フレンダとお楽しみ中だ。
彼女の忠義度は、相変わらず上下している。
忠義度38あたりを軸に、プラマイ4ぐらいをウロチョロしていた。
加護(小)の付与は可能だろう。
だが、それはフレンダをちょっとしたリスクに晒してしまうことを意味する。
「はうぅ……」
俺はフレンダの太ももを抱え込む。
彼女の声がどんどん色っぽくなっていく。
「そ、そこはダメぇ……」
フレンダは敏感に反応してくれており、俺はとても楽しい。
こんなに可愛い反応を見せてくれるなら、ぜひとも加護(小)を付与して末永く側に置いておきたい。
「フレンダ……」
「どうしたのぉ? タカシちゃん……」
彼女が上目遣いでこちらを見つめてくる。
俺はそんなフレンダにキスをした。
「んっ……」
フレンダは嬉しそうに応えてくれた。
魅了魔法の影響で忠義度が上下しているとはいえ、下振れ時にも34ぐらいはあるんだよな。
彼女から俺へ、一定以上の好意があることは間違いない。
ここは一歩踏み出すところだ。
「力が欲しいか?」
俺はフレンダの目を見ながら言った。
「ふえ? 力って何の……あっ、そういうことね」
フレンダは一瞬きょとんとした表情になったが、何かを察したようだ。
何を察したんだ?
俺は彼女に、まだ何も説明していないのだが。
「――欲しい。私はもっと強くなりたい。強くなって、いつか家族の元に……!!」
強い決意が籠った言葉が返ってきた。
これは魅了魔法の効果なのか、それとも彼女自身の本心からの言葉なのか。
一人称が”私”になっているし、おそらく後者だろう。
俺は、そんな彼女の想いを受け止めるように、力強く宣言する。
「よし分かった! ならばお前に、力をくれてやる!!」
「ありがとー! ふふっ、なんだかお話の主人公になったみたい……」
フレンダが楽しげに笑っている。
主人公ねぇ……。
『力が欲しいか?』『欲しい。圧倒的な力が』『ならばくれてやる』というようなやり取りは、現代日本の漫画やアニメではそれなりに定番だったが。
こっちの世界にも、そういう文化があるのか?
思わぬところで、フレンダの趣味嗜好を知ることができたな。
ま、今は置いておこう。
俺はステータス画面を操作し、フレンダに加護を付与する準備を整える。
そして――
「今だー!!!」
「ひゃうっ!?」
彼女の忠義度が40を超えた瞬間を狙って、俺は彼女に加護(小)を付与した。
レベル?、フレンダ=ハートフィールド
種族:ヒューマン
身分:迷い人
役割:リーダー
職業:武闘家
ランク:B
HP:??
MP:??
腕力:??
脚力:??
体力:??
器用:低め
魔力:高め
残りスキルポイント:???
スキル:
格闘術レベル4(3+1)
魅了魔法レベル4(3+1)
繝ヲ繝九繧ッ繧ケ繧ュ繝ォ
??
(事前に見聞きしていた情報と大きな差異はないか……。ん? 気のせいか? Bランク冒険者にしては、スキルレベルが若干低めなような……)
元々のランクがBの冒険者に加護を付与するのは、これが初めてである。
単純な比較できる相手はいない。
ただ、少し前に付与したCランクの花や雪あたりと比べることはできる。
(ええっと……)
俺の記憶力はイマイチだ。
いや、人並み程度にはあるはずだが、さすがにこれまでに加護を付与してきた者たちのステータスやスキルを丸暗記することはできていない。
それをカバーするべく、俺はいろんな情報をメモするようにしている。
アイテムボックスに入れれば情報漏洩することもないし、利便性もバッチリだ。
(――うん、やっぱりそうだよな。補正前のスキルレベルが3で、それが2つ。フレンダのスキルレベルは低めだ)
俺はメモを見返しつつ、そう判断する。
加護(小)を付与した時点での花は、補正抜きで剣術レベル3、植物魔法レベル3、栽培術レベル2を持っていた。
同じく雪は、格闘術レベル3、闘気術レベル3、水魔法レベル3だ。
Cランク冒険者の相場は、『レベル3のスキルを2~3つ程度所持』ぐらいじゃないだろうか。
であれば、フレンダは意外に弱いということになる。
魅了魔法を駆使して、上手く功績を稼いできたのだろうか。
(まぁ、俺が彼女を抱いたのは別に強さだけを求めたわけではないから、問題はないけどな)
加護(小)の時点では、全てのスキルが開示されるわけではないし……。
この『??』と記載されている箇所に、何か凄いスキルが隠されている可能性もある。
――ん!?
いやいやいや、待て待て!!
「な、なんじゃこりゃあああああ!!」
俺は思わず叫んでしまった。
だが仕方がない。
だって、そうでもしないとやってられないぐらい、とんでもないことが書いてあったんだから。
「ど、どうしたのタカシちゃん? 急に大きな声を出して……」
フレンダが心配そうに声を上げる。
ちなみにだが、俺と彼女のプレイは小休止している。
俺が彼女に加護を付与した瞬間に、一度フィニッシュした感じだ。
「すまん、なんでもない。少しばかり取り乱してしまっただけだ」
俺はフレンダにそう説明する。
加護(小)の時点では、詳細の説明を行わない方針だ。
彼女に詳しい説明をするのはタイミングを見計らいつつだな。
いや、それにしてもこれは……。
彼女のスキル欄をよく見ると、『繝ヲ繝九繧ッ繧ケ繧ュ繝ォ』という文字があった。
明らかに文字化けしている。
(魅了魔法を悪用した影響か? それとも、フレンダは何か特別なスキルを持っているのか?)
どちらも有り得そうな話である。
ここはハッキリとさせておきたい。
「なぁ、フレンダ。聞きたいことがあるんだが」
「あは~。何でも答えちゃうよ~。フレンダちゃんの愛しいダーリンのためだもんね~」
「そう言ってもらえると嬉しいよ」
魅了魔法の効果はすっかり切れているようだ。
忠義度の上下は止まっている。
今は41だ。
魅了中の熱いプレイを通して、真実の愛を育んで忠義度を上げることができた感じだろうか。
付与後に40未満となった場合の検証はできなかったことになるが、まぁ良しとしておこう。
リスクのある検証にわざわざ再挑戦するわけにもいかない。
「フレンダは、何か特別な戦闘技能を持っているのか?」
「ええっと~。それはね~」
彼女が口を開きかけたときだった。
「グルルルッ!! グガァアアッ!!」
突如、魔物の咆哮が辺りに響き渡ったのだった。
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