【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1221話 デカ過ぎんだろ…

公開日時: 2023年12月2日(土) 12:20
文字数:1,972

 俺たちはリトルクラーケンをあっさりと討伐した。

 安心したのも束の間。

 再び船が揺れ出す。


「おいおい、またかよ……」


 俺は警戒しながら周囲を見渡す。

 海上に魔物は見当たらない。

 俺の気配察知スキルの効果範囲内にも、生物の気配はない。


 だが、実際に船が不規則に揺れている。

 これは波によるものではない。

 もっと大きな力が船を襲っているのだ。


「次は何が出てくるんだ?」


 俺はそう呟く。

 船が大きく揺れた。


「きゃーっ!?」


「わっ!」


 俺の後方で悲鳴が上がる。

 振り返ると、レインと月が触手に襲われていた。


「ちぃっ! またリトルクラーケンか!?」


 俺はそう叫ぶ。

 触手の形状は、リトルクラーケンと同じに見える。

 ならば、先ほどと同じくさっさと討伐して――


「タカシ様! こちらからも触手が!!」


「うへぇ……。ヌルヌルしてそう……」


 ミティとアイリスが声を上げる。

 彼女たちは、レインや月とは別方向にいた。

 にもかかわらず、同時に触手で襲われている……?


「こ、これはリトルクラーケンではありません!」


「触手の形は同じだけど、サイズが桁違いだよっ!」


 ニムとモニカがそう叫ぶ。

 彼女たちの前方にも、触手が伸びていた。

 正体不明の魔物だが、大人しく襲われっぱなしではいられない。


「みんな! 迎撃だ!! 海に引きずり込まれないよう、細心の注意を払ってくれ!!!」


 俺はそう叫ぶ。

 多少の外傷ぐらいなら、治療魔法で回復させることができる。

 治療魔法のスペシャリストであるサリエの他、俺、アイリス、マリア、リーゼロッテもいるからな。


 しかし、海に引きずり込まれると厳しい。

 さすがのミリオンズでも、海中でまともに行動できるものは少ない。

 俺は、人魚メルティーネの加護により水中でも最低限の呼吸ができるが……。

 その他の面々については、海中に引きずり込まれないよう気をつける必要がある。


「……アイスレイン……」


「【梅花一閃】~!」


 雪と花が応戦する。

 雪の魔力で構成された氷の雨と、花の鋭い斬撃が触手を襲う。


「ごああぁっ! がぶっ!!!」


 ドラちゃんがまた別の触手に噛み付いている。

 ファイアーブレスを使えば一瞬で黒焦げにもできそうだが、それではこの船ごと燃えてしまう可能性が高い。

 しっかりとそのあたりも考えて戦ってくれているようだ。


「【グレート・ゴースト・カミカゼ・アタック】!!」


 ゆーちゃんが霊体の一部を操り、そのまま触手に突撃させた。

 そして、その分体が触手に触れるや否や爆発を起こした。

 ……どういう原理で爆発したんだ?

 ゆーちゃんの加護はまだ『小』止まりなので、彼女のスキルの全容はまだ不明だ。


「グオオオオォ……ッ!!」


 謎の魔物が叫ぶ。

 そして、ゆっくりと海上へと姿を表した。


「なっ!? で、デカ過ぎんだろ……」


 俺は驚愕した。

 触手の形状から推測していた通り、それはリトルクラーケンと似た魔物だった。

 問題はそのサイズだ。

 海上に出ている部分だけで、20メートルはある。

 海中に隠れている部分は、もっと長いはずだ。


「ちっ……。リトルクラーケンの親玉的な存在か……」


「噂で聞いたことがあります……。これは、クラーケンですわ」


 リーゼロッテが俺に向けて、そう口にした。

 クラーケンか……。

 まぁ、リトルクラーケンがいるなら、普通のクラーケンもいるか。


「リーゼ、詳しく知っているのか?」


「ええ……。海の底深くに住んでいる魔物で、リトルクラーケンの親玉として恐れられていると……」


「ふむ……」


 リトルクラーケンなら、今のミリオンズにとって脅威ではない。

 しかし、親玉であるクラーケンがいると話は変わるだろう。


「グオオォーッ!!」


 クラーケンが吠えた。

 そして、その巨大な触手を縦横無尽に振り回してくる。


「ちっ! ――【千本桜】ぁ!!!」


 俺はオリジナルの火魔法を発動。

 無数の火球が、触手を迎え撃った。

 そのダメージによりクラーケンの触手攻撃は中断される。


「みんな! 今のうちに態勢を整えるんだ!!」


 俺はそう指示をした。

 隠密小型船は小さめの船ではあるが、極狭というほどではない。

 デッキの四方に戦力を分け、触手を迎え撃つ準備を進める。


「やれやれ……。ここまで大きいと、なかなか厄介だな……」


 俺はそう呟く。

 クラーケンの本体はとてつもなく大きい。

 海上に出ている箇所だけで20メートル以上。

 海中にある部分も含めると、50メートル以上あるかもしれない。


 触手の数は、少なくとも20本は超えているだろう。

 本体のサイズ感だけでも脅威なのに、触手は俺たちや船を狙って攻撃を仕掛けてくる。

 非常に厄介だ。


「いくぞ! みんな!! 気合を入れていこう!!」


 俺は仲間たちに向けてそう鼓舞した。


「はいっ!」


「任せてっ!!」


「承知いたしましたわ」


「いっちょ暴れるわよ」


「えぇ。頑張りましょう」


 ミティ、アイリス、リーゼロッテ、ユナ、サリエが元気な返事を返してくれる。

 こうして、俺たちとクラーケンの戦いが幕を開けたのだった。

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