「おはよう、イノリ」
俺は彼女に声をかける。
すると、彼女はこちらを見てフリーズした。
「え……? あ……あばば……」
「あばば?」
「ぎゃぁああああっ!! 出たぁぁあっ!!!」
イノリは悲鳴を上げると、脱兎のごとく逃げ出そうとする。
だが、彼女は途中で派手に転倒した。
「おっと……」
俺は素早く動き、イノリを抱きとめる。
どうやら、まだ体力が回復していないらしい。
そんな彼女の頭を撫でながら、俺は笑顔で言う。
「落ち着け。君に危害を加えるつもりはない」
「ひぐっ……。ほ、本当に?」
イノリが恐る恐る尋ねてくる。
俺はうなずきながら答えた。
「本当だとも。ほら、彼女を見てくれ」
俺はカゲロウを指差す。
イノリは彼女を見て、少しだけ安心した様子を見せる。
だが、すぐにハッとした表情を浮かべ、再び逃げ出そうとした。
「い、いやっ!」
「落ち着いてくれ。どうしたんだ?」
「やっぱり信用できません……。だ、だって……」
イノリはそう言いながらカゲロウに再び視線をやる。
彼女は地面に座ったまま、こちらを眺めていた。
「カゲロウがどうかしたのか?」
俺は首を傾げる。
イノリはそんな俺を見ると、抗議するように大きな声を上げた。
「ど、どうして裸なんですか!? 陽炎殿も、あなたも! は、破廉恥です! えっちぃのは駄目です!!」
「あー……。なるほどな」
俺は納得した。
イノリは、カゲロウや俺の格好に動揺しているようだ。
確かに、今の俺たちは全裸だからな……。
「こ、こっちに来ないでください!」
イノリは両手で体を隠すと、ジリジリと後ずさった。
そんなことをせずとも、彼女は俺たちとは違ってちゃんと服を着ているのだが……。
巫女装束を着て顔を赤らめる美少女を見ると、思わず興奮してしまう。
「イノリ……。よく見てほしいんだ。俺は、カゲロウに一切危害を加えていない」
「え? いやでも……。陽炎殿は、明らかに辱められて……」
俺の言葉にも、イノリは半信半疑のようだ。
仕方がない……。
こうなれば、実際に見せた方が早いだろう。
俺はカゲロウの方を向く。
「カゲロウ。ちょっといいか?」
「は、はい……」
カゲロウがおずおずとこちらへやってくる。
俺はそんな彼女を抱き寄せた。
そして、その柔らかい唇を強引に奪う。
「んっ!? んん……」
カゲロウは最初こそ驚いたものの、すぐに俺の口づけを受け入れた。
そんな俺たちを見て、イノリは目を見開く。
「え……? あ、あの……」
「いろいろあったようだが、今の俺たちは愛し合っている。カゲロウは俺の行為を拒絶していないだろう? それが動かぬ証拠だ」
俺はイノリに言う。
彼女は頬を赤らめて、手で目を覆っていた。
しかし、指の隙間からガッツリとこちらを凝視している。
「そ、そんな……。はわわ……。み、未婚の男女が接吻するなんて……」
イノリは混乱しているようだ。
ただのキスシーンでも、彼女には刺激が強いらしい。
そんな彼女も抱き寄せ、俺は仲を深めようとする。
「ま、待ってください! 突然そんな……」
「すまない。だが、俺は君とも親密になりたいんだ」
イノリが俺を拒絶する。
そんな彼女の耳元で、俺は囁いた。
「う、うぅ……」
イノリは恥ずかしそうに俯いている。
俺はそんな彼女の頬に手を添えた。
そして、ゆっくりと顔を近づけていく。
「あ、あの……私、遺跡を守護する巫女でして……」
「それが?」
「処女性を失うと……その、特殊な妖術を扱う資格を失っちゃうというか……」
イノリは視線を逸らす。
そんな彼女に対して、俺は首を傾げた。
「よく分からないが……。君にとって処女を失うことは禁忌なのか?」
「そ、そうなんです! だから……その……」
「そうか……。分かった。そういうことなら、それ以外の全てを試させてもらおう」
俺はイノリに言う。
すると、彼女は唖然とした表情を浮かべた。
「す、全て……? あ、あの……いったい何を……」
「俺に任せてくれ。君は何も心配しなくていい」
俺はイノリに優しくキスをする。
そして、そのまま彼女を床に押し倒したのだった。
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