【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

934話 『勇者候補』タカシvs『聖女』リッカ

公開日時: 2023年2月16日(木) 12:07
文字数:2,221

 聖女リッカと敵対している。

 アイリスはリッカの威圧感に呑まれて動けない。

 ミティは殴り飛ばされて戦闘不能。

 二人は心配そうにこちらを見ている。

 ここは、俺が何とかしなければならない。


「――【ファイアーウォール】!」


 俺は、聖女リッカを炎の壁で囲む。


「さぁ、これで逃げ場はないぜ? 覚悟しろ」


「君は本当にバカですね。この程度では、僕様ちゃんを倒すことなどできないです」


「どうかな? 俺は魔法に自信があるんだよ。この程度じゃ終わらせないさ」


「……」


 リッカは無言で、両手を前に突き出した。

 また結界でも張る気だろうか?

 だが、今度はそう簡単にいかない。


「くらえっ! 【ジャッジメント・レイン】」


「――っ!?」


 俺が放った魔法は、先ほどまでの火魔法とは属性が違う。

 真逆の水魔法だ。


 最初期から使い続けている火魔法の方が得意意識はある。

 ただ、スキルレベルとしては水魔法と火魔法は同じレベル5だ。

 俺は水魔法使いとしても一流と言っていいだろう。

 捌きの雨が上空より降り注ぐ。


「おぉ、これは凄まじい魔力です。まさか上級水魔法まで使えるとは……。火魔法用に準備していた聖結界では防ぎきれないです」


「ふはははは! まさに、それが狙いだからな!!」


「ですが、それでも無駄です」


「なにぃっ!?」


 リッカは降り注ぐ雨粒を、華麗なステップで避けていく。

 そして、そのまま走り抜けてきた。

 俺はその動きに驚きを隠せない。


「くっ……【レインレーザー】!」


 俺は慌てて水の光線を放つ。

 しかし、リッカはその攻撃を読んでいたようだ。

 ひらりとかわしてしまう。


「速いっ!」


「君が遅いのです」


「がはっ!?」


 リッカの拳が、俺の腹に突き刺さる。

 その衝撃で吹っ飛ばされてしまった。


「さぁ、どうしますか? このまま大人しく帰るなら、見逃してあげます」


「ぐっ……」


 俺は地面に手をついて起き上がる。

 ダメージはそれほどでもない。

 だが、精神的にはかなり追い詰められている。

 俺は魔法に絶対の自信を持っていた。

 それがこんなにもあっさりと破られるなんて……。


「タカシ……」


「タカシ様……」


 アイリスとミティも心配そうだ。

 くそっ、俺がしっかりしないといけない場面なのに。

 気をしっかり持つんだ。


「……」


 俺は大きく息を吸うと、リッカを見据えた。


「おい、リッカ。お前は俺のことを弱いと言ったな?」


「はい、言ったです」


「ならば、証明しようじゃないか。俺がお前よりも強いということを」


「……」


 俺はゆっくりと立ち上がる。

 そして、リッカに向かって歩き出した。


「はぁあああっ!!」


「ふっ!」


「うぐっ……」


 俺はリッカに斬りかかるが、軽くあしらわれてしまう。

 反撃にカウンターを喰らい、また吹っ飛んでしまった。


「今の攻撃は少しだけ予想外です。どうしてまだそんなに動けるです? 十分なダメージを与えたはずですが……」


「あぁ、確かにかなり効いているよ。でも、俺はこのくらいじゃ倒れない」


 俺は常時『リジェネレーション』の治療魔法を自身に掛けている。

 多少のダメージ程度なら、攻防している時間で回復が可能だ。


 俺は再びリッカへと向かっていく。

 リッカは俺の攻撃をいなしながら、質問を投げかけてくる。


「なぜそこまで頑張るですか? 大人しくここを去るだけでいいですのに」


「愛する妻たちの前で、無様を晒すわけにはいかないからな」


「愛する妻? それはミティ=バーヘイルとアイリス=シルヴェスタのことです? ……君には他にもたくさんの妻がいると聞いているです。1人や2人から失望されようが、どうでもいいことではないです?」


「違うな。みんなかけがえのない、俺の大切な妻だ。人数など問題ではない」


「……君は頭がおかしいです。ここまで好色とは、想定外です」


「何とでも言え」


 俺の頭の中には、リッカに対する怒りが渦巻いていた。

 こいつはアイリスを威圧した。

 彼女は恐怖で震えている。

 そして、ミティを殴った。

 彼女に大ケガはないようだが、痛い思いをしたはずだ。

 断じて許せるものではない。


「――【ファイアーボール】!」


 俺はファイアーボールを放つ。

 最初級の火魔法だが、その分使い勝手は良い。

 こうした近接戦闘の際には、まだまだ出番がある。


「ムダなことをするです。僕様ちゃんには通用しないです」


 リッカはレイピアでファイアーボールを切り裂く。

 そのまま俺の方へ駆け寄り、レイピアを突き出してくる。


「――【硬化】」


「なにっ!? ……です」


 俺は土魔法を発動し、レイピアを防いだ。

 リッカは一瞬驚いた様子を見せたものの、冷静に対処してきた。

 彼女がバックステップで距離を取る。


「君は本当に多彩ですね。まさか土魔法まで使えるとは……。得意魔法は火だと聞いていましたが、魔法全般のスペシャリストといった方が良さそうです」


「まぁな。俺は魔力にだけは自信があってね。聖女様が相手でも負けないぜ?」


「言ってくれるです。それでは、少しギアを上げるですよ?」


「望むところだ。来いよ」


「後悔するです! ――【神罰執行・神の雷鳴】!!」


「なんだそりゃ……?」


 聞いたことのない戦闘技法だ。

 聖女リッカの聖気・魔力・闘気。

 その全てが高まっていく。

 これはヤバそうだ。


「――【ハイ・リジェネレーション】」


 俺はより効果の高い常時治療魔法を自身に掛けておく。

 24時間発動している『リジェネレーション』よりもMPの消費が激しい。

 しかしその分、効果も高い。

 即死以外なら、なんとかなる。

 ミティやアイリスの無念を晴らすため、そして聖女リッカに舐められないためにも、ここが踏ん張りどころだ。

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