【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1575話 そこまでにしてくれないか?

公開日時: 2024年11月22日(金) 12:15
文字数:1,155

「曲者め! 覚悟しろ!!」


「ここで誅する!!」


 階下からやってきた侍たちが、俺を取り囲む。

 数は20人ほどか。

 思ったより少ないな……。


 俺は最上階に至るまでの通りすがりに、侍たちを倒してきた。

 それにより、思っていた以上に桜花城の戦力が低下しているのかもしれない。

 もしくは、斬った奴らの中に伝令役が多数含まれており、伝達網が半壊状態なのか。

 あるいは……。

 いや、細かい事情はどうでもいいか。


「今さら、末端の侍ごときでどうにかできるとでも思ったか」


「う……!?」


「がっ……!!」


 侍の先頭集団が次々と倒れる。

 自分が何をされたか、認識できた者は一人もいまい。

 俺はただ……侍たちを峰打ちで攻撃してやっただけだ。

 さて、残る敵は数人しかいないが……。


「そこまでにしてくれないか? 主よ」


「お前は……無月か。よくも俺の前に顔を出せたものだな」


 俺は女忍者を睨みつける。

 彼女は桜花七侍の一員であり、俺に寝返ったふりをして実はまだ敵だった疑惑がある。

 紅葉たちの誘拐にも関わっているだろう。


「紅葉たちを返してもらおうか」


「そのことだが……致命的な行き違いがあったようだ。これは連中の落ち度なのだが……」


「致命的だと!? 紅葉たちに何かあれば、ただでは済まさんぞ!!」


「うっ!?」


 無月が倒れ込む。

 いかん。

 殺意の波動が上手く抑えられない。


 昨晩、桜花城全体の闇をいただいたときは気分爽快になった。

 武神流道場に帰って紅葉たちが誘拐されたことに気付いたあとは、闇により増幅された直感に従って突き進んできた。

 そして、景春や双子との戦いで多大なストレスを溜め込み、闇が一回り成長したような感覚がある。

 このまま闇と共に突き進んでいきたい気もするし、少し落ち着いて冷静になるべきな気もする。


「す、凄まじい実力だな――。無月を殺気のみで倒すとは――」


「お前は?」


「俺は桜花七侍の一人、夜叉丸だ――。後ろの二人は、同じく桜花七侍の巨魁と蒼天だ――」


 夜叉丸と名乗った男が告げる。

 ずいぶんと間延びした口調だ。

 しかし一方で、かなり緊張した様子も見受けられる。


「桜花七侍か。俺の敵ということだな」


 ちょうどいい。

 俺は桜花藩が保有する戦力の大部分を撃破してきた。


 藩主の景春。

 彼の妹である双子姉妹。

 桜花七侍の雷轟、金剛、樹影。

 4階を守っていた桜花四十九侍。

 その他多数の一般侍たち。

 そしてたった今、半ばうっかりではあるが無月を殺気によって無力化した。


 まともな戦力は、桜花七侍の3人しか残っていないだろう。

 その3人は、目の前にいる。

 とても分かりやすいじゃないか。


「ま、待て――! 話がしたいのだ――!」


「話だと?」


「そうだ――。お前の目当ては、こっちの嬢ちゃんたちだろう――?」


「なっ……!?」


 俺は夜叉丸の視線を追う。

 その先には、巨魁と蒼天によって抱えられた3人の少女の姿があったのだった。

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