【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1374話 ユナ純愛ルート 赤き大牙への加入

公開日時: 2024年5月5日(日) 12:15
文字数:1,738

「ねえタカシ……。ちょっと来てくれる?」


「へ?」


 俺は間抜けな声を出す。

 今は……ええっと……。

 そうだ、『赤き大牙』のみんなとホワイトタイガーを倒した日の夜だったな。

 西の森からは出たが、ラーグの街まではまだ距離がある。

 そのため、無理せず野営をしているところだった。


「ボーっとしていたの? い、いいから来てよ」


「……ああ。分かったよ、ユナ」


 俺はEランク冒険者だ。

 特に金が入り用なわけではないが、『異世界転移と言えば冒険者だろ』という安直な考えで冒険者になった。

 右も左も分からない冒険者稼業。

 チートスキル『ステータス操作』で『弓術』などを強化し、安全な距離から狩りをしていた。

 今思えば、効率が悪くて危険な戦い方をしていたと思う。


 そんな俺を見兼ねて導いてくれたのが、Dランクパーティ『赤き大牙』だ。

 偶然、俺が弓で必死に魔物を討伐している姿を見かけたらしい。

 ソロで活動している弓士のEランク冒険者など、そうそういないそうだ。

 普通は前衛がいると……。

 どうしてもソロでやるなら、剣士になるのが普通だと……。

 確かにそうかもしれない。


 そのときの俺は、弓の構え方が初心者丸出し。

 魔物との距離も過剰に取っていた。

 しかし、意外にもその狙いはそこそこ正確で、悪くない。

 弓士としての才能を開花させる前に死んでは可哀想だと、せめて戦い方を教えてやろうとパーティに誘ってくれたのだ。


 その後、俺は『赤き大牙』と共に依頼をこなしたり飲みに行ったりして、絆を深めていった。

 レベルが上がってスキルポイントを得た俺は『弓術』や『視力強化』スキルをドンドン伸ばし、一足飛びに成長していく。

 パーティとしての連携度も上がった。


 そして今日。

 赤き大牙のみで西の森を探索し、ホワイトタイガーに遭遇。

 タンク役のジークが引き付けつつ、弓士の俺とユナが的確に援護し、最後は大剣使いのドレッドの一撃によって仕留めたのだ。


「な、何か用なのか?」


 俺は天幕を出て、ユナと共に少し歩く。

 そして、野営地から少し離れたところで彼女が立ち止まった。


「あの……その……ね」


 ユナが恥ずかしそうに言う。

 俺もドキドキしてきた。

 これは……まさか!?


「その……わ、私ね? タカシのこと……」


 ユナが何か言おうとする。

 俺はゴクリと唾を飲み込んだ。


「仲間として気に入っているの」


「えっ……?」


「あの……これからも、ずっとうちのパーティにいない? あなたとなら上手くやっていけそうな気がするわ」


「あ、あぁ……。……え?」


 俺は呆けた声を出した。

 一瞬、何を言われたのか分からなかった。

 期待していた告白ではなかったことに、図々しくも少しショックを受けてしまう。


 だが……そうか。

 パーティへの正式勧誘か。

 これはこれで喜ばしいことだ。


 今の俺は、『最低限の一人前になるまでという期限付きでDランクパーティに加入させてもらった、ただの臨時メンバー』である。

 今日のホワイトタイガー戦を含めたこれまでの活躍を見て、正式にパーティに勧誘してくれるつもりになったのだろう。

 俺は、素直に嬉しいと思った。


「ドレッドとジークもあなたのことは高く評価しているわ。前衛2人に弓士2人は、少しだけパーティバランスが悪いけど……。それを補って余りある才能が、あなたにはある。彼らも絶対に歓迎してくれるはずよ」


「うーん……」


 俺は少し悩む。

 だが、答えはすでに決まっていた。


「ありがとう。こちらとしても、本当にありがたい話だ。『赤き大牙』にずっといたい」


「そ、そう? 良かった!」


 ユナが嬉しそうに笑う。

 俺もつられて笑顔になった。

 このパーティに加入するデメリットは、もちろんある。

 特に、俺がこのまま急成長を続けた場合にチートスキル『ステータス操作』などの存在がバレかねないリスクは、無視できないだろう。


 だが、今のところはデメリットを上回るメリットがある。

 パーティを組むことで狩りの柔軟性や安全性が増す点。

 先輩冒険者である3人からいろいろと教えてもらえる点。

 何より、美少女弓士であるユナと共に生きていける点が魅力的だ。

 ここは素直に厚意を受け取ろう。


「これからもよろしく頼む」


「ふふん。こちらこそ、よろしくね」


 俺は右手を出す。

 ユナが握手に応じた。

 2人でしっかりと手を握る。

 ユナの温もりを感じ、俺は彼女をとても愛おしく思ったのだった。

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