【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1397話 蓮華純愛ルート 復讐

公開日時: 2024年5月28日(火) 12:35
文字数:1,765

 ザザッ……。


「……あれ……?」


 俺は首を傾げる。

 いま、一瞬景色が変わったような……?


「高志殿、大丈夫でござるか?」


 俺の前に立っていたのは、侍風の人物。

 特筆すべきは、金髪碧眼でエルフっぽい耳を持っていることだ。

 俺は彼女に見覚えがあった。


「蓮華……?」


「呆けておられるようでござるな。少し休憩を挟まれては?」


 蓮華が心配そうな顔をする。

 俺は……ええっと……。

 ……そうだ。

 俺たちは、剣の稽古をしていたんだ。


「いや、大丈夫だ。続きを頼む」


「そうでござるか? では、続けようぞ」


 蓮華が剣を構える。

 俺もそれに応じて、剣を構えた。

 そして、俺たちは再び剣を交えていく。


 蓮華の剣術は元より高いレベルにあったが、俺の『ステータス操作』によりさらなる高みへと至っている。

 もちろん、俺も負けていられない。

 こうして剣の鍛錬をしつつ、剣術系のスキルを優先して伸ばしている。

 刀剣類を使った近接戦闘において、俺や蓮華の右に出るものはほとんどいないだろう。

 強いて言えば、剣の聖地ソラトリアにいるという剣聖や、ヤマト連邦の将軍くらいか。

 ……いや、それ以外にも身近に一人、とんでもない人物がいたな。


「蓮華」


「どうしたでござるか?」


「***がウォーミングアップから帰ってくる頃……で……」


 俺は違和感を覚える。

 愛する子どもの名前を呼んだはずなのに、なぜかうまくできないのだ。


「高志殿? どうされた?」


 蓮華が心配そうに見つめてくる。

 俺は首を振った。


「……いや、なんでもない。とにかく、***の稽古もつけてやらなければと思ってな」


「そうでござるな。とんでもない才能を持っているでござるが、拙者たちでしっかり導いてやらねば」


「ああ。……それじゃ、準備をしておこう」


 俺たち二人は、***を迎えるための準備に取り掛かった。

 程なくして、***が帰ってくる。


 ザザッ……。

 視界が乱れる。


 先ほどから、どうにもおかしい。

 まるで『この記憶を見せるわけにはいかない』と上位存在が介入しているかのように、視界が乱れるのだ。

 せっかく愛する子どもが目の前にいるというのに、俺はその顔すら認識できない。


「高志殿……?」


「……討ち入りを前に、緊張しているのかもしれん。なぁに、大丈夫さ。心配は要らない」


 俺は心配させまいと、無理やり笑顔を作った。

 そう、今は大切な時期なのだ。

 俺たち一家は、近いうちにヤマト連邦への旅路につく。

 目的は復讐だ。


 俺と蓮華は、サザリアナ王国で出会った。

 いろいろあったが、俺たちは恋仲になる。

 そして俺が不用意に蓮華を妊娠させてしまい、彼女はサザリアナ王国からしばらく動けなくなった。

 そのタイミングで、ヤマト連邦で大事件が立て続けに起こってしまったのである。


 その事件には蓮華の実家も巻き込まれており、彼女はひどく傷ついた。

 彼女は復讐を口にするようになる。

 だが、妊娠中の蓮華に無理はさせられないし、出産直後も同様だ。

 祖国のことは忘れて、愛する***と共に新しい人生を歩もうと俺は提案した。

 しかし、彼女はそれを良しとしない。

 一人でヤマト連邦へ復讐に行くと言い出したのだ。


 さすがに危険だと宥めたが、彼女は一人で行くと聞かなかった。

 俺は折れ、彼女の復讐を手伝うことにした。

 せめてもの妥協案として、***がある程度成長するまで待つことを提案し、彼女もそれを受け入れた。


 幸か不幸か、***にはとんでもない剣の才能があった。

 そして、母親の復讐を手伝うと言い出す。

 無垢な子どもに復讐を手伝ってもらうのは気が引けたが、事情が事情だ。

 俺も蓮華も覚悟を決めた。

 そして今、こうして三人で剣術の仕上げをしているわけだ……。


 ザザッ……。

 ザザザザッ……。

 視界の乱れが激しくなる。


「高志殿……? 本当に大丈夫でござるか?」


「……ああ、大丈夫だ。復讐を完遂して、3人で幸せになるんだ。そうだろう?」


「そうでござるな。拙者の我儘に巻き込んで申し訳ないでござるが……。侍の誇りにかけて、これだけは譲れぬ故……」


「問題ない。俺だって東雲家の端くれなんだ。東雲高志として、東雲家の汚名は必ずそそぐ」


「高志殿……。かたじけない……」


 蓮華が頭を下げる。

 俺はそんな彼女の肩に手を置いた。


「気にするな。俺たちは家族だ。***も分かってくれているさ」


 家族の誰が欠けても、幸せにはなれない。

 復讐は、家族全員でやり遂げる。

 俺は改めてそう決意したのだった。

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