【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1412話 抱かれ損

公開日時: 2024年6月12日(水) 12:13
文字数:1,476

「ええっ!? き、記憶喪失なのですか!?」


 カゲロウが驚きの声を上げる。

 俺は、彼女に現状を説明していた。

 俺の記憶は一部失われているらしい。

 その失われた記憶の中には、彼女たちとの因縁も含まれている。

 そのため、俺としては彼女たちに恨みなどはなく、むしろ申し訳なさを感じてしまう。


「ああ、実はそうなんだ」


「そ、そんな……そんなのって……。なら、私は……」


 カゲロウが呆然とした様子でつぶやく。

 そして、彼女はビシッとこちらに指を差した。


「だ、抱かれ損じゃないですか!!」


「落ち着けって……」


 俺は思わず苦笑する。

 カゲロウは全裸のまま、俺に迫ってきた。


「私はてっきり、あなたが怒っていると思って……。里のみんなを守るため、体を犠牲にしたのに…。こんな……こんなのって……」


「だから、落ち着いてくれよ」


 俺はカゲロウの頭をポンポンと叩く。

 確かに、誤解を訂正しないまま美味しくいただいたのは、褒められたことではないだろう。

 だが、後悔はしていない。


「俺は感謝してるんだ」


「え?」


 カゲロウがポカンとした表情になる。

 そんな彼女に、俺は続けて言った。


「失った記憶の中には、大切で特別な思い出もあったはずだ。一刻も早く取り戻さなければならない」


「そ、そうでしょうね……」


「だが、それはそれとして、君のように素敵な女性を抱けて嬉しくもあった。君のような素敵な女性が、俺なんかのために身を差し出して……ってな」


 俺はそう言いながらカゲロウの頭を撫でる。

 すると、彼女は目を見開いたまま固まってしまった。


「あ……はうぅ……」


「ん? どうした?」


「いえ、その……。『素敵な女性』だと言われたのは、初めてだったもので……」


「そうなのか?」


 カゲロウはコクリとうなずく。

 どうやら、彼女は異性との付き合いに慣れていないようだ。


 この『霧隠れの里』には、忍者がたくさん住んでいる。

 だが、その全員が女性。

 いわゆる『くのいち』というやつだ。

 そのような構成になっている詳しい事情は知らない。

 おそらくは秘密保持だとか特殊な妖術の発動条件だとか、そういう事情が絡んでいるのだろう。


「へぇ……。これほどの美人なのにもったいないな」


「そ、そんな……。美人だなんて……」


 カゲロウは耳まで真っ赤にして俯く。

 そして、もじもじと内股を擦り合わせ始めた。

 この感じだと……俺に対してそれほど悪感情は抱いていないようだ。

 彼女に加護を付与できれば、いろいろと捗りそう――ん?


 ……あれ?

 加護?

 ええっと……ああ、そうだ。

 俺にはチートスキル『加護付与』や『ステータス操作』があるのだった。

 すっかり忘れていた。


 俺はウィンドウを開いてみる。

 カゲロウには、既に加護(微)を付与できているようだ。

 そう言えば、加護(微)は自動付与だったな。

 より強力なのは加護(小)。

 しかし残念ながら、現状では加護(小)を付与できるほどの忠義度はない。


 他には、どんな機能があったかな……?

 俺は記憶を取り戻すヒントがないか、ウィンドウを確認していく。


「……ん? 桜花城……?」



ミッション

桜花城を攻め落とし、支配しよう

報酬:加護(大)の解放

   スキルポイント10



「これは……」


 俺はミッションの内容に驚く。

 桜花城という城について、俺は何も知らない。

 だが、一目で分かる。

 かなり不穏当なミッションだ。


「桜花城? 今、桜花城をおっしゃいましたか?」


「ああ。知っているのか? カゲロウ」


「はい。桜花城は――」


「うぅーん……。むにゃむにゃ……」


 カゲロウが説明を始めようとしたとき、別の女性が起き上がった。

 彼女は大きな伸びをしてから周囲を見回す。

 桜花城の件も重要そうだが、彼女とも話をしておくべきだろう。

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