【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
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1587話 ただの人間【アイリスside】

公開日時: 2024年12月4日(水) 12:10
文字数:1,115

「はああああぁっ!! 【聖・裂空脚】!!!」


『【十七乃手・紫蓮華(しれんげ)】』


 アイリスと千手観音菩薩像の戦いは、熾烈を極めていた。

 全力のアイリスに対し、超常の存在である千手観音像も全力で応える。

 両者一歩も譲らない展開だ。

 しかし……


『【十九乃手・傍牌(ぼうはい)】』


「うぐっ!?」


 千手観音像の掌が、アイリスを弾き飛ばした。

 その威力は凄まじく、アイリスは大きく吹き飛び壁に激突する。


「ぐっ……う……」


『汝の力、見切ったり』


「……!?」


『これにて【右手乃試練】は終了である。汝ほどの実力者は、百年に一人出るかどうか……。特に、その格闘術は見事なり。よくぞここまで練り上げた』


「そう……。お褒めの言葉、ありがとう。これでもう満足した――」


 千手観音像の講評を受け、アイリスはよろよろと立ち上がる。

 激戦の結果、確実にダメージや疲労は蓄積していた。


「――なんて言うわけないでしょ! ボクはまだまだやれる!」


『なぬ?』


「ほら、行くよ? はぁぁぁぁっ!!」


 アイリスが気合いを入れると、その体が光を放つ。

 底力だ。

 彼女は限界を超えようとしていた。


『【左手乃試練】に臨むか……。下手をすれば再起不能になるが、覚悟はあるのか?』


「愚問! だよ!!」


『よかろう』


 千手観音菩薩像が動き出す。

 アイリスもそれに合わせて駆け出した。


「【聖・爆撃正拳】!!!」


『【弐乃手・月輪(がちりん)】』


 ドゴォォン!!

 アイリスと千手観音像の攻撃が激突する。

 その威力は凄まじく、周囲に轟音が響いた。


「攻撃力は凄いけど……ボクなら受け流せる!」


『そのようだな。しからば……【陸乃手・経箱(きょうばこ)】』


 千手観音像の攻撃が、左右から挟み込むように繰り出される。

 アイリスはこれを後退しつつ躱す。

 激しい攻防だ。


 ――後半戦に入ってからも、彼女は善戦を続けた。

 そして、数十分後……。

 千手観音像の攻撃も出尽くしつつあり、そろそろ試練も終わるかもしれない……。

 そう思われた矢先だった。


『【拾捌乃手・胡瓶(こへい)】』


「あぐっ!?」


 千手観音像の掌底が、アイリスの左足に直撃する。

 そして、それは……

 バキィッ!!


「う、うあああああぁっ!!」


『……終わりだ。骨が粉々になっておろう……。よくぞここまで耐え抜いたものだ。ただの人間にしておくには勿体ないほどなり……』


 アイリスの左脚を砕く一撃だった。

 彼女はその場に崩れ落ち、痛みに悶え苦しむ。


「うぐっ……! ま、まだまだ……!」


『諦めよ。試練の完全突破は、さしもの汝にも荷が重かったのだ……。この【千手の間】は妖術の類が封じられている故、痛みを和らげることも叶わぬ。諦めれば楽になるぞ?』


「諦める……? …………」


 アイリスが沈黙する。

 左足の骨が砕けた状態で、彼女は――

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