【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1629話 あたし

公開日時: 2025年1月16日(木) 12:10
文字数:980

「くくっ! ようやく本性が出たな」


「た、助けて……。あたしを殺さないで……」


「そうだなぁ。助ける方法は一つあるぞ?」


「……っ! な、何をすればいいの? 何でもしますっ! あたしを殺さないで……!」


 景春は必死だ。

 もはや、自分が藩主だったことなど忘れてしまったかのようだ。

 一人称が余ではなくなり、口調も変わっている。


「お前、俺の女になれ」


「……え?」


 景春が硬直する。

 俺は構わず続けた。


「お前、自分を『男』だと偽っていたのだろう? 家臣や民の全てを騙すとは、なかなかの大仕掛けじゃないか」


 俺も、戦闘中にはすっかり騙されていた。

 景春が女性である可能性に気付いたのは、監禁後に諸々の調査をしているときだった。

 家臣団の一部に、『景春は美少女に言い寄られても動揺しない』『景春は男色家』などの噂が広がっていたのだ。

 そういった噂を総合的に分析した上で、景春の就寝中にこっそり確認し、景春が女であることを確信するに至ったのである。


「ち、違……。あたしは男で……」


 景春が口ごもる。

 往生際が悪いな。

 一人称は崩れているのに、まだ抵抗してくるとは……。

 ギリギリで、自分が藩主であることを思い出してしまったか。


「では、これはどういうことだ?」


 俺は景春の股間をまさぐる。

 そして、彼――いや、彼女の秘部をマッサージした。


「――っ!!」


 景春が声にならない叫びを上げる。


「くくっ、やはりな。お前は女だったわけだ」


「あ……っ! う……ぁ……」


「まぁ誤魔化す気持ちは分かるさ。男じゃないと、藩主としての正当性が薄まるからな」


「……」


 景春が黙り込む。

 彼女には血統妖術の『散り桜』がある。

 かなり強力な妖術だ。


 女性であっても、圧倒的な実力があれば当主の座に就くことはできる。

 ただ、素の身体能力では男性に劣りがちだし、後継者問題も発生しやすくなる。

 男が当主ならば側室を大量に囲うことで10人でも100人でも子供を作ることが可能だが、女当主だと同じことはできないからな。

 相手となる男がたくさんいたとしても、孕むことができる体は1つしかないのだ。


 生命を生み出すことができるのは女性だけ……。

 それは祝福であると同時に、呪いでもある。


「だが、性別を偽るのは今日までだ」


 俺は告げる。

 これが本来の目的だ。


「自分が女であることを、家臣団の前で認めろ。そして、俺の女になるがいい。そうすれば助けてやる」


 俺は力強く、そう宣言したのだった。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート