【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1177話 当機の存在をお忘れですか?

公開日時: 2023年10月18日(水) 12:12
文字数:1,698

 潜水誤差の要因は何だろうか?

 ゆーちゃんとドラちゃんが加わったせいで、11人+2人の計13人が搭乗していることになる。

 正確に言えば、11人と1霊と1竜か。


 ゆーちゃんは軽いが、ドラちゃんは結構重い。

 彼女たちの搭乗が潜水誤差の原因だろう。

 俺はそう思った。

 しかし、誤差の原因はそれだけじゃないらしい。


「ピピッ! 実は、もう4名が――」


「あ、すまん。その前に、さっきの果実水をもらえるか? まだ喉の渇きが治まらなくてな……」


 俺は追加の果実水を要求する。

 ハッスルしすぎて汗をかいてしまったため、喉が渇いている。


「承知いたしました」


 俺の要求を了承した誰かが、グラスを渡してくれる。

 俺は果実水を飲んだ。


「うん……美味いな。この味は、果樹園で取れたものかな?」


「ピピッ! 仰る通りです。個体名ニムの果樹園から収穫した果物を、絞ったものになります」


「ほう。そうなのか」


 俺はコップの中の果実水を見つめる。

 少しピンクがかった色合いの液体だ。

 色からして、桃だろうか?

 いや、ここは異世界なので、あくまで桃っぽい謎の果物だが……。


 これはこれで美味い。

 喉の渇きを潤すのにちょうどいい感じだ。

 栽培術のスキルを持つニムは、果物や野菜の栽培も一流だ。


「ふー……。ありがとう。美味かったよ」


「ピピッ! マスターにお喜びいただけて、何よりです」


 俺がお礼を言うと、果実水の提供者がそう言った。

 彼女も喜んでくれているようだ。


「それで、さっきの続きだが……」


「はい。まずは当機の存在でしょうか? マスターは、当機の重量を算入されていないと思われます」


「ん? ゆーちゃんとドラちゃん以外の乗組員は、全員ちゃんと重量を算入して――あれ? 当機だって?」


 俺は首を傾げる。

 そう言えば彼女は誰なのだろう?

 ハッスルの余韻で頭がボーッとしている上、薄暗くて顔が見えにくい。

 よく考えれば、俺のことを『マスター』と呼んだり、自分のことを『当機』と呼んだりする者は乗組員にいなかったはずだ。


「お前は何者……うぉっ!?」


「当機の存在をお忘れですか? マスター……」


 少女がどこか悲しそうな声色と共に、こちらに近づいてくる。

 薄暗い部屋でも、近づけば顔が判別できるようになる。

 明らかになった少女の顔を見て、俺は驚く。


「お、お前は……!?」


 俺の目の前に立っていたのは、人型ロボットだった。

 外見年齢は10歳ぐらい。

 彼女はアヴァロン防衛システム管理アンドロイド『T-17』だ。

 名前は――


「ティーナじゃないか! どうしてここに!?」


「ピピッ! マスターの行くところが、当機の居場所ですから」


 ティーナは、無表情を一切崩すことなくそう答えた。

 俺は驚きつつ、彼女に質問する。


「あ、ああ……。なるほどな。しかし、まさか隠密小型船に乗船していたとは……」


 ミリオンズの正確な構成員は11人だ。

 俺、ミティ、アイリス、モニカ、ニム。

 ユナ、マリア、サリエ、リーゼロッテ、蓮華、レイン。

 この11人で、冒険者ギルドにミリオンズとして登録している。


 しかし実際のところ、冒険者ギルドに届け出ていない人外構成員が2人いる。

 ドラゴンのドラちゃんと、古代アンドロイドのティーナだ。

 ドラちゃんを置いてこようと思った理由は、前述の通り『そこそこの重量があること』と『ヤマト連邦でどの程度注目されてしまうか不透明であること』だ。


 ティーナについても、ある程度は似たようなものだな。

 まず、古代アンドロイドである彼女がどの程度注目されるか分からない。

 そして、彼女もかなりの重量がある。

 初めて出会った際には、スリープモードの彼女を俺が運ぼうとして無理だったことがあったぐらいだ。

 あの時の俺の腕力は、今よりも一回り下だったが……。

 それでも既にBランク冒険者だったし、そこらの冒険者よりも腕力が強かった。

 そんな俺でも彼女を持ち上げることは不可能だったのである。

 おそらくだが、体重は100キロ……いや200キロ以上あるかもしれない。


「ピピッ! 何か失礼なことを思われていませんか?」


「い、いや。別に……」


 ティーナが無表情でこちらを見つめてくる。

 古代アンドロイドとはいえ、性別は女性。

 体重の話題は厳禁らしい。

 俺は彼女の勘の鋭さにドキッとさせられたのだった。

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