「ぐっ……! はぁ、はぁ……」
「高志くん……大丈夫?」
「も、問題ない……」
俺は額を押さえながら、なんとか立ち上がる。
今は俺のことよりも、桔梗のことだ。
「手と足を拘束されているのか……。まずは足からだな」
「あっ、その……」
「どうした?」
「は、恥ずかしくて……」
桔梗はモジモジとしている。
……足も縛られていて恥ずかしいって?
よく分からんな。
「何を恥ずかしがることがある?」
「だ、だって……」
「まぁいい。恥ずかしいなら、さっさと済ませてしまおう」
桔梗は12歳ぐらいの少女だ。
羞恥心が芽生える年頃だろう。
胸や股間はもちろん、足に触れられることすら恥ずかしいのかもしれない。
「さぁ、早くしろ。時間が惜しい」
「う、うん……」
桔梗は顔を真っ赤にしながら、ゆっくりと足を差し出した。
それでいい。
この姿勢なら、足を縛っている縄をほどきやすい。
「んっ……」
「変な声を出すな」
「だ、だって……!」
俺は桔梗の足を縛る縄を手で優しくほどいていく。
それだけで、彼女はビクッと体を跳ねさせた。
「変な声を出すなと言っただろう」
「だ、だって……! くすぐったいんだもん……!」
「我慢しろ」
そんなやり取りをしつつ、俺は縄をほどき終える。
そして、念のため桔梗の表情を確認しようと、足から顔に視線を移動させる。
「……ん?」
何か、妙なものが視界に入った。
それは……。
「ば、馬鹿な……!? ふんどしをはいていない……だと……!?」
足の拘束をほどくため、彼女の姿勢はやや崩れていた。
下着ぐらいは見えてもおかしくない。
だが、俺の目に飛び込んできたのは生の体だった。
まさか下着を身に着けていないとは……。
「た、高志くん! 見ないで……!!」
桔梗が叫ぶ。
俺は慌てて顔を背けた。
「す、すまない……!」
「ううっ……!!」
桔梗は涙目になっている。
先ほどから彼女が恥ずかしがっていたのは、ふんどしをはいていない状態だったからか……。
「だが、どうしてそんなことに……?」
「そ、その人にやられて……」
「なんだと!? 雷轟に……『ヤられた』のか!?」
「う、うん……」
「なんということだ……」
そう言えば、桜花七侍の金剛が桔梗のふんどしを持っていたな……。
雷轟の仕業と言っていた。
それを受け、俺はこの場に急行してきたわけだが……。
どうやら手遅れだったらしい。
ふんどしを剥ぎ取られるだけにとどまらず、そのまま『ヤられて』しまったと。
彼女の貞操は失われたのだ……。
「あの野郎……。もはや生かしてはおけん!!」
「た、高志くん!? ま、待って……! これぐらい大丈夫だから……!!」
俺は怒りに震える。
倒れている雷轟の息の根を止めんとした俺を、桔梗が必死に押し留めてきた。
「桔梗……。止めるな」
彼女は優しい子だ。
自分の大切なものを奪った雷轟にすら、情けをかけるとは……。
しかし、だからこそ俺がやらねばならない。
彼女の貞操の仇を討たねば……!
読み終わったら、ポイントを付けましょう!