【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1483話 …駄目じゃん

公開日時: 2024年8月22日(木) 12:24
文字数:1,235

「次は……『デッドリー・ミステイク』だな」


「改めて聞いても、変な名前だよな。どういう意味なんだ?」


「あまり聞かない言葉です」


 流華と紅葉が首を傾げる。

 やはり、『異世界言語』スキルが翻訳できていないようだ。


「『デッドリー・ミステイク』は、直訳すると『致命的な失敗』という意味だな」


 俺は答える。

 しかし、やはり納得がいかないようだ。

 2人は首を傾げる。


「……駄目じゃん」


「『致命的な失敗』って、いい意味の言葉じゃないですよね」


「まぁ、確かにその通りだな」


 俺は頷く。

 武技というものは、戦局を有利に運ぶためのものだ。

 それなのに『致命的な失敗』などという、戦局を不利にするイメージを持つ名を与えるのはおかしいだろう。

 言ってみれば、『回復不可能!』と叫びつつ発動する治療魔法とか、『垂直自由落下!』と叫びつつ発動する重力魔法とか、そんな感じだろうか?

 うん、こう考えてみると『デッドリー・ミステイク』という技名の不自然さが分かるな。


「じゃあ、何でそんな名前を兄貴は付けたんだ?」


 流華が尋ねる。

 俺の答えに期待している様子が窺えた。


「『デッドリー・ミステイク』は、自らが致命的な失敗をした際に使用する技だ。強烈な目眩ましをして、そのままトンズラするわけだな」


「ふむふむ……。技自体の特性ではなく、それを使用する状況を表した名前でしたか」


「なるほどな~」


 紅葉が納得する。

 流華も、今の説明で納得がいった様子だ。


「『デッドリー・ミステイク』については分かった。それで、兄貴……」


 流華が口を開く。

 何か言いたげな顔だ。


「うん?」


「肝心の『エンプフィントリヒ・ユングフラウ』について教えてくれよ」


「ああ、そのことか」


 俺は頷く。

 確かに、それこそが重要なポイントだ。

 俺だけが使える『インビジブル・インスペクション』や『デッドリー・ミステイク』は、いわばオマケ要素のようなもの。

 こうして説明しておくことで紅葉や流華の理解度が深まり、今後の連携がスムーズになるメリットはある。

 だが、2人がこの技を使えない以上、あまり深い説明をする必要はない。

 それよりも、2人が実際に習得した技について説明する方が、より有用だろう。


「『エンプフィントリヒ・ユングフラウ』には、ちゃんとした意味を込めている。とある『制約』を組み込んでいるから、そのイメージを補完するためにも特に名前は重要だからな」


「制約か……」


「未熟な私たちでも発動できたということは、その制約条件に私たちが合致していたということでしょうか?」


 流華が呟き、紅葉が尋ねる。


「勘がいいな。その通りだ。しかしその制約条件は、ちょっとデリケートな内容なんだ。2人には避けたい話題かもしれない。特に、流華にはな……」


「そうなのですか? 私は大丈夫ですけど……。えっと、流華くん?」


「オレなら大丈夫さ。兄貴に付いていくって決めたときから、覚悟はできてる」


「そうか……。ならば、今から説明していこう。だが、決して無理はしなくていいからな?」


 俺は念を押す。

 2人は力強く頷いたのだった。

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