【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
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1550話 樹影参戦【紅葉side】

公開日時: 2024年10月28日(月) 12:14
文字数:1,550

「だ、誰ですか……!?」


「……侵入者」


 紅葉は警戒し、桔梗が構える。

 そんな2人を守るかのように、流華が前に進み出た。


「お前……。確か、桜花七侍の……」


「ほう、私の顔を知っているのか? その通り……私は樹影。桜花七侍の一人だ」


 樹影と名乗る女が、流華に視線を向ける。

 年齢は40代半ばくらい。

 緑色の着物を身に纏い、長い黒髪を後ろで一つに束ねていた。


「……正体は分かった。それに、目的もだいたい分かる……」


「私たちと戦うつもりですね? 見て分かる通り、私たちは桜花七侍の3人を倒しました。しかも、それぞれ1対1で」


「ふん……」


 桔梗の言葉に、紅葉が続ける。

 桜花藩の最高戦力が、ただの小娘に敗北した。

 普通に考えて、驚愕の事態だ。

 だが、樹影は平然としている。


「……つまらない」


「はい?」


「つまらないつまらないつまらない……」


「どうした、おばはん? 同僚の情けなさを見て壊れたか?」


 流華が挑発する。

 だが、樹影は無反応だ。


「つまらない……つまらない……」


「なに、この人……?」


 桔梗も困惑する。

 樹影の意識は、桔梗たち3人には向いていない。

 彼女が見ているのは……蒼天たちだ。


「情けない新任のひよっ子どもめ……。こんな小娘ごときに負けるとは……」


「私たちを無視ですか……。ふざけていますね……!」


「落ち着け、紅葉。様子が変だ。ここは『見』に回ろう」


 紅葉が激昂しかけるも、流華に止められる。

 樹影は、流華たちには目もくれず、ただ蒼天たち3人を見ている。


「申し開きはあるのか? 青二才ども」


「う……」


「おでは……おでは……」


 樹影の一言で、3人の意識が覚醒する。

 だが、ダメージはそれなりに大きいようだ。

 彼らはその場で首から上だけを起こし、樹影に視線を向けた。


「も、申し訳ねぇ。油断していたんだ」


「汚名を返上してみせる――。だから、どうか――」


「黙れっ! この甘ったれども!!」


「ひっ……!」


 樹影が怒りの声をあげる。

 その迫力に、3人は思わず身をすくめた。


「情けない……。七侍の醜態は、任命者である景春様の顔に泥を塗る。それを理解していないとは……」


「お、おでは……!!」


「黙りなさい」


 樹影の圧に、巨魁たちは押し黙る。

 樹影、蒼天、夜叉丸、巨魁……。

 4人は、それぞれ桜花七侍の一員である。

 本来は同格と言っていいだろう。

 ただ、その中で樹影のみは前藩主の時代から引き続き七侍を務めている。

 そのため、他の桜花七侍よりも実質的な格が上なのだ。


「油断、手加減、慢心……。甘っちょろいお前たちのことだ。小娘どもを相手に、全力を出さないことなど分かっていた」


「くっ……」


「それでもあえて、精神的な成長を期待して送り出したのだがな……。本当につまらない男だよ、お前らは」


「ちぃっ――」


 樹影から強烈なダメ出しをされ、3人の顔が歪む。

 対照的に、樹影の顔は少し和らいだ。


「まぁいい……。期待と予想は違うものだ」


「ほ、本当にごめんなんだな。おでたち……」


「謝罪は不要だ。……どうせ、私一人でもっていたような七侍だ。青二才どもの尻拭いをするくらい、わけないこと」


 樹影はそう呟くと、改めて3人を見る。

 その目は、今までの責めるようなものではなく、道具を見る目だった。


「お前らには失望したが、まだ利用価値がある。さぁ、踊り狂え。私の『血統妖術』でな……」


「うぐっ!?」


「樹影殿、何を――」


「体が……勝手に……?」


 樹影が何らかの妖術を発動する。

 すると、蒼天たち3人の体が宙に浮いた。

 それを受け、『見』に回っていた流華たちが臨戦態勢に移る。


「……! まだやる気みたいだぜ」


「得体の知れない妖術……。慎重に戦う必要がある……」


「ええ。しかし、一度は倒した相手でもあります。3人をさっさと蹴散らして、あの樹影とやらを仕留めましょう」


「ああ……!」


 3人娘が武器を構えた。

 新たな戦いが始まる……。

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