【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
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1292話 クーデター

公開日時: 2024年2月12日(月) 12:30
文字数:1,303

 俺は玉座の間で、ネプトリウス陛下に謁見していた。

 そこそこ平和的に会話していたところで、思わぬトラブルが発生する。

 それは――クーデター発生だ。


「それで、反乱勢力の戦力は?」


 ネプトリウス陛下が兵士に尋ねる。

 兵士は状況を伝えるため、玉座の間にまで急いで来たらしい。


「はっ! 人数はおよそ百名ほど! 現在、宮殿の奥にある『宝物庫』へと進軍しているとのことです!」


「なに? ここ玉座の間を狙うのではなく、宝物庫だと?」


 兵士の報告を受け、ネプトリウス陛下が顔をしかめる。

 俺も同じような顔をしていただろう。

 どうして玉座の間じゃない?

 クーデターで最優先されるのは、国王の殺害ではないのか?


「……まぁ問題あるまい。百人程度では、余の命には届かぬ」


「しかし陛下。宝物庫の宝が奪われてしまうのではありませんか?」


 俺は口を挟む。

 どんなものが保管されているのか知らない。

 だが、盗まれてマズイものもあるはずだ。


「王族の命に比べれば、大した意味はない。奪ったところで使い道に困るものばかりだ。金に換えようとしても、足がつく」


「なるほど……」


 俺はうなずく。

 この人魚の里は、決して小さくない。

 しかし同時に、国という枠組みの中で言えば大きいわけでもない。

 他の人魚の集落との交流ぐらいはあるかもだが、地上の国々との交流はない。

 クーデター軍が宝を手に入れたところで、処分方法に困るだろう。


「奴らの処理は、あとでゆるりと行えばよい。どうせ、逃げる場所はないからな」


 陛下が言う。

 この閉じられた国で、反抗勢力がいつまでも隠れ潜むことは難しい。

 長期戦になれば正規軍が有利だ。


「まずは守りを固めよ。特に、エリオットとメルティーネの二人を何としても守れ」


「し、しかし陛下……。そのお二方なのですが……」


 兵士が言いにくそうに言う。

 それを聞いて、ネプトリウス陛下は眉をひそめた。


「どうかしたのか? まさか、二人はすでにクーデター軍の手に……?」


「その……。クーデターの首謀者こそ、エリオット殿下なのです……!」


「「…………は?」」


 兵士の報告に、俺と陛下は驚愕した。

 エリオット王子がクーデター?

 あり得ないだろう、それは。


「エリオット殿下は、リトルクラーケン討伐軍をそのまま利用して宮殿を襲撃しているご様子。不意打ちであったこともあり、入口付近の兵たちは大多数が戦闘不能になりました」


「なんと……。あのエリオットが……」


 ネプトリウス陛下がつぶやく。

 彼はエリオットの父親だ。

 親子仲がどのようなものだったかは知らないが、おそらくは悪くなかったのだろう。

 突然の蛮行を信じられない様子だ。


 もちろん、想定外だったのはネプトリウス陛下だけではない。

 王子であるエリオットが乱心するなど、誰も想定していなかったはず。

 警備兵たちが突然の戦闘に対応できなかったことは仕方ないか……。


「殿下はその勢いのまま、宮殿内を進んでいます。メルティーネ姫様を人質にとり、宝物庫の方面へ向かっている模様です」


「メルティーネを人質に……だと? あのエリオットが?」


 ネプトリウス陛下が目を丸くする。

 クーデターも信じがたいことだが、メルティーネに対する行いも信じがたいことだ。

 彼は相当なシスコンだったはずなのに……。

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