【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1274話 侵入防止策

公開日時: 2024年1月24日(水) 12:07
文字数:1,464

 エリオット王子は、俺の右足の拘束が解除されていたことを黙認してくれた。

 そして、話題は魔物襲撃の事へと移っていく。


「今回の襲撃は、今までにない規模のものだった。里の戦士たちが総出で事に当たったが、それでも甚大な被害が出た」


「ふむ。確かに怪我人は多かったな。俺も治療を手伝わせてもらったが……」


 俺はそう答える。

 治療岩に来た戦士の中には、重傷者も多かった。

 普段からあれだけの被害が出ていたら、戦士団の維持自体が難しいようにも思える。


「襲撃してきた魔物の中には、リトルクラーケンの姿があった」


「ほう……。リトルクラーケンか。そう言えば、戦士の誰かもそう言っていたな」


 海の魔物の中では上位に入る存在だろう。

 ジャイアントクラーケンやクラーケンに比べると、やや戦闘力は落ちるが……。

 それでも脅威であることには違いない。


「うむ。おそらくは、ジャイアントクラーケンが死亡したことにより生態系が狂ったのだろう。リトルクラーケンの行動範囲に影響が出たようだ」


「そんな影響が……」


「しかも厄介なことに、奴らは他の魔物を引き連れていたのだ。それがまた数が多くてな……」


「なるほど。それは大変そうだ」


 エリオットの話に、俺はうなずく。

 通常、別種の魔物同士が群れることはない。

 あくまで別々の種族としての生存本能があるからだ。

 地球の動物で言えば、ライオンやトラ、シマウマ、ゾウ、キリンで構成された群れがないのと似たようなイメージだろうか。

 まぁ、局所的な例外もあるだろうが……。


「リトルクラーケンを始めとした魔物の群れは、里の外周部を襲った」


「外周部か」


 そう言えば、人魚の里の外周部はどのような構造になっているのだろう?

 俺は知らない。

 気絶中に、メルティーネによって運ばれてきたからだ。


「貴殿には見せていなかったな。里の外周部には、魔法と物理の両面で構成される防壁がある」


「魔法と物理?」


「まずは結界魔法だな。魔法師団が張ったものだ。外からの認識を歪める効果がある。里の存在に気付かれないことこそ、最大の防衛策というわけだ」


「ふむ。一理あるな」


 俺はうなずく。

 結界魔法。

 噂ぐらいは聞いたことがある。

 ラーグやリンドウに張れば、安全度が増していただろうが……。

 同時に、旅人や行商人が街を見つけられず迷ってしまうリスクも増す。

 人魚の里のように外との交流がない街はともかく、普通の街ではデメリットの方が大きい。


「だが、結界も完璧ではない。あくまで『気付かれにくくする』という程度だ。今回は、リトルクラーケンが里の場所に気付いてしまったようだった。そして、奴に追従するように他の魔物たちもやってきた」


「なるほど。運が悪かったようだな」


「ああ。しかしもちろん、結界を突破されて終わりではない。次は、魔物の侵入を物理的に防ぐ防壁がある」


「ふむ……。用心深いな」


 俺は感心する。

 侵入防止策を一種類だけではなく、二種類用意する。

 それにより、里の安全度は飛躍的に向上することだろう。


「今回、何とかリトルクラーケンたちを撃退できたのは防壁のおかげだ。戦士たちは地の利を活かして戦うことができた。しかし、それでも犠牲は出た。戦士たちの怪我の他、防壁もかなり壊されてしまった。奴にとどめを刺せなかったことも悔やまれる」


「そうか……」


 俺は腕を組む。

 今回の襲撃において、良くない結果が3つ発生しているようだ。

 1つは、怪我人の大量発生。

 2つ目は、防壁の損傷。

 3つ目は、討伐ではなく撃退しかできなかったことだ。


 怪我人はざっくりと治療済みなので、とりあえずはいいだろう。

 となると、他に俺ができることは――。

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