【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1147話 青い空、赤いパンツ

公開日時: 2023年9月17日(日) 12:30
文字数:1,856

 俺は建設中のリンドウ図書館を後にし、トリスタやリンのスキル強化も終えた。

 これでもう、ラーグやリンドウで済ませておく用事は9割ほど終わったと言っていいだろう。

 転移魔法陣を発動させるためのクールタイムも、あと1時間ぐらい待てば十分だ。


 俺がヤマト連邦に連れて行くメンバーは、俺を除いて10人。

 ミティ、アイリス、モニカ、ニム、ユナ。

 マリア、サリエ、リーゼロッテ、蓮華、レインである。


 この内、モニカとニムは既にオルフェスで待機中。

 ミティ、アイリス、リーゼロッテ、レインとはラーグの屋敷で再会済み。

 マリアとサリエは治療院で元気に働いていた。

 蓮華とは、つい先ほどリンドウ図書館で会話した。


 残るはユナだ。

 彼女の現況を確認してからラーグの屋敷に戻れば、転移魔法陣のクールタイムがちょうどいい感じになるだろう。


「さて……。ユナはどこにいるんだ?」


 ミティやアイリスの話だと、『蓮華とユナは西の森方面に出かけていった』ということしか分からなかったんだよな。

 実際、蓮華とユナは途中までいっしょに行動していたらしい。

 そして、リンドウ図書館で別れたと。


「たぶんだが、リンドウの街の視察や観光かな?」


 俺が領主となってからは、ミリオンズが冒険者パーティとして活動することはやや少なくなっている。

 そんな中、普段の過ごし方というものには個性が出る。

 ユナはやや活発で自由人。

 屋敷の庭に植えている木の上で昼寝をしたり、街の住民に無料で弓の指導をしたり、西の森で気ままな狩りをしたり、リンドウやその他の町村をぶらぶらと散策したり……。

 基本的に自由だが、意外と面倒見も良い。

 放っておいても、変なことはしないタイプだ。


「ふーむ。リンドウも順調に栄えて、住民も増えているな……」


 俺はリンドウを歩きながら、独り言をつぶやく。

 聖女リッカと温泉旅館に泊まったことがあったが、その頃よりも一回り発展しているように見える。


「立派な街並みだ。雲ひとつない快晴も相まって、実に爽やかだ」


 俺は空を見上げる。

 爽やかな風が気持ちいい。


「青い空、そして赤い……ん? 赤い……パンツ?」


 俺が空を見上げると、ちょうど赤いパンツが視界に入ってきた。

 ……これは!?

 このパンツは!!


「ユナ!?」


 俺は思わず叫ぶ。

 スカートをたなびかせながら空を駆けるのは、ユナだった。

 彼女は赤狼族としての身軽さを活かし、屋根から屋根へと飛び移っていく。


「おーい! ユナー!!」


 俺はユナを呼ぶが、反応はない。

 彼女は焦った様子で、ただ駆けていく。


「何があった……?」


 ユナは強い。

 純粋な1対1なら、ミティ、アイリス、モニカ、ニムあたりには少し劣るかもしれないが……。

 ユナにはファイアードラゴンのドラちゃんがいる。

 その合わせ技の威力は凄まじく、それを込みで考えればミリオンズでも最強クラスだ。

 そんな彼女が焦っているというのは気になる。

 何か厄介な事態でも起きたのだろうか?


「これは、追いかけるしかないか。――ぶへっ!?」


 俺はユナの後を追うため、走り出そうとする。

 しかしその瞬間、後ろから誰かにぶつかられた。


「すいやせん! 急いでましてね……って、タカシの旦那!?」


「お前は……トミーじゃないか!」


「へい!」


 振り返ると、そこにはCランク冒険者のトミーがいた。

 彼とはラスターレイン伯爵領のルクアージュからの付き合いだ。

 その場で俺が声を掛けた結果、ラーグに活動拠点を移してくれた。

 そして今では、ハイブリッジ男爵家の御用達冒険者になっている。


「タカシの旦那にぶつかっちまうなんて、すいやせん。急いでるもんで……」


「いや、それはいいが……。そんなに慌ててどうしたんだ?」


「走りながらでいいですかい? ――実は、リンドウの北部から魔物の群れがなだれ込んで来たらしいんすよ!!」


「な、なんだって!?」


 魔物の群れが街中に入ってくる……。

 なかなかのピンチだ。

 かつてはラーグの街でも似たようなことがあり、モニカやその父ダリウスが営むラビット亭が大打撃を受けた。

 リンドウは急速に発展しているが、その反面で外縁部の防衛は薄い。

 魔物がなだれ込んでくるリスクは常にある。


「分かった、俺も行くぜ!!」


 問題は、迅速に対応できるかどうかだ。

 たまたま居合わせたユナやトミーが駆けつけようとしてくれているのは心強い。

 それに、この街にはその他にも戦力がいるはずだ。


「少し急ごう! ――【レビテーション】!!」


「お、おおっ!? こりゃスゲェっすね!!」


 俺は重力魔法でトミーと共に浮く。

 こうした方が最短距離で行けるし、単純な速度も上がる。

 俺はトミーと共に、現場へ急行するのだった。

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