「改めて、それぞれのステータスを確認するぞ。まずは紅葉から」
「は、はい!」
俺は紅葉のステータスを記載した紙を見た。
そこには、こう書かれている。
レベル9、深山紅葉(みやまもみじ)
種族:ヒューマン
身分:平民
役割:桜刃三戦姫
職業:植物妖術使い
ランク:ー
武器:木刀
防具:村人の服
HP:68(52+16)
MP:36(28+8)
腕力:39(30+9)
脚力:39(30+9)
体力:43(33+10)
器用:39(30+9)
魔力:39(30+9)
残りスキルポイント:55
スキル:
植物妖術レベル2
採集術レベル2
称号:
タカシの加護を受けし者
桜花七侍撃破者
桜刃三戦姫
紅葉の初期レベルは9。
俺のレベル39に比べると低い。
また、加護(大)の付与条件の1つと推測されるレベル30もクリアできていない。
だが、それは仕方がないだろう。
紅葉はほんの2か月前まで、困窮した山村で日々を必死に生きていた。
戦闘訓練や妖術鍛錬などをしている余裕はなかったはずなのだから。
しかし、そんな中でも『採集術』を持っているのは立派だ。
弱い立場に甘んじて村人たちの恵みを当てにするのではなく、主体的に木の実や山菜などを採集していたのだと思われる。
加護(小)を付与する前の段階で『採集術レベル1』を持っていたため、加護(小)の恩恵により『採集術レベル2』に強化されている。
スキルレベル1から2に上げるためには、本来はスキルポイントが5必要だ。
俺が出会う前からの紅葉の頑張りによって、5のスキルポイントを節約できたような形と言ってもいい。
これは地味ながらも大きい……かもしれない。
今後は桜花城を拠点に活動していくため、採集をする機会はあまりないのだが……。
スキルレベルが高くて困ることは、基本的にない。
「植物妖術は、紅葉の専売特許だな」
「……え? せんばい……と……?」
「ああ、いや。俺たちの中で紅葉だけが使える技だってことさ」
「ありがとうございます。確かに……そうですよね」
「聞いたぞ。桜花七侍の巨魁を倒したそうじゃないか。よく頑張ったな」
俺は素直に褒める。
桜花城攻めの作戦を練っているときから、紅葉たちの戦力化については思案していた。
だが、せいぜい『紅葉たち3人がかりで桜花七侍の1人を撃破する』というぐらいが現実的だろうと思っていた。
それが、まさかの『1対1で桜花七侍の1人を撃破する』とは。
「い、いえ! 高志様の薫陶があってこそです!!」
「そうか? 謙遜する必要はないが……」
「謙遜なんてしていませんよ。それに、私のような子どもが相手ということで、巨魁さんが油断し手加減をしてくれていたことも大きかったと思います。あと、事前に道場の中庭に『吸魂花』を植えていたことも役立ちました」
「へぇ、そうか。そう言えば、そんなものも植えていたか……」
「はい。力自慢だけど頭脳戦はそれほど……という巨魁さんが相手というのも好相性でした。運が良かったんだと思います」
紅葉が謙遜する。
概ね巨魁を持ち上げ、自分を卑下しているが……。
ちょっとだけディスが混じっているぞ。
若い少女に『頭脳戦はそれほど……』と言われてしまう巨魁が哀れだ。
「まぁ、とにかくだ。巨魁戦の反省や今後の展望を考えつつ、スキルポイントをいくつか消費してスキルレベルを上げていくぞ」
「はい!」
育成の初期段階において、スキルポイントの温存は愚策である。
スキルポイントを使って戦闘能力などを向上させることにより、より安全かつ確実に育成を進めることができる。
「長所を伸ばす方針ってことだったが、具体的には……」
俺は紅葉と話を進め、強化案を練っていく――
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