(さて。思わぬ事態だが、これがエラー解消の光明となり得る。このまま話を進めてみよう)


 俺はティーナを見つめる。

 こうして俺は、今回の事態解決に向けて動いていくのだった。

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