【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

849話 クランの儀

公開日時: 2022年11月22日(火) 12:33
文字数:2,030

 俺は第2リビングで、『ビリオンズ』の結成式を執り行っている。

 それぞれのパーティや人物に、加入の最終確認を終えた。


「――というわけだ。このメンバーで『ビリオンズ』というクランを立ち上げる。冒険者ギルドとして手続きを進めてくれ」


「はい、かしこまりました。……それにしても、かなりの大型クランになりますね」


 冒険者ギルドの受付嬢ネリーが答えた。

 ここは冒険者ギルドではなく、ハイブリッジ男爵家の第2リビングである。

 しかし、Bランク冒険者が大型クランを立ち上げるともなれば、こうして出張してくれるというわけだ。


「ははは。まぁ、まだまだ発展途上だがな」


「それは……いえ、確かにそうでしょうね。タカシさんが見出してきた方々は、成長速度が異常ですから」


 実際には成長速度が異常なのではなくて、加護による恩恵でステータスやスキルが向上している。

 まぁ、実質的には似たようなものだが。


「期待に応えられるよう精進しよう」


「ええ。……では最後に、『クランの儀』を行いましょう」


「うむ」


 俺はネリーに促され、立ち上がる。

 そして、第2リビングの端に置いてある台に乗った。

 まずは挨拶からだな。


「――俺が敬愛するとある人物はこう語った。『挑戦を止めた時が人生の終わる時』だと!!」


「「「おお……!」」」


 俺の言葉に、集まった仲間たちから静かな歓声が上がる。

 うんうん。

 やはりいい言葉だよなぁ。


「ハイブリッジ男爵家はさらなる高みを目指す! より繁栄し、より幸せになるために! お前たちの前に立ちふさがる障害は、この俺が取り除いてみせよう!!」


「「「おおぉー!!」」」


 歓声が大きくなってきた。


「年齢! 性別! 種族! 職業! 一切を問わない! 挑戦する心を持つ者を俺は拒まない! 俺たちはみんな一つの家族だ!! それぞれの個性に合った役割が必ずある! 必要なのは一歩を踏み出す勇気だけだ!」


「「「オオォーーッ!!!」」


 さらに大きな声が上がった。


「結束せよ! 仲間を信じろ! 己の力を信じろ! ハイブリッジ男爵家のさらなる陞爵と幸福のために!!!」


「「「オオオォーー!! ……お?」」」


 大歓声の途中で、不意に静寂が訪れた。

 なんか変なことを言ったかな?

 俺の好きな演説をパク――じゃなくてアレンジした、素晴らしい言葉だと思うんだが……。


 みんな首を傾げている。

 いや、ミリオンズや雪月花は普通にしているよな。

 何の違いだ?


「どうした?」


「いえ、あの……。男爵とは?」


 ナオンが代表して聞いてきた。


「男爵を知らないのか? 騎士爵より上で、子爵や伯爵よりも下の貴族だ」


「…………」


 あ~、沈黙が長い。


「な、なにか間違っていただろうか……」


「……い、いえ。間違ってはいないのですが……。……その、もしかしてですが……」


「おう」


「ハイブリッジ騎士爵様は……男爵になられたのですか!?」


「…………? ……ああ、言い忘れていたか」


 俺としたことがうっかりしていたぜ。

 王都に同行していたメンバーにはもちろん伝えているが、待機組に伝えるのを忘れていた。


「その通りさ。王都で、ネルエラ陛下より直々に陞爵を賜ってきた」


「「「はあぁっっっっっっ!!!??????」」」


 ナオンたちが盛大に驚く。


「この短期間で男爵になられるなんて……。き、聞いたことがないです」


「……ああ、仕事がまた増えそうだ……」


「はわわ。す、すごいですぅ」


「…………(びっくり)」


 ネリー、トリスタ、リン、ロロが順にそんな反応を示す。

 他の留守番組も驚きの表情を浮かべており、王都組は改めて祝福ムードだ。


「まぁ、俺が凄いんじゃない。みんなの協力があってこそだよ。これからよろしく頼むぞ」


「はっ! 粉骨砕身の覚悟で尽力します!!」


「我が神の御心のままに!」


「へへっ。タカシの旦那に付いて行くって決めてるんでね」


「……ボクも頑張る……」


「花ちゃんにお任せあれ~」


 ナオン、アラン、トミー、雪、花が口々に決意を表明する。


「うむ。では改めて、クランの儀を進めていこう」


 俺は台の上から降りる。

 そしてアイテムルームからあらかじめ用意していた酒樽を取り出した。

 クランの参加メンバーに渡していく。

 また、セバスやトリスタなどクランメンバー以外の者にも、同じように配る。

 そしてもちろん、リンやロロなど子ども組はジュースだ。


「みんな、グラスは行き渡ったか?」


「はい、持ってます!」


「あたいも大丈夫だ」


「ふっ。俺も持ってるぜ」


「問題ございません」


「…………(こくり)」


「ありますぅ」


 ミティ、クリスティ、キリヤ、オリビア、ロロ、リンが返事をする。

 その他のメンバーにもちゃんと行き渡っているようだ。


「では、乾杯の前に一つだけ。……俺について来てくれてありがとう。お前たちは俺たちの家族であり、仲間でもある。共に力を合わせて頑張っていこう。――それでは、新たなハイブリッジ男爵家、そして『ビリオンズ』の門出に、乾杯!」


「「「かんぱーい!!」」」


 俺の言葉に続いて、全員が一斉に飲み物を煽る。

 こうして、大型クラン『ビリオンズ』は無事に結成されたのだった。

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