【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1078話 当ててるんだよー?

公開日時: 2023年7月10日(月) 12:18
文字数:1,868

 俺はエレナに『温泉旅館1か月無料券』を3枚プレゼントした。

 そして、ルリイが俺の腕に抱きついてきた。

 決して大きすぎない、柔らかな胸の感触が伝わってくる。


「お、おおぉっ!!」


「ふふふー。どうー?」


「あ、あの! 胸が! 当たってます!!」


「当ててるんだよー? ふふっ」


 ルリイが可愛らしく小首を傾げ、いたずらっぽく笑う。

 ゆるふわ系ののんびり屋さんと見せかけて……。

 とんでもない小悪魔だ!

 俺はそんな彼女にドギマギしながらも、なんとか言葉を絞り出した。


「じ、自分を大切しましょう! そういうのは好きな人とやるべきですよ!!」


「だいじょうぶー。タケシさんは好きってほどじゃないけど、嫌いでもない。だから問題ないよー」


「いや、問題はあるでしょう! ルリイさんは女の子なんですし!!」


「ふふふー。胸を押し当てたぐらいで、大げさすぎないー? 別に減るもんじゃないし、いいでしょー?」


 まぁ、確かにそうか……?

 胸を触らせるとか体の関係を持つとか、そういうレベルならいろいろと問題があるかもしれないが……。

 今のはただのスキンシップ的な感じで、なんの問題もないような気もしてくる。


「こういうこと、他の人にもしているんですか……?」


 俺は思わずそう聞いてしまう。

 最も大切なことだろう。

 誰彼構わずにこんなことをしているのならば、ちょっとどうかと思う。

 まぁ、されて喜んでいる俺が言えた義理ではないのだが……。


「しないよー。こんなことをするのは、タケシさんだけだもんー。ねー、エレナちゃん?」


「……えぇ、そうね。ルリイは、誰彼構わずベタベタするような子ではないわ。むしろ、警戒心が強い方だと思う」


 話を振られたエレナがそう答える。

 警戒心が強い?

 少し意外だ。

 表の顔は、ゆるふわ系ののんびり屋さん。

 裏の顔は、男を手玉にとる小悪魔。

 そのどちらにおいても、警戒心が強そうには思えなかったが……。


「そうなんですか?」


「そうよ。ルリイは、相手の懐に入るのが上手いの。でも、必ず一線を引くわ」


「へぇ~」


 エレナの言葉を聞きつつ、ルリイの方を見る。

 彼女は俺の腕にしがみつきながらも、ニコニコと笑っていた。

 その様子からは警戒心の欠片すら見えない。


(俺のことを信用しているのか? 彼女から見た俺は『Dランク冒険者タケシ』のままなはずだが……。『温泉旅館1か月無料券』のパワーで、少しは株が上がったということだろうか? それとも、何か他の要因が……?)


 俺は思考を巡らせる。。

 エレナの心を手に入れるには、将来的に俺の身分を明かす必要があるだろう。

 しかし、ルリイは『Dランク冒険者タケシ』のままでもワンチャンありそうだ。


「ふふふー。じゃ、わたしからのお礼はここまでねー」


 ルリイが俺から離れていく。

 マシュマロのような柔肌の感触が消えていくのは名残惜しかった。

 しかし、いつまでも堪能しているわけにもいかない。


「えっと……」


「じゃ、次はエレナちゃんからのお礼だねー」


「!?」


 何か話題を変えようとした俺。

 だが、ルリイからの爆弾発言により遮られてしまう。


「え? は? ……え?」


 俺は混乱してしまった。

 えっと……。

 俺が渡した『温泉旅館1か月無料券』3枚のお礼は、ルリイから俺への腕ハグで終わりではなかったのか!?

 まさか、その先があるとは……。


「ふふふー。エレナちゃんは義理堅いからねー。きっと、タケシさんにお返しをしてくれるはずー」


「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! どうして私まで……」


「え? エレナちゃん、お礼しないのー? 少なくとも金貨数枚分の価値がある券をもらっておいて、何も返さないのは人としてどうかと思うんだけどー?」


「そ、それは……」


 エレナが言葉に詰まる。

 確かに、義理堅いというルリイの評価は正しそうだな。

 精神的にたくましい人なら、無料券をもらっておいて『ありがとう』の言葉だけで済ませる者もいるだろう。

 まぁ、俺の正体は領主なので、優秀な冒険者がリンドウに来てくれるだけでもお礼になるのだが……。


 ここはルリイの流れに乗っておくか。

 上手くいけば、エレナからこの場でお礼をしてもらえる。

 となれば、ここでルリイに同意する言葉を発して――。

 いや、待てよ?

 エレナの性格を考えると、もっといい言葉があるな。


「エレナさん! お礼なんて気にしないでください! 俺の気持ちですから! 偉大なる未来のAランク冒険者エレナ様に受け取ってもらえるだけでも、光栄なことです!!」


 俺はエレナに向かって力強く言った。

 すると、彼女の表情がギリッと険しいものに変わる。


(よしよし……! いいぞ……!!)


 このまま畳みかける!!

 こうして、俺はエレナへの攻勢を強めていくのだった。

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