【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
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1495話 ある日の朝【桔梗視点】

公開日時: 2024年9月3日(火) 12:15
文字数:1,514

「ふふ……。昨日はたくさん鍛錬した……。今日も楽しみ……」


 武神流の少女――桔梗は、嬉しそうに呟く。

 今は朝だ。

 もう少ししたら、門下生の高志がここにやってくるはずだ。

 彼女はどんな修行をしようかと、胸を躍らせている。


「入門料……たくさん払ってもらえた。お爺ちゃんの治療費も何とか払える……。私が頑張って道場を守らないと……」


 桔梗は武神流師範代だ。

 師範だった祖父は、2か月前に道場破りに破れて大怪我を負い、今も治療中である。

 その治療費はバカにならない。

 そんな中、追い打ちをかけるように門下生が次々に離れてしまった。


「でも、高志くんはいい人……。きっと強くなれる……」


 高志は、かなりの手練れだ。

 素晴らしい身体能力と、実戦的な剣技を併せ持つ。

 強いて言えば、剣術の大部分が我流で荒削りなことが気になるが……。

 だが、それも武神流の教えを根気強く受ければ、必ず改善されるだろう。


「高志くんと修行するのが楽しみ……」


 桔梗は嬉しそうに呟いた。

 祖父が大怪我をしたというだけでもショックな出来事だったが、落ち込む暇もなく彼女は道場の師範代になった。

 その重圧は、決して軽いものではない。

 そんな彼女にとって、高志の存在は救いだった。

 彼と一緒に修行すれば、自分自身もきっと強くなれる。

 そう思わせてくれる高志が来てくれて……本当に良かったと思う。


「早く来ないかな……」


 桔梗は道場の窓から外を眺める。

 そして、しばらくして――


「……! 来た」


 桔梗は顔を上げる。

 道場の出入り口の方向から、物音が聞こえてくる。

 いつもは無表情な彼女の表情が、わずかに緩んだ。

 彼女は待ちきれず、道場の扉を開ける。


「おはよう、高志くん――えっ……!?」


「おやおや、これはこれは……。お出迎えとは、ご苦労なことですねぇ……」


 道場に、5人ぐらいの男がニヤニヤ笑いながら入ってきた。

 全員、木刀を帯刀している。


「な……何?」


「いえね? 落ちぶれた武神流の見物に参った次第です」


「っ!!」


 桔梗は息を呑む。

 5人の1人――リーダー格の男が、彼女の全身をジロジロと見ながら言う。


「武神流も終わりですねぇ……。師範が大怪我をしているのは知っていますが、その代理がこんな子どもとは……」


「むぐ……!」


 桔梗はムッとする。

 確かに自分はまだ12歳だが、師範の娘として厳しい鍛錬を受けてきた。

 そんな言い方をされると、さすがに腹立たしい。


「師範代は子どもで、しかも女。本来の師範は、大怪我でしばらく戻ってこない。門下生が離れていくのも当然ですよねぇ」


「っ!!」


 桔梗は顔を真っ赤にする。

 自分でも気にしていたことを、改めて他人に言われると……さすがに傷付いた。


「こんな道場の看板、さっさと下ろしてしまえばいいのです。そうだ、娼婦になればいかがです? まだ幼いとはいえあなたも一応は女ですし、もの好きが買ってくれるかもしれませんよ?」


「ふ、ふざけないで……! 武神流の誇りはそんなに安くない……!!」


 桔梗は首を振る。

 先祖代々、必死に守ってきた伝統ある看板なのだ。

 そう簡単に看板を下ろすことなどできない。


「ほう? では、武神流の誇りとやらを懸けて、私と勝負していただきましょう。それとも、尻尾を巻いて逃げますか?」


「……分かった。望むところ……」


 男が、ニヤニヤと笑いながら言う。

 桔梗は覚悟を決めた。

 こんな道場破りたちなど、この武神流の敵ではない。


「ふふふ……。楽しい楽しい、弱いものいじめの時間ですよぉ。安心しなさい、顔や体に傷は付けません。娼婦になる道は残してあげます。ただ、武神流の誇りとやらだけはズタズタにしてあげましょう。ふはははは……!」


「……」


 桔梗は木刀を正眼に構えた。

 5人のリーダー格の男も、木刀を手にする。

 勝負の行く末は――

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