【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1041話 闇は時に、人の心を飲み込む

公開日時: 2023年6月3日(土) 12:26
文字数:1,742

 俺はダダダ団アジトのとある部屋に乱入し、ヨゼフを殴り飛ばした。

 そして、取り急ぎエレナとルリイを拘束から解放した。


「さて、次は貴様だ。美しき三日月が荒れた大地に落とされたか……」


「んんーっ!!」


 エレナやルリイの状況も酷かったが、テナも負けず劣らず酷い状況だ。

 部屋の中にわざわざ砂利をまかれ、その上に正座で座らされている。

 ご丁寧に、膝の上には重りが乗せられている始末だ。


「しばし待て。これより、地に落ちた三日月を空へ戻そう」


「んん……!」


 俺はテナの拘束を解き、正座状態から解放する。

 そして、口枷を外してあげた。


「あ、ありがとうっす。怪しい人っすけど……」


「闇に魅入られた哀れな子羊よ。今こそ俺の手を取り立ち上がるがいい。さすれば、闇は晴れるだろう」


 俺は適当なことを言っておく。

 正座していたせいか、足を痛めている様子だ。

 立ち上がるためには手を貸してやる必要があるだろう。


「オレっちなら大丈夫っす! 足腰も多少は鍛えているっすから!!」


 テナは自分の力で立ち上がった。

 強い子だ。

 土魔法使いは、魔法使い系の中では比較的身体能力が高い者が多い。

 初級土魔法に『ロックアーマー』が存在する影響だろう。

 ミリオンズのニムや、ノノンの父親であるニッケスも、なかなかの身体能力を誇る。


「――って、うわわっ!」


「む」


 とか考えていると、バランスを崩したテナが倒れ込んできた。

 咄嵯に受け止める。


「も、申し訳ないっす……。お陰様で助かったっす……」


「構わない。闇の底から這い上がったばかりの少女が倒れ込むことなど、想定の範囲内だ。差し当たって戦局に影響はない」


 俺はテナを抱きしめながら、そう答える。


「……」


「……」


「……あ、あの……」


「どうした? 哀れな少女よ」


 テナの言葉を受け、俺が尋ねる。

 すると彼女は、頬を染めて恥ずかしげに言った。


「助けてくれて、本当に感謝するっす……。でも……そろそろ離してほしいっす……。というか、お尻を鷲掴みにされたら恥ずかしいっす……」


「ん?」


 テナに言われ、俺は自分の腕の中を見る。

 そこにはテナの身体があったのだが……なぜか俺の手が彼女の臀部を揉んでいたのだ。


(無意識のうちに触ってしまったのか……)


 俺の肉体は美少女を求めるあまり、俺の意志とは無関係に動くことがあるらしい。

 全く困ったものだ。


(俺がタカシ=ハイブリッジだとバレていないよな……?)


 ミリオンズの面々、ハイブリッジ男爵家配下の面々、その他男爵としての俺に関わった者は、俺の気性や嗜好というものを知っている。

 黒い装束に身を包み仮面で顔を隠していても、女好きであることをヒントに『ナイトメア・ナイトとタカシ=ハイブリッジ男爵が同一人物』という事実に気付かれる可能性はあるかもしれない。


(いや、この3人は大丈夫か。タカシ=ハイブリッジ男爵としての俺と、直接の交流はないし……)


 彼女たちが知っている俺は、『冴えないDランク冒険者タケシ』である。

 ならば、女好きであることをヒントに『ナイトメア・ナイト』の正体に辿り着かれる心配はないだろう。

 俺は安心して、テナの体から手を離す。


「これは失敬。闇は時に、人の心を飲み込む。気を付けねばならない」


「そ、そうっすか……。み、見かけ通りヤバい人っすね……」


 テナが引き気味に言う。

 ピンチに颯爽と登場することによって稼いだ好感度が、あっという間に下がってしまった気がする。

 ま、まぁいい。

 とりあえず3人とも無事だったんだから。


「最後は貴様だが――特に外傷はないようだな?」


「は、はい! 傷は何もないです!」


「しかし念のため――」


「い、いえ! 大丈夫です!! 本当に!!」


 魔導工房の少女にも外傷はないらしい。

 何やら力説されてしまった。

 純粋に心配しているだけなのに、不本意だ。


 ま、いいか。

 これで囚われの少女たちの無事は確定した。

 俺が次にするべきことは――


「ふん……。邪悪な闇がまた這い出てきたか……」


「ちっ! 舐めやがってよぉ! ダダダ団を敵に回して、生きて帰れると思うなよ!!」


 とりあえず、こうしてイキっているヨゼフを倒すことからだな。

 俺がエレナたちを解放している間に、奴は仲間を呼んでいたようだ。

 彼の背後には、ダダダ団のチンピラたちが集まってきている。

 手間が省けた。

 さっさと倒して、ダダダ団を壊滅させることにしよう。

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